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大切な人達  作者: 曹叡
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第七話

今回は奈津美視点です。

あんな人、青山君に相応しくございません、あんな人と友人だった自分の人の見る目のなさに呆れかえるばかりです。


何を考えたら青山君にあんな残酷な事が言えるんでしょうか・・・でもこれはチャンスなのかもしれません、私だって実は青山君のことが好きなのです、ですが友人だった前田さんの青山君に対する真剣な想いに聞いて私は身を引きました、当時は前田さんも私の大切な友人でしたから・・・。


しかし前田さんは青山君を最も残酷な形で裏切りました、恋人がいるのに他の異性に心を動かされるというのはあるかもしれません、男性にしろ女性にしろ、だけど前田さんは酷すぎます、あれでは青山君は・・・でもこれで前田さんに遠慮する必要はなくなりました、あんな人より私の方が青山君に相応しいに決まってますわ。



何やら学校のアイドルとか言われてる私には多数の男子が言い寄ってきますが私は青山君以外の人と付き合う気は毛頭ございません、あの日から・・・。




高校2年になったばかりのある日曜日、買い物を終えて帰宅する途中、家の近くの道で怪我をしたネコを見つけました。


どうやら自転車にひかれたみたいでした、どうしようかとネコを見てたら後ろから声を掛けられたのです


『 あれっ、どうかしたの、高野さん?』


振りかえったみますとそこには買い物袋を持った青山君がいました


『 あら、青山君、青山君も買い物でしたの。』


『 うん、妹が風邪ひいてね、薬とか果物とか買いに行ってたんだ。』


青山君とはこの当時はまだ交友はございませんでした、でも見た目に反して凄く真面目な方ですし話し方もとても優しそうなのです、クラスでも数回話をしましたけれど悪い印象は全くありませんでした。


青山君は妹さんと2人暮らしをしているそうです、彼と友人の友成真司君との会話でそんな話をしてたのを聞いた事があります


『 そのネコどうしたの? 怪我してるよね。』


『 ええ、おそらく自転車にはねられたのだと思いますわ、可哀相に・・・。』


『 ヒドいな、はねといてそのまま放置かよ、とにかく手当てしなきゃな。』


『 そうしたいのは山々なんですが・・・生憎私の家はマンションで動物を部屋まで連れ込むのはダメなんです・・・。』


『 そうなんだ、じゃあ俺のウチに連れてくよ。』


困ってる私を見て青山君は何の迷いもなくそう申し出てくれました、更に


『 後は・・・多分飼い主も心配してるだろうからビラでも作ってこの辺りにはっとくか、俺の連絡先を書いときゃ連絡してきてくれるかもしれないしな。』


『 本当にいいのですか? とても助かりますわ。』


『 このままにしておけないからね、なあネコ助。』


そう言ってネコを見る青山君の表情はとても暖かそうで思わず見惚れてしまってました


『 でも妹さんが風邪なのですよね? ご迷惑になるんじゃないでしょうか。』


『 まあ大丈夫だよ、里奈もネコ好きだしウチは一軒家だから他には迷惑かからないしね。』


『 でもやはり悪いですわ・・・最初に見つけたのは私ですし・・・。』


『 マンションなら仕方ないよ、いいからここは俺に任しといてよ、必ずこのネコ助は手当てして飼い主に帰してやるから。』


・・・クラスのほとんどの人は青山君の見た目だけであまり話しかけようとは致しません、友成君や前田さんと私くらいです、でも今日、青山君の見返りなんて求めない純粋な優しさに触れ私の心の中で青山君の存在が大きくなりました


『 じゃあ帰るよ、寝込んでる病人をいつまでも1人にしとけないしね、飼い主が見つかったら高野さんにも教えるからさ。』


片手にネコを抱いて帰ろうとする青山君に私はせめて


『 あっ、それでしたら青山君、連絡先おしえて下さい、もし大変でしたらいつでもお手伝いしますわ、遠慮なく申して下さいな。』


こうして私達は携帯番号とメアドを交換してそれぞれ帰りました、それから2日後には青山君からネコの飼い主が見つかったとの電話を受けました、そして程なく、青山君は私の中学からの友人、前田理子さんの告白を受けて恋人同士になりました、前田さんは中学からいつも一緒だった大切な友達、それに青山君が幸せならばと思い私も身を引いたのですけど・・・それなのに彼女は自分から告白しておきながら最悪の形で青山君を裏切ったのです。



青山君・・・大丈夫ですわ、貴方には私がいます、不幸のどん底に落とされた貴方を私が世界一に幸せな男にしてみせます、楽しみにしてて下さいね・・・。

次話から貴志視点に戻ります。

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