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大切な人達  作者: 曹叡
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第八十二話

貴志がぶちのめしたいくらいのハーレム男ぶりですが寛大な心で見てやってください。

 『 それで、彩花は何処に行きたいんだよ? 』


貴志が不意に聞いてくる、正直あまり考えてなかった


『 うーん、とりあえず街に行こっか、目的地は歩きながら考えるわ。』


『 なんじゃそら・・・、まあいいけどな。』


こうして貴志と街へ向けて歩き出す、もちろん恥ずかしがる貴志を制して手を繋ぐ事を忘れなかった。

街に着いても特に行きたい所が思い浮かばなかった、ただ街中を貴志と恋人っぽく歩いてるだけで充分楽しいのだけど


『 どうだよ彩花、行きたい所は決まったんか。』


貴志は優しく聞いてくる、ただ歩かせてるだけなのに怒ってないのかしら?


『 う〜ん・・・、特に決まらないわ・・・、貴志は行きたい所とかないの?』


自分で思いつかないから貴志に行きたい場所を決めさせようとする、自分で誘っておきながらひどい無計画よね、でも貴志は特に気にする素振りもなく言った


『 俺か?、俺に言われても行きたいトコなんてなぁ・・・、俺は散歩好きだからこのままでも結構楽しいぞ、こんなデートもアリだと思うけどな、このまま気楽に歩いてりゃいつか行きたいトコもでてくるさ。』


貴志は何の気なしに言ったんだろうけどそんなさりげない優しさに救われた気がする、さらっとこんな事が言える性格だから奈津美達も惚れちゃうのよね、貴志って自分の魅力が自分で分かってないのかな?


『 じゃあもう少し歩こっか、疲れたら言ってね。』


『 ああ、彩花も行きたい所が出来たらいつでも言ってこいよ、俺ならどこでもいいからさ。』


そう言って優しい笑顔を見せる貴志を見た私はこの上なく幸せだった、貴志の隣に居れるこの時間がずっと続いたらいいのにな。

それからおよそ一時間は歩いた、貴志はまだ全然平気そうだけど私の方が疲れてしまった時、目の前に小綺麗な喫茶店が見えた


『 ねえ貴志、あそこの喫茶店入ってみない? なんか小腹すいたしコーヒー飲みたくなっちゃった。』


『 おう、俺も喉乾いてたからちょうどよかったよ、じゃあ入ろっか。』


喫茶店に入った私達はコーヒーと軽食を頼む、香ばしいコーヒーを片手に貴志との会話も弾んでいった


『 へ〜、里奈や夕奈ともデートしたんだ〜、じゃあ今度は奈津美とデートするんでしょ、モテる男はつらいわよねー。』


『 からかうなよ、約束してたんだから無視する訳にもいかないだろ、俺だってこれでもいろいろ悩んでるんだよ・・・。』


確かに私達から言い寄られてる貴志は悩んでると思う、私も本気で貴志が好きなんだけどそれは里奈も奈津美も夕奈も同じ、それを貴志も分かってるからこそなかなか選べないのよね


『 ゴメンね、悩ませちゃって、でも私は本気で貴志の事が好きなんだよ、奈津美達もきっと同じ気持ちだと思う・・・、だから貴志には真剣に考えて選んでほしい、貴志が選んだ人なら私は喜んで祝福するわ、できれば私を選んでほしいんだけどね。』


どさくさに貴志に好きって言っちゃったな、貴志も私の態度を見てれば分かってるとは思ってたけどやっぱり面と向かって言うと恥ずかしい、しかし貴志はいたって冷静、人が好きだって言ってんのにー


『 そっか・・・、実は里奈も以前に同じような事言ってたんだ、俺が誰を好きでもそれで俺が幸せなら自分も幸せだってね。』


そうなんだ、里奈がそんな事をね・・・、ただのブラコンじゃないとは分かってたけど私の想像以上に里奈って大人だったのね


『 全く、お前も里奈も・・・、いや、奈津美さんも夕奈ちゃんも不思議だよ、捜せば俺よりもっといい男とか簡単に見つけられるだろうにな・・・。』


『 貴志よりいい男なんていないわよ! 真司と蒼太は結構イイ線いってるけどさ、でも私や奈津美達にはもう貴志以外の男なんて考えられないのよっ! 』


かなり恥ずかしい事を熱弁する私を貴志は唖然と見ていた、よく見ると周りの客も私達の方を見ている


『 あ、彩花っ! そろそろ出ようか、そうだっ、ゲーセン行かねーか、ちょうど新しいゲーム入ったらしいからな。』


貴志が慌てて店を出ようと促してくる、もちろん私も異論なかった


『 そ・・・、そうね、じゃあまた貴志にぬいぐるみ取ってもらおっかなー。』


周りの好奇に満ちた視線から逃げる様に喫茶店から出る私達、だが店を出てしまえばこっちのもの、また貴志の手を繋ぎ歩き出す


『 行こう貴志っ、私、ウサギのぬいぐるみ欲しいんだよねー。』


『 ウサギねー、彩花のキャラじゃないよな。』


『 何ですってーっ!! どういう事なのよーっ。』


どう見ても今の私達はカップルそのものだ、夢にまで見たこの時間を私は大事にしたかった。

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