第六十三話
初のいずみ視点です。
今日も夏の海にて心ゆくまで遊び尽くした、やっぱり人数が多いとそのぶん面白さも倍増よね、海から別荘に戻った私達はそれぞれ自分達の部屋で過ごす、私と相部屋は里奈ちゃんと夕奈ちゃん、ガールズトークに花を咲かせていた 『 それでですね〜、その時お兄ちゃんったら、慌てて里奈を止めたんですよ、だから里奈もついあんなになっちゃって・・・。』 『 そうなの〜、青山さんってしっかりしてそうに見えて結構うっかりさんなのね、まっ、真兄の親友だからかな〜。』 『 ・・・でも・・・、そんなお兄さんも・・・、可愛らしいです・・・、友成先輩も・・・。』 女三人集まれば話も尽きないものね、1時間はゆうに話してふと時計を見たらもうすぐ夕方の5時になりそうだった、実は今日の夕食は私と紗恵ちゃんが作る事になっている、夕食作りに立候補した私に紗恵ちゃんがお手伝いしたいと申し出てきたから、私はその申し出を喜んで受けた、献立はチキンバスケットに八宝菜、あとはオムレツにみそ汁となかなかにボリュームがある、でも紗恵ちゃんもいるんだしなんとかなるでしょう、意気揚々と私はキッチンに向かった 『 あっ・・・、矢島先輩、今日はよろしくお願いします、私、あまり料理とかしないんですけど・・・、矢島先輩の邪魔にならない様に頑張ります! 』 キッチンにはかわいいエプロンを着た紗恵ちゃんが私より先に来てた、なんか緊張してるわよね 『 紗恵ちゃん、そんなに緊張する事なんてないわよ、一緒に美味しい夕食を作りましょ♪ 』 『 は、はいっ。』 こうして私と紗恵ちゃんの夕食作りがスタートした、私は唐揚げを揚げながらも八宝菜に使用する野菜を調理していく、紗恵ちゃんはみそ汁とオムレツを担当してくれる、始めは自信なさげな紗恵ちゃんだったけどそれなりの手つきで調理できてる、少なくとも以前の私よりは上手だった 『 紗恵ちゃんったら〜、結構料理上手じゃないのよー、きっといいお嫁さんになれるわよ、うん、蒼太くんも喜ぶわね。』 『 えっ・・・、そっ、そんな、私が・・・、四森くんの・・・。』 紗恵ちゃんは恥ずかしげに慌てふためく、本当にロリかわいい子よね、別に私はソッチの気はないけど。 調理は滞りなく進み私は八宝菜、紗恵ちゃんはみそ汁の仕上げにそれぞれ取りかかる、既に出来てるオムレツやチキンバスケットを里奈ちゃんや夕奈ちゃんがテーブルへと運んでいく、そしてメニューはすべて完成、テーブルにはもう真兄達が座っていた 『 ひょ〜、こりゃ凄いなー、美味そうなおかずが沢山あるじゃねーか。』 料理を見た真兄は私と紗恵ちゃんが作ったおかずに喜びの声をあげていた、やはり好きな人からそんな事を言われたら嬉しいわね 『 この料理って鈴木さんと矢島先輩が作ったんですよね、これだけの料理が作れるのは凄いですよ。』 蒼太くんは素直に賞賛してた、紗恵ちゃんは嬉しそうに謙遜してたけど 『 いただきま〜す。』 私達の作った料理が皆の口に合うか不安もあったけどみんな美味しいと食べてくれた、特に男子三人と里奈ちゃんはバクバク食べている、その様子に一安心してたら奈津美さんが私達の料理を褒めてくれた 『 とても美味しいです、いずみさんも紗恵さんもこれほどの料理を作れるのですね、私も見習わないといけませんわ。』 『 奈津美さん・・・、ありがとうございます、奈津美さんにそう言ってもらえたらなんか自信がつきます、ねっ、紗恵ちゃん。』 紗恵ちゃんも奈津美さんにお礼を言い返してる、それにしてもやっぱり奈津美さんは優しいお姉さんの貫禄ありまくりよね、とてもさっき青山さんに天誅を加えた人には見えないわ。 夕食は残る事なくすべて食べてくれた、青山さんも満足そうな表情を浮かべて私達を労ってくれる 『 ふぅー、食った食った、すっげえ美味しかったよ、いずみちゃんと紗恵ちゃんがこんな美味い料理を作れるとはね・・・、脱帽したよ、大したもんだっ。』 真兄も蒼太くんも私達の作った夕食を美味しかったと褒めてくれる、やっぱり今日の夕食を作ってよかった、美味しかったって言葉が聞けて本当によかった、そして食事後の後片付けは男子三人がしてくれた 『 いずみや紗恵ちゃんには旨い料理を沢山食わせてもらったからな、片付けくらいは俺達がしなきゃな、なあっ、青、蒼太。』 そう言ってくれた真兄に私は甘える事にした、私と真兄が結婚したらこんな感じなのかしら・・・、そんな事を想像したら何だか未来が楽しみに思えてきて私は嬉しくなった。