第四十九話
やっと別荘編に入ります。
今日は8月1日、友成の親父さんの別荘に行く日だ、いつもと変わらない時間に目を覚ました俺は一階に降りる、そこには甲斐甲斐しく朝食の準備をしている里奈と夕奈ちゃんがいた 『 おはよ〜、お兄ちゃん、いよいよだねっ。』 『 ・・・お兄さん・・・、おはようございます・・・、もうすぐ・・・、朝食の用意・・・、できますから・・・。』 朝起きたら美少女二人が俺に朝食の準備か、この事を友成に話したら ( どこのエロゲの主人公だ!) とか言われるんだろうな 『 ねえ、九時に駅に待ち合わせだったよね、ということは電車で行くんだよね、それじゃあお兄ちゃんの席の隣には里奈が座るの決定だね♪ 』 『 ・・・そんなの・・・、許さない・・・、お兄さんの隣は・・・、私が座るから・・・。』 『 ダメだよ夕奈ちゃん、お兄ちゃんの隣は里奈の指定席なんだよー、そうだっ、お兄ちゃんが決めてよ、里奈はお兄ちゃんの事を信じてるんだからね 』 なんで朝の食事時にこんな話をするんだよ、熱のこもった目で俺を見る二人、俺は意を決して二人に言う 『 そうだ、俺が友か蒼太の隣に座ればいいんだ、いやー、こんな簡単な事に気づかないとは・・・。』 言った瞬間、絶対零度の視線を俺に向ける美少女二人、そんな絶対絶命の俺に救いのインターホンが鳴る、我先に玄関に向かいドアを開けたらそこにはバックを持った奈津美さんがいた 『 おはよう貴志くん、私も貴志くんと行きたくて・・・、来ちゃった♪ 』 奈津美さんの服装は清廉潔白そのもので白を基調にしたスカートが非常に彼女に似合っていた 『 奈津美さん・・・、とっ、とにかく上がってよ、夕奈ちゃんも来てるから四人で行こう。』 あまりの美しさにうろたえながらも奈津美さんをウチに上げる、里奈と夕奈ちゃんも奈津美さんの来訪を喜んでた、あっという間に騒がしくなる我が家 『 奈津美先輩、すっごく可愛いんですけど〜、気合い入ってますね〜。』 『 ありがとう、里奈さんも夕奈さんもとても可愛いわよ、今日を楽しみにしてたんでしょう。』 『 ・・・奈津美先輩・・・、綺麗です・・・、やっぱり・・・、一番の・・・、ライバル・・・。』 三人は話に花を咲かせていく、若干余計な単語が混じっていたけど奈津美さんはスルーしてくれた、そんなこんなで家を出る時間となり戸締まりをしっかりと行い俺達は待ち合わせの駅へ出発した。 思ったよりも早く待ち合わせ場所に到着して友成達を待つ、その間やたらと男性達の視線を感じる、俺の周りにいる三人の美少女のせいだろうな、着いて五分程たったその時 『 おはよー、みんなー、待ったーー。』 『 おはようございます、皆さん、少し遅くなってしまいました。』 『 おはよーございます、待たせちゃってすいませんでした〜。』 四森姉弟と鈴木紗恵ちゃんが慌てて駆け寄って来る、これで後は友成夫妻を待つだけになった 『 どうしたのかな、真司くんやいずみさん、また寝坊してるのかな。』 『 とにかく友に電話してみるか、まったく、世話のかかる奴だな。』 あと二分で九時になるのにまだ来ない友成夫妻を心配してる奈津美さん、俺が携帯を取り出そうとしたら 『 はっ、はあっ、皆さ〜ん、すいませ〜ん。』 『 すっ、すまなんだ〜、皆の衆〜、なっ、何とか間に合った様だなー。』 懸命に走ってくる友成夫妻、駅前でかなり目立ってるぞ、まあ遅刻したわけじゃないからいいけどな 『 おはよ、友、いずみちゃん、どした、また友が寝坊したのかよ。』 『 ちっ、違わい、いずみを迎えに行ったら美鈴さんに捕まってたんだよ。』 『 そうなんですよー、ママが私も行きたいってしつこくて、仕事があるのに休むとか言い出して大変なんでしたからー。』 『 まあ、フフっ、それは大変でしたね、それじゃあ全員そろったし、行きましょうか。』 いつの間にか奈津美さんがリーダーシップを取っている、確かに俺達三年生の中では一番しっかりした人だしな、なんとなく保護者っぽいトコがあるんだよな、そんな彼女に促され俺達は駅に入った。 切符を買いホームで電車を待つ、人数の多い俺達は何かと人目につき特に男性達の視線がハンパない、六人共美少女だからな・・・ 『 お兄ちゃん、里奈の隣に座ってね 』 『 ・・・お兄さんの隣は・・・、私が・・・。』 やばい、そういやまだこの件の決着がついてなかったな、やはりここは友成か蒼太の隣に逃げるしかないのか、その時、俺の後ろにいた奈津美さんと彩花が俺にしか聞こえない様な小さい声でつぶやいてた 『 貴志くんの隣か・・・、ウフフッ、まずは第一ラウンドですわね。』 『 貴志の隣には絶対に私が座るんだから・・・、誰にも譲らない。』 何かイヤーな予感しかしないけど、第一ラウンドって何だよ、そんな俺の不安をよそに俺達の乗る電車がホームに着いてしまった・・・。
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