感動の再会1
レオンはラルフの情報をたよりに、イオ・ミレニア魔術医師のもとに向かった。
魔術師イオ。
一緒に魔術修行をした仲だが、何から何まで気にくわない男だった。
だが、ミラはそこにいるはずなのだ。
ミラ、早く会いたい。
イオの小さな診療所兼住居が見えてくる。
レオンは馬車を飛び下り、イオの診療所につづく階段を駆け上った。
バンッ
もどかしく診察室の扉を開けると、
はたしてそこにはこの世で一番愛しい娘、ミラがいた。
レオンは言葉が、出なかった。
「・・・・・・」
ミラは、何かに憑りつかれたかのように、世にも奇妙な踊りを踊っていた。
左右によたよたカニ歩きしながら、いそぎんちゃくのように手を上下に動かしている。
ミラはそのまま踊りながら後ずさり、レオンを一瞥することなく部屋を出て行ってしまった。
パタン。
扉の閉まる乾いた音がした。
「・・・今のは、ミラだよな?」
レオンは忠実な側近、ラルフを振り返る。
「・・・ミラでしょうね。奇妙キテレツなことしてましたが」
ラルフは頷く。
「貴様、ミラに何をした?」
レオンはだまってイスに腰かけていた白衣姿のイオに詰め寄る。
「何って、何が?」
「あの変な踊りは何だ? なんかの魔術か?」
イオはプッと吹き出す。
「あんたと違って、人を魔術で動かしたり、支配したりはしません」
「じゃあ、なんであんな・・・」
「あんたの事、嫌いなんじゃないですか?」
イオはそういうと、くるりと背を向けた。
つーん、とそっぽを向いてしまったイオに苛立ちを感じたが、今は、ミラだ。
「とにかく、ミラに会って・・・」
レオンはミラの消えた戸口に向かった。
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