第三十七話
今回は真司視点です。
8月1日から3日間、俺の親父の別荘が自由に使える、そこに9人の高校生男女が3日間寝泊まりするのだ、18の男子たる俺には一大イベントである 『 私も行くよ、ふふっ、修学旅行みたいね。』 いずみに話すとやっぱり嬉しそうに承諾した、いずみはこうゆう大勢で何かをするというのが好きだからな、ちなみにもう親父にも話は通してる、その時に親父と ( これからの日本の警官はさらい刑事旅情編の香達男刑事の様な警官を育てるべき ) という議論を午前3時までかわしそのついでに別荘の件を頼んだ、親父はあっさり了承して後は二週間後の8月1日を待つのみだ 『 真兄、今日は私が夕食作るから♪ だいぶ上手くなってるんだから期待しててよ。』 今日もいずみの家に夕食をご馳走させてもらう、もはや家庭内別居状態のウチの継母は俺への愛情も日に日に薄れ今では俺の為に夕食を作るなど有り得ないというくらいである、親父はそんな継母に何も言わないが俺にはすまないと言いながら破格の小遣いをくれるので親父なりに幾らかの情はあるのだろう。 いずみの家に着き温かく迎えてくれた美鈴さんからいきなりハグをされた、真横のいずみが声を荒げる 『 ちょっとー、ママー!! いきなり娘の彼氏に何してんの、真兄嫌がってるじゃない! 』 しかし美鈴さんにはのれんに腕押しだった 『 そんな訳ないでしょ、私の熟れた肉体の抱擁を真司クンは心待ちにしてたのよ、モーー、食べちゃおうかしら。』 ・・・何か頭のネジが数本抜けてる様な台詞を吐く美鈴さんから丁寧に離れいずみと共にリビングへと向かう、まだ玄関に居る美鈴さんは 『 もーう、真司クーン、イケズだよーー。』 と駄々をこねていた、その姿はとても三十路後半の未亡人には見えなかった。 現在、台所で料理を作ってるのはいずみだ、美鈴さんはリビングで俺のすぐ隣に居て一緒にテレビを見ている、そのリビングには肉じゃがの美味しそうな匂いがしてきた 『 おっ、今日は肉じゃがか、いい匂いだしこりゃ本当にいずみの料理が楽しみだよ。』 『 ふふっ、言ったでしょー、期待しててって、真兄の為に頑張ったんだから♪ もう少しでできるから待っててね、あ・な・た 』 かわいい事を言ってくれるいずみに萌えてたら美鈴さんに腕をつねられた 『 コラッ、何いずみを見てニヤついてるの、真司クンはちゃんと平等に私たち母娘に愛情を注がないと駄目なのよ。』 意味が分からん、この人が何を考えてるか理解不能だ、確かによくいずみと共に俺を自宅に招いて手料理を振る舞ってくれる、俺の継母などより遥かに母親らしいが愛情を注げというのがどうもな、感謝ならたくさんするんだけどな 『 できたよ〜。』 いずみの明るい声が響き今日の夕食が出来た、肉じゃがと焼き魚をメインにしてみそ汁もある、見た目はかなり美味そうだ 『 いただきます。』 いずみの作った肉じゃがを食べてみる、うん、十分に美味い、焼き魚も焼き加減がバッチリだ、みそ汁の味も文句なしと以前のいずみからは考えられない料理の味だった 『 いずみ、本当に美味しいよっ、正直驚いた、お前、スゴい努力したんだな、惚れ直したよ。』 『 ふふん〜、でしょー、真兄が喜んでくれて安心した♪ もっと料理の腕を上げて真兄を私の料理の虜にしちゃうんだからね。』 愛娘の笑顔に母親が続く 『 私がみっちり仕込んだもの、当然よ、これからもっといずみの腕は上がるわよ、そしていつかは真司クンもこの家で私達と暮らすんだから。』 へっ、それってつまり俺をこの家の婿養子にする気か、そりゃ確かに今の家はいずれ出るつもりだが 『 うん、私も真兄とママと三人で暮らしたい、今の真兄のお母さんって全く家の事をしないんでしょ、ヒドいじゃない、ねえ、真兄っ、ウチに来なよ。』 『 私達は絶対に真司クンに寂しい思いなんてさせないわ、亡くなられた真司クンの実のお母さんが出来なかった分もあなたに愛情を注いであげたいの、私の息子としてね。』 この母娘の目は本気だ、想いも真剣だ、俺はその想いに応えなければならない 『 いずみ、美鈴さん、二人の気持ちは本当に嬉しいです、でも今はまだこの家に甘える訳にはいきません、俺が高校を卒業して、自分の力でお金を稼げる様になったら、その時はこの家に甘えさせて頂きます、俺の人生賭けて、二人を幸せにします!』 俺の宣誓にいずみは涙を流し、美鈴さんは慈愛に満ちた笑みを浮かべ 『 ・・・うんっ、真兄、幸せになろうね。』 『 真司クン、あなたは必ず私達を幸せに出来るわ、私が保証します。』 それから三人で談笑しながらいずみの手作り料理を全てたいらげた、片付けを終え自分んチに帰る俺を矢島母娘が見送ってくれる 『 真兄、また来てよね、今度は真兄の好きな唐揚げ作ったげるから。』 『 真司クン、私だってまだまだいずみには負けないわよ、今度の私の料理で真司クンを骨抜きにしちゃうんだからね。』 俺は二人に頭を下げ矢島家を後にする、いずみは本当に料理が上手くなった、美鈴さんは亡き俺の実母に代わり俺を幸せにしたいと言ってくれた、たま〜におかしなトコもあるが基本は娘思いな人だ、俺は必ず、あの母娘を幸せにしてやりたいと思った・・・。
なんか第二十八話と似た展開になってしまいました。