第九十七話
何の進展もないお話です。
『 お兄ちゃーん、朝だよー、起きて起きてっ、遅刻しちゃうよ。』
里奈の声が聞こえる、今日から二学期が始まるので起こしに来たみたいだ、うっすらと目をあけてみると
『 ぬわーーーっ!! 』
ついついドラ○エ5のパ○スの断末魔の叫びを出してしまった、里奈の顔が俺の目の前にあったからだ
『 おはよーお兄ちゃん♪ ていうか声が大きいよー、近所迷惑だよ。』
『 お前が大声を出させる様な事をするからだ! 起こしてくれるのはありがたいけど起こすなら普通に起こしてくれっ!! 』
『 わかったよ、明日からは普通にお目覚めのキスで起こしてあげるね♪ 』
・・・どうにも会話が成り立ってない様だ、俺の部屋のドアに鍵はないし携帯の目覚ましを朝5時くらいに設定して確実に里奈より先に起きる様にしよう、俺の貞操を守る為に。
只今の時刻は朝の7時、ちなみに里奈が俺を起こしたのは6時、だったら里奈は何時に起きたんだ?
『 いただきまーす。』
毎日休む事なく里奈が作ってくれる朝食を食べる、度の過ぎたブラコンを除けば非の打ち所のない妹なのに実にもったいない
『 今日からまたお兄ちゃんや夕奈ちゃんと学校に行くんだねっ、夕奈ちゃんも後五分で来るからお兄ちゃんも早く準備してね。』
もはや里奈と夕奈ちゃんと俺が一緒に登校するのは確定事項みたいだな、俺に選択肢はないのか? 別に嫌じゃないんだけど・・・。
いつもの通学路を2人の美少女と並んで歩く、相変わらず人々の視線を集めるのにはもう慣れた
『 ねえねえ夕奈ちゃん、昨日のテレビ見た? 』
『 ・・・見た・・・、面白かったね・・・。』
そんな他愛のない会話をしながら歩いてると見慣れたモデル級の美少女が優雅に立っていた、というよりなんで奈津美さんがここに居るんだ?
『 あっ、奈津美さんだ、おはよーございま〜す。』
『 ・・・おはようございます・・・、奈津美先輩・・・。』
『 おはようございます、貴志くん、里奈さん、夕奈さん、この前は本当に楽しかったですね。』
奈津美さんの言うこの前とは夏休み最後の日曜日にいつもの9人でカラオケに行った事だ、男女9人が集まれば歌う歌う、カラオケ屋に五時間は居座ってたな
『 おはよう奈津美さん、確かに楽しかったよな、あんなに歌ったのは久しぶりだったよ、友が歌ったム○ンライト伝説だけには殺意を覚えたけどね・・・、ところでどうしてここに? 通学路こっちじゃなかったよね。』
『 私も貴志くん達と登校したかったんです、一緒に行きましょう。』
こうして美少女が2人から3人に増えた、好奇の視線も更に増える、これって何のギャルゲなんだよ。
校門に着くと里奈達と別れ俺達の教室に入る、友成と彩花も既に来ていた
『 おはよう、青、奈津美さん、あれっ、2人は一緒に登校してきたのか? 』
余計な事を友成が聞くと奈津美さんは正直に答えてしまう、その瞬間、彩花から体が宙に浮かぶほどの武装 ( バトル ) オーラが吹き出してきた
『 ふ〜ん・・・、だったら私も明日から貴志と学校に通うことに決めたからねっ! 朝の七時過ぎには貴志の家に迎えに行くから先に行ったりなんてすると・・・一生私の性奴隷にしちゃうんだから! 』
彩花さん・・・、何やら聞き慣れない単語が聞こえたのは気のせいだよな? 奴隷はともかく性奴隷なんて言葉をどこで知ったんだよ、近頃の女子高生ってヤツは・・・
『 相変わらずのハーレムぶりだな、お前は卒業するまで奈津美さんや彩花と一緒に登校するのは決定みたいだ、いや、結構結構。』
友成は更に余計な事を言いやがる、絶対面白がってるだけだろコイツ、いつか必ず天誅を下してやるぜ、ベーゴマあたりでなっ!!
今日は始業式だけなので昼前には帰れる、HRも終わりクラスメートがゾロゾロと帰って行く中、俺達は軽い雑談をしてた
『 彩花は○○大学、奈津美さんは保育士かあ、みんな進路は決まってんだな、友は親父さんの会社に入るんだったっけ? 』
『 そう思ってたけどやめたよ、俺は勉強して小さい頃の夢だった鉄道警察隊に入るんだ、香取刑事の意志を継ぐのは日本には俺しかいないからな。』
・・・まあ本人はやる気だし何も言うまい、しかしコイツが警察官かよ、本当になれるのかな
『 素敵な夢ですね、私も応援しますわ、頑張ってくださいね。』
『 真司が警察官ってなかなか似合ってるじゃない、その香取刑事って人を目指して頑張りなさいよ。』
2人は純粋に友成の夢を応援している、持つべきは純真で心優しくて美人な友達だな、さて、俺はどうしようかな・・・。