第八十八話
いずみ視点でいきます。
今日も仲良く真兄とデート、今日は秋服を一緒に買いに行く予定、デートの準備をしてるとママが話しかけてきた
『 今日も真司君とデートね、良かったら今日の晩ご飯もウチに誘いなさいよ、今日は私が作るから。』
『 えー、ダメだよママ、真兄が食べる料理は私が作るんだから! 』
『 いいじゃない〜、たまには私にも真司君に愛妻料理を作らせてよ〜、いずみだけズルいわ!! 』
これでも四十路手前の未亡人、冗談か本気か分からない言動をたまにとるから娘としては心配だ、だいたい娘の彼氏に愛妻料理を作る母親なんていないわよ
『 だったら私とママの2人で作ろうよ、今日は丑の日だしうなぎでしょ、私がうな丼作ってママがスープとサラダを作るの、2人で真兄のお腹を満たしてあげよっ♪ 』
『 いずみがそれでいいなら私はいいわよ、食欲もだけどどうせなら真司君には今日ウチに泊まっていってもらって2人がかりで彼のたぎりまくった若く激しい性欲も満たしてあげましょうか・・・、あん、想像したら興奮しちゃうわ♪ 』
『 ・・・ママ、その口を永遠にふさいでもらいたいのかしら・・・。』
これが母親の言うセリフなのかしら? この部分を取り除けばいい母親なんだけどね・・・
『 じゃあ行ってくるね、晩ご飯の準備までには帰るから、真兄が来ても妙な事言わないでよ! 』
『 妙な事って失礼よね、私も真司君を愛してるのよ、なんたって未来の婿養子だものね。』
婿養子か・・・、真兄は高校を卒業したらお父さんの会社で働いてちゃんと自力で稼げる様になったら私の家で一緒に住むって言ってたのよね、真兄のお父さんはほとんど家に寄り付かないらしいし義母さんは男遊びに夢中だとか・・・、家族の愛に飢えてるであろう可哀相な真兄を私達母娘で幸せにしてあげたかった。
待ち合わせ場所に到着するとまだ真兄は居なかった、まだあと約束の時間まで五分はあるけど来る様子はない、その場で待ってるとそこそこハンサムな男子が私に声をかけてきた
『 かーのーじょっ、何してんだよ、暇なら俺っちと遊びに行かない? メシぐらい奢るぜ。』
ずいぶんと軽い男ね、そんな気は全くないけど
『 悪いけど彼氏と待ち合わせしてるんで、ごめんなさい。』
『 ちぇっ、なんだよ、彼氏持ちか、じゃあな。』
その男が立ち去ると約束の時間から三分遅れて真兄がやってきた、よほど急いで来たらしく真兄にしては相当息を切らしてた
『 はあっ、はあっ・・・、お、遅れて悪かったな、きょ、今日も、はあっ、寝坊しちまってさ。』
やっぱり、よく寝坊するわね、起こす人が居ないから仕方ないのかな
『 別に怒ってないわよ真兄、たった三分しか遅刻してないんだし、どーせまたお父さんと夜中まで議論してたんでしょ。』
『 さっ、さすがだな、はあっ、はあっ、昨日はひさびさに帰ってきた親父と ( ABブームはこの先何年続くか ) と ( 北の拳のラウとカオウとトとサカは絶対に異母兄弟だろ ) いう議論を明け方までしてたのさ。』
相変わらずな親子ね、よくそんな議論を明け方までしてられるわよね、他にやる事ないのかな
『 まあいいわ、それより行こうよっ、今日は服買ってそれからネットカフェでダーツしてそれからね・・・。』
『 行く所多いな・・・、それよりいずみ、お腹すかないか? 久しぶりに走ったからもう腹ペコでさ。』
『 いいわよ、それじゃ何か食べに行こっか、真兄は何食べたいの? 』
『 今日は丑の日だろ、それならやっぱウナギが食いてーな。』
『 ウナギなら今日の夜にウチで食べなよ、私が作ったげるからさっ。』
『 ホントかよっ、うわ〜、すっげー楽しみなんだけど、だったらお好み焼きでも食べねーか? 旨い店知ってんだよ。』
こうして真兄とお好み焼き屋に行く事になった、そこにはあの子が居る事など知る由もなく・・・。
真司といずみにはどんな未来を用意しようかな・・・。