第四十話
前回の話の続きです。
ウチに遊びに来ている里奈の友人達、ボブカットの子は薫ちゃん、三つ編みの子は恵ちゃんといって普通にかわいい 『 初めまして、いつも里奈と夕奈からお兄さんの事は聞いてました、二人の言ってた通りですね。』 薫ちゃんがやや興奮気味に言ってくる、何が言った通りなんだろ、気になって聞いてみたら 『 青山先輩が里奈達の言ってた通りのかっこいい人だったって事ですよ、私も今日は青山先輩に会えて嬉しいです。』 俺の質問に恵ちゃんがおしとやかに教えてくれた、女子高生にこう言われるとやはり頬が緩むな 『 あっ、ありがとう、俺も今日はキミ達みたいなかわいい娘に会えて嬉しいよ、これからも里奈や夕奈ちゃんと仲良くしてやってくれよな。』 そう言ったら里奈が頬を膨らませ俺に釘をさす 『 お兄ちゃんっ、そんな事言っても薫ちゃんも恵ちゃんも彼氏がいるんだから! 妹の目の前で友達をナンパしちゃダメだよ。』 『 するかっ、お前は俺がそんな節操なしに見えるのかよ。』 『 ・・・お兄さん・・・、里奈は・・・、これ以上・・・、ライバルが・・・、増えたら・・・、不安だから・・・。』 夕奈ちゃんが俺にそっと耳打ちする、ライバルって何なんだよ、やっぱり里奈って俺の事を・・・ 『 ちょっと〜、お兄さん! するかってショックだな〜、私達ってそんなに魅力ありませんか〜。』 薫ちゃんが不機嫌そうに言ってきた、恵ちゃんは俺を見て微笑んでる、俺はとりあえず薫ちゃんに言う 『 そんな事ないって、薫ちゃんも恵ちゃんも本当に魅力的だよ、でも二人には俺より相応しい人がもう居るんだろ、その人を大切にしてやりなよ。』 薫ちゃんは顔を赤らめ照れている、したら今度は恵ちゃんがメガネを輝かせ俺に言ってきた 『 それじゃあ青山先輩には誰か好きな人とかいるんですか、なんだかすごく気になるんですけど。』 好きな人ねぇ、やっぱり奈津美さんだろうか、だけど俺には彩花も夕奈ちゃんも、そして里奈だって大切な存在なんだ、ははっ、これじゃ本当に節操なしだな、さてどう言ったのがいいのかな、あんまりヘタな言い方したら里奈や夕奈ちゃんを傷つけてしまうかもしれないからな 『 ああ、いるよ、好きかどうかは別に大切な人達がね。』 俺は周りの女性達、友成や蒼太の事を恵ちゃん達に話した、里奈も夕奈ちゃんも俺から大切な人だと言われ嬉しそうに聞いてる 『 そうなんですか、青山先輩にはいい仲間がたくさんいるんですね、里奈も夕奈もそんなに大切にされてなんか羨ましいです。』 恵ちゃんは感心した感じで微笑んでる、薫ちゃんも 『 そっかー、お兄さんには恋人候補が何人もいるんですね、それでお兄さんは誰を選ぶんですか? 』 興味深そうに薫ちゃんが聞いてくる、そんな彼女を恵ちゃんが制した 『 薫、それは私達が聞く事じゃないわ、青山先輩もまだ誰が好きなのかわからないみたいだし、でも先輩、なるべく早く決めてあげてくださいね、その人達もきっと先輩の答えを待ってますよ。』 恵ちゃんはあくまで穏やかな表情で語りかけてくる、でも俺はまだ告白とか考えてない、今のみんなとの関係が楽しいからだ、やはり吹っ切れたとはいっても理子の事があって恋愛には臆病なのだ。 それから二時間くらい皆でいろんなゲームをしたりして遊んだ、ゲームが終わると彼氏とデートがあるからという薫ちゃんと恵ちゃんは帰り際に俺にお礼を言っていた、二人が帰った後に夕奈ちゃんが俺に話しかけてくる 『 ・・・お兄さん・・・、奈津美先輩か・・・、彩花先輩に・・・、告白・・・、するんですか・・・。』 『 どしたんだ、夕奈ちゃん、急にそんな事聞いたりして・・・。』 思いつめた表情をしてる夕奈ちゃんを見てたら里奈が俺に抱きついてきた 『 お兄ちゃんっ、里奈から離れないよね! お兄ちゃんがいなくなったら里奈、一人ぼっちになっちゃうよぉ・・・。』 なんだか情緒不安定な妹と妹分に俺はつとめて笑顔で語る 『 大丈夫、二人が望む限り俺は二人のそばにいるから、絶対に、なっ。』 そんな事を言ったら里奈と夕奈ちゃんは笑顔で両側から俺の腕にしがみついてきた、しかも明日から夏休みだから夕奈ちゃんも遅くまでウチにいた、夕食時なんか二人で争う様に俺にアーンをしてくる、里奈はいつもこうだがまさか夕奈ちゃんまでこんな事をしてくるとは、こんな二人を見てたらなんだか友成の別荘では一騒動起きそうな気がしてきた・・・。
次回から夏休み編です。