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大切な人達  作者: 曹叡
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第八十七話

今回は少し短くまとめてます。

 神社から出た後、田中くんとはそのまま別れた、別れ際に彼は私の方を見て四森くんにおせっかいな一言を言い残した


『 四森さんの彼女さんなんですか? いいなぁ〜、そんな可愛らしい子と付き合ってるなんて、僕もいつかは恋人作ってデートとかしてみたいですよ。』


田中くんは最初の暗そうな印象が嘘のようにだいぶ楽しそうに喋っていた、本来はこういう人だったのかな? 去りゆく田中くんを見送る四森くんは安心した口調で話し出した


『 今の田中くんならもう大丈夫だな、これからはきっと楽しい生活を送ってくだろうさ・・・。』


『 そうだね、それより四森くん、少し気になったんだけどいつの間にあんなに強くなったの? 5人相手にほとんど楽勝だったじゃない。』


素直な疑問をストレートにぶつけた、すると四森くんはあっさりと答えてくれる


『 ああ・・・、あの工藤さん達にやられた後からジムに通って体を鍛えだしたんだよ、やっぱり男は強くなくちゃと思ってさ、そのついでに朝は新聞配達のバイトもしてるんだ、自分の小遣いは自分で稼がなきゃ俺もさっきの5人と同じだからね。』


『 そんな事ないわよ! 四森くんはあんな奴らとは絶対に違うんだから!! 』


四森くんの一言に私は思わず声を荒げてしまう、でも本心からの言葉だった、人を殴って金を脅し取るような人間と四森くんは断じて同じなんかじゃない


『 ありがとう、鈴木さん・・・、そう言ってくれるだけでだいぶ救われた気になれたよ、俺だってもしかしたらあの5人以上に卑劣な小悪党になってたかもしれないからね・・・。』


自虐的に四森くんは言い放つ、私はそんな彼をギュッと抱きしめた


『 えっ・・・、ち、ちょっと・・・、鈴木さん? どうしたんだよ・・・。』


『 四森くん・・・、もう過去に縛られるのは終わりにしようよ、四森くんの答えは償いじゃないわ! どんな些細な悪事やいじめも許さない優しく強い心でいろんな人を助けてあげたじゃない、里奈ちゃんと夕奈ちゃん、さっきの田中くんだってそうだわ、四森くんが助けてあげたんだよ!』


四森くんを抱きしめたまま、思いの丈を遠慮なくぶちまけた、抱きしめたといっても背の低い私の顔は背の高い四森くんの胸に埋もれてるのだけど


『 目の前にいる困ってる人の力になってあげる、それだけでいいじゃない、償いとか答えとか気にしないでもっとシンプルに考えようよ! 』


『 でも俺のせいであいつは、須藤は・・・。』


まだ四森くんは踏ん切りがつけない様だった、私には分からないけどやはり人一人を自殺未遂まで追い込んだのは相当に重いんだね


『 いつまでもクヨクヨしてたら須藤くんも許してくれないわよ! しっかりしなさい!! 四森蒼太! 』


『 鈴木さん・・・。』


『 きっと須藤くんだっていつまでも辛い過去に縛られてなんていないわ、前に進まなきゃ人は歩けないんだよ、前を向いて歩こうよ、四森くん! 私達と同じこの空の下で笑ってる須藤くんの為にもさっ! 』


『 鈴木さん・・・、フッ、フフフ・・・、アハハハハっ。』


四森くんがいきなり笑い出した、その笑顔は迷いを吹っ切った様な顔だった


『 俺って奴ぁ、何を五年間も悩んでたんだろうな・・・、鈴木さんのお陰でやっと前に進めそうだよ、もう過去なんていらない・・・、須藤の為にも俺は前に進むべきなんだよな! 』


『 四森くん♪ 』


もっとギュッと力強く四森くんに抱きつく、この瞬間から私達の新しい関係が始まろうとしていた。

次回は真司といずみのお話です。

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