第六十六話
真司といずみの過去話の後編です。
今日も学校で私は男子達から口汚く罵られる、毎日飽きない奴らよね、他にする事がないのかしら 『 なんだよっ、暑苦しいんだよブタ、ブタはブタ小屋に行けよ。』 『 やーい、ブタ女〜、あははっ、友達がいないんだからこんな所で1人で本読んでるんだよな。』 昼休みに図書室で独りで本を読んでいる私にわざわざ言い寄ってくる馬鹿男子3人、こんなの無視無視 『 やっぱブタは喋れないよなー、だってブタだからな、人間じゃないもん。』 『 そうかー、人間じゃないから人間の友達が1人もいないんだな、だったらあの五年の奴も人間じゃねーんだ、あははっ。』 ・・・私の中で何かがキレる感じがした、気づけば私はその男子達に普段以上の大声で言い返していた 『 うるさいっ!! お前らなんかが真司兄ちゃんを馬鹿にするな!! 真司兄ちゃんはお前らなんかよりよっぽど人間らしいよ、お前らの方が人間じゃない!! 』 言い返すとなんかスッキリしたわ、図書室中の注目を集めてたけどその馬鹿達は怒り心頭だった 『 なにブタのクセに人の言葉喋ってんだよ、偉そうに! ブタのクセに生意気なんだよぉ。』 馬鹿共が私を殴りつけようとしたらいきなりガラッとドアが開いた、真兄が図書室に入ってきたのだ 『 いい加減にしとけよこのクズヤロウ共、人には好き勝手に悪口言うのに自分らが言われたら暴力で返すのか、人を馬鹿にするのも大概にしろよお前ら!』 『 なんだとっ! もー怒ったからな、お前らまとめてタコ殴りにしてやる!! 』 更に怒り狂った馬鹿共は3人がかりで真兄に襲いかかるがスポーツ万能で運動能力抜群の真兄の相手じゃない、あっという間に3人を地べたにたたき伏せた 『 今度またいずみに悪口言ったりとか暴力を振るったりしてみろ! このくらいじゃ済ませないからな、分かったか!! 』 馬鹿3人は地べたで泣いている、図書室の人達は何も言えずただ呆然としてた、真兄は私の手を取り一緒に図書室から出ようとする 『 大丈夫かいずみ、ったくよぉ、たまたま俺が図書室の前を通りかかったからお前らが居るの分かったんだぜ、あんまり1人でムチャすんなよ、お前はケンカとかできないからな。』 真兄が来てくれた事が凄く嬉しかった、私は助けに来てくれた王子様に一つ確認しておきたい事があったので確かめてみる 『 ・・・真司兄ちゃん、ありがと・・・、ねえ、あの時の約束、覚えてる? 』 『 当たり前だろ、保育園の時だったよな、ずっと一緒にいようなって約束だろ、忘れるわけないよ。』 覚えてたんだ、保育園で交わした約束・・・、その時は単純に友達として一緒にいたいってだけだったんだけどね、でもこの瞬間、それに恋愛感情が加わった、私は男の子として真兄が好きになったのだ 『 行こーよ真司兄ちゃん、私はもう・・・、負けないからさ♪ 』 『 ああ、それでこそいずみだ、お前には必ず俺がついててやるからな! 』 私の笑顔に真兄は安心した表情を浮かべてた、何も悩む事なんてなかったじゃない、ほんの少し勇気をだせばよかったのよ、どんな私でも真兄は受け止めてくれるんだから・・・。 あれから当然、真兄は教師から怒られた、あの馬鹿共の親にも怒られたけど真兄は決して謝らなかった 『 俺は何も悪い事なんてしてない! 謝るのはあいつらの方じゃないか。』 真兄はそれしか言わずに結局、真兄1人が悪者扱いされた、でも真兄には私がいる、私はもう悪口なんかに負けない、時の流れと共に私の体型もスレンダーになり逆に私に言い寄る男も増えたがそんな男なんて全く眼中にない、私の隣は真兄の指定席なのだから。 やがて真兄と同じ東明高校を受験する事を真兄に告げると同時に私の抱いてた想いも告げた、少し迷ったけれど真兄は私の想いを受け入れてくれた、私達は幼なじみから恋人同士になったのだ・・・。 ―――――― 『 という訳なのよって・・・、おーい、寝ちゃってどうすんのよー。』 あまりに長い昔話の末に里奈ちゃんと夕奈ちゃんはとっくに夢の世界に旅立っていた、まあいいけどね、真兄はずっと私と一緒に居てくれる、それは一生変わらない、だって約束したんだもんね、真兄♪
次回から貴志視点でいきます。