第八十五話
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現在、時刻は午後1時40分、四森くんとの待ち合わせ場所である映画館近くのデパートの入口に私が到着して10分くらい経っていた、実は待ち合わせ時間は2時なんだけど当然四森くんはまだ来ていない
『 ちょっと早過ぎたな〜、でも待ってる女の子ってのも悪くないよねー。』
『 本当に早過ぎだよ、これじゃ2時に約束した意味ないじゃないか・・・。』
うっとりと自己満足に浸る私の耳に聞き慣れた声が聞こえる、待ち合わせの時間より20分前なのにもう四森くんが来たのだ
『 嘘っ、もう来ちゃったの! どうして四森くんはいつもそんなに来るのが早いのよー、四森くんの方が約束してる意味なくしてるじゃんかぁ〜。』
私の理不尽な文句も四森くんにはどこ吹く風だった、彼はいつも待ち合わせに早く来る理由をこう告げる
『 そんなに深く考えてないけどな、とにかく遅刻をしない様に早めに行動してるだけだよ、待たせたりしたら相手の人に失礼だからね、それだけの事さ。』
四森くんは簡単に言うけどそれだけの事が出来ない人が多いんだよね、私の中学時代に付き合ってた男なんか30分以上の遅刻は当たり前だったんだから。
デパートの入口から歩いて3分くらいの場所に映画館はある、今日見る映画は完治不可能の難病に侵された少女が周りの人達に支えられて精一杯生きていくが最後には死んでしまうという数年前に沢○エ○カさんが主演してたドラマによく似た内容だった
『 鈴木さんがこういう映画を見るとはね、なんか意外だな、てっきり恋愛モノだと思ってたけど。』
『 そんなに意外? 私って結構こんな話好きなんだよ、病気に挫けない女の子の勇気と優しさは絶対感動するんだから〜。』
四森くんは私がこの手の映画をチョイスしたのが意外だったみたい、四森くんの中で私はどんな女の子だと思われてるんだろう、気になったけどもうすぐ映画が始まる、私達はチケットを買って映画館の中に入った
『 ううっ・・・、私、もうだめだよ・・・、麻耶ちゃん、頑張って・・・。』
まだ映画の途中なのにもう私は涙を流していた、四森くんも熱心に見入っている、クライマックスに近づく頃には私の涙は一リットルに達していたかもしれない
『 鈴木さん、感動したのは分かるけどさ、そんなに泣かなくても・・・。』
『 グスっ、だ、だって・・・、麻耶ちゃんがぁ・・・、あんなに頑張ったのに・・・、ヒック、死んじゃったんだもん・・・。』
映画が終わり映画館から出た私達は映画の結末に号泣してる私のせいで周囲から注目されてる、同じ映画を見た他の観客もある程度は泣いてたんだけどな・・・、その視線から逃げ出すかの様に四森くんは強引に私の手を引き歩き出した。
四森くんに手を握られて心踊らせながらひたすらに歩いていく、それにしてもどこまで行くつもりかな? まさか男女が2人で入るホ・・・、あれこれ考えてると私達は人の気配がない寂れた神社に来ていた
『 ここならいいだろ・・・、ここなら誰も居ないから存分に泣けるだろ、人前で泣かれるのも変な誤解をされるからな・・・、それはそうと確かに感動する映画だったよ、俺も映画館で泣きそうだったしね。』
・・・まさか四森くんは私を好きなだけ泣かせる為にここまで来たのかな、優しいというか何というか、今までの私のドキドキを返してもらいたかった
『 もう充分泣き尽くしたわよっ!! 今は違う意味で泣きそうだよー。』
私が叫ぶと四森くんは何がなんだか分からないといった表情をしている、四森くんと一緒に行動する様になって分かったのだけど彼は案外天然なトコがあるように見える、そんなトコもかわいく思えるから許しちゃうんだけどね、だけど当の四森くんは神社の端っこにあるトイレの方を見ていた、私も見てみると5人もの少年が1人の少年を取り囲んでいた・・・。
蒼太に天然属性が付きました。