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大切な人達  作者: 曹叡
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第九十話

遅れて申し訳ありませんでした、仕事上これからもこういう事が多々ありますが何卒ご容赦を。

 私達が見ていた事に気づいた綾子さんはすぐさま話していた携帯を切り立ち去ろうとする、そんな彼女を真兄が引き止めた


『 君は工藤に言われて働いてるのか、お金ってどういう事だよ! まさかあいつにお金を貢ぐ為に働いてるのならそんなのやめた方がいいぞ。』


『 離して下さい! そうだとしてもあなた達には関係ありませんからっ!! 』


『 さっきまでは俺もそう思ってたんだけどな、気が変わったんだよ!! 』


『 ・・・どうしてですか、なんで・・・。』


『 電話で話してる君が困ってる様に見えたんだよ、せめて事情だけでも話してくれないかな、もしかしたら俺達だって何かの力になれるかもしれないぞ。』


さっきまで自分達には関係ないと言ってた真兄、でも目の前に困ってる人が居るのならそれがどんな人でも助けてあげる、こんなトコは小さい頃から変わってないわね・・・


『 でも・・・、あなた達を巻き込みたくはないです・・・。』


『 そんなの気にしなくていいわよ、私達が好きでしてる事なんだからさ、それよりどうかな、事情を話してみてくれない? 一人で抱え込むより誰かに話した方がスッキリするわよ。』


『 じゃあ・・・、後30分で仕事が終わりますから・・・、そこの喫茶店で待っててください、そこで話しますから・・・。』


綾子さんはそう言い残しお好み焼き屋へと入っていった、私達も綾子さんが指定した喫茶店へと向かう。喫茶店にて真兄と先程の一件について考える、なぜ綾子さんは工藤先輩の為に働いてるんだろ? 真兄や青山さんならともかく工藤先輩にそんな魅力があるとは思えないけどね・・・


『 ねえ真兄、どう思う、どうして綾子さんは工藤先輩にああまで尽くすのかな? なんか弱みでも握られてるのかしら。』


『 どうなんだろうな・・・、もしかしたら前田もどっかで働かされてるのかもしれないぜ。』


そんなの許せない!! 女の子を一体なんだと思ってるんだろ、憤る私の耳に店のドアが開く音がする、いつの間にか30分が過ぎて綾子さんが来たのだ、彼女は不安そうな面もちで私達のテーブルに座る


『 あの・・・、私、この後もバイトがありますから手短に話させてもらいますね・・・。』


『 えっ! 2つもバイトしてるの! なんであなたがそこまでしなきゃいけないのよ!! 』


絶対に普通じゃない事情がある、そう確信した私達を静かに見据え綾子さんは話し始めた・・・。


    ――――


喫茶店を出た私達は街中を歩きながら先程の話を思い出す、あの工藤先輩が年上の不良グループからお金を請求されてるなんて・・・


『 どうする真兄? 私達に何ができるんだろ、あのままじゃ綾子さん、倒れるまで働くよきっと。』


『 とりあえず工藤にも話を聞いてみようか・・・、俺達に素直に話すとは思えないけど一応な。』


綾子さんから聞いた話は工藤先輩が知り合いらしき年上の不良グループのバイクを壊してしまい弁償金を請求されてるとの事、綾子さんは工藤先輩に頼まれてバイトを2つも掛け持ちしてお金の工面に協力してるのだった、ちなみに前田先輩の名は一切出てこなかったので私達も黙ってた、多分に前田先輩はこの事は知らないのだろう


『 でも工藤先輩もやっぱりひどい男だよね! 関係のない綾子さんまで巻き込むなんて! ホントっ、あの男の何がいいんだろ!! 私には理解不能だわ。』


『 とにかく綾子さんがファミレスのバイトを辞めてくれるだけよかったよ、大体17歳の子が年ごまかして深夜のファミレスで働くなんて駄目だろ・・・。』


年をごまかしてまで働く綾子さんを真兄は辞めるべきだと強く説得した、最初は耳を貸さなかった綾子さんだったけど誠意を込めた真兄の説得をやがては受け入れファミレスのバイトは辞めると約束してくれたのだ


『 お疲れ様だったね真兄、ひとまず綾子さんの負担は減った訳なんだしさ、工藤先輩の事は明日考えようよ、さぁーて、買い物行っちゃうよー。』


やっとデートを再開できる、買い物やらダーツやらデートを満喫した後は私の家に真兄を招待してママと協力して作った料理を振る舞う、真兄の評価は上々だったんだけどママが必要以上に真兄の体に触れてたのはまた別の話だった・・・。

工藤と綾子のお話はひとまず置いといて次回は奈津美視点です。

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