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大切な人達  作者: 曹叡
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第八十一話

今回は彩花視点でいきます。

 あの別荘から帰ってきて3日ほど立ったある日の昼下がり、勉強が一段落ついて余裕のできた私は貴志に電話をかけてみた


『 もしもし、あっ、貴志〜、単刀直入に聞くけど今ヒマ? ヒマだよね! ヒマって言いなさいっ!! 』


『 彩花か・・・、もしヒマじゃないって言ったらどうするつもりなんだ? 参考までに聞かせてくれるかな。』


どういう事なのよ、もしかしてこれから里奈か奈津美か夕奈とデートをする予定でもあるのかしら? 不安に駆られながら私は貴志の問いかけにこう答えた


『 もちろんその時は監禁部屋の段取りを始めるわ、貴志もあの時の約束、忘れちゃいないわよね・・・、私はそっちでもいいんだよ、フフっ、でもどっちにしても貴志は数年後には私と一つ屋根の下で一緒に暮らす運命なんだけどね♪ 』


今の私は貴志に対してここまで大胆な発言ができる様になっていた、もうごまかしてなんていられない! このままじゃ貴志を奈津美とか夕奈とか、最悪の場合は里奈に取られてしまうかもしれない、あの三人が貴志に並々ならぬ好意を抱いているのは近くで見ていて容易に分かる、でも私の貴志への想いもあの三人に勝るとも劣らないはず、だから私も諦めない、絶対に貴志と恋仲になりたかった


『 監禁だけは勘弁してもらいたいな・・・、でもちょうど今は里奈も夕奈ちゃんと遊びに出かけていって本当にヒマなんだ、友も電話したらいずみちゃんとデート中だったし、いーぜ、約束だからな、どこでも彩花の行きたいトコに連れてってやるよ。』


貴志はそう言うと準備するからと待ち合わせの時間と場所だけ指定して電話を切る、携帯を置いて私もデートの準備を始めようとすると部屋のドアをノックする音が聞こえてきた


『 姉さん、ちょっと話があるんだけど。』


ドアを開けたら外出用の服に着替えてる蒼太がいた


『 何よ、着替えちゃって、どこか出掛けるの? 』


『 うん、今から出掛けるんだけど多分帰るのが8時過ぎると思うんだ、だから今日は俺の分の夕飯は作らなくていいから。』


そう言う弟は若干浮かれてる様な気がした、ちょっとからかってみようかしら


『 そーなんだ、ひょっとして紗恵ちゃんとデートにでも行くの? 蒼太も青春してるんだね〜。』


『 デートかどうか知らないけどな・・・、鈴木さんが一緒に映画を見ようって誘ってきたんだよ、ちょうど俺も見たい映画だったし1人で映画館に行くのもなんだか恥ずかしいしね。』


それは世間一般ではデートと言うんじゃないの・・・、私の弟は微妙に天然だったみたいね、せっかく私に似て美形なのに、これじゃあ紗恵も苦労するわね


『 まあしっかり楽しんでらっしゃい、私も今から貴志とデートだから。』


『 へぇー、姉さんも案外やるね、こりゃあもしかしたら青山先輩が俺の義兄になったりするかも・・・、おっ、もうこんな時間だ、じゃあね姉さん。』


蒼太は意味深な言葉を残しバタバタと走っていった。

・・・なるわよ、貴志は蒼太の義兄に、そして私の夫にね、もう私は貴志以外の男とは付き合わないんだから! 前に通ってた高校で外見だけのつまらないチャラ男と付き合ってた私はその男を親友だと思ってた女に寝取られた、だけど貴志は私のそんな過去を辱めたりしなかった、それだけじゃなく私と友達になりたいって言ってくれた、そして貴志だけじゃなく真司や奈津美、里奈達とも友達になった私は過去を吹っ切り前に進む事が出来た、そしていつしか、私の中で貴志の存在が大きくなっていった・・・


『 何着ていこーかな、貴志はズボンよりスカート派だし、上はさりげなく胸を強調した方が・・・。』


貴志の好みを考慮しながらデートに着ていく服を選んでるとある事に気付く、待ち合わせの時間まで後10分を切っていたのだ


『 えーっ、もうこんな時間だったのー、どうしよどうしよ? 早くしなきゃ遅刻しちゃうぅー。』


あまり考えずに服を着替え慌てて家を出る、家から待ち合わせ場所までちょうど10分で着く距離、体育の授業よりも全力疾走して待ち合わせ場所に着くと先に来てた貴志が微笑んで迎えてくれた


『 そんな慌ててこなくても・・・、俺も今来たばっかりなんだからさ。』


『 ハア、ハア、ハア・・・、ちょっと・・・、体力が・・・、ハア、ハア、落ちてたから・・・、運動・・・、してきたのよ! 』


我ながら苦しい言い訳よね、結局5分近く遅刻してしまったけど貴志は全く咎めたりしなかった


『 はいはい、それじゃ少し休んでから行こうか、ジュース買って来てやっからちょっと待ってろよ。』


それから貴志と待ち合わせ場所の公園で10分ばかり談話した、どんな他愛のない話でも熱心に聞いてくれる貴志の横顔を見て私はもうドキドキしている、でも・・・、今日は私が貴志をドキドキさせてあげるんだからねっ! 私は心の中でそう宣言していた。

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