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大切な人達  作者: 曹叡
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第三十二話

蒼太視点です。

 今日もいつもの如く学校へと通う、でも一人ではなくクラスメートの鈴木紗恵さんと共に、わざわざ彼女の家に迎えに行ってまでだ、それについて彼女いわく              『 一緒に答えを探すって言ったでしょ、今の四森くんには私が必要なの。』              この鈴木さん、俺の過去を聞いてから償う以外の答えを一緒に探すと言って聞かないのだ、確かに俺の過去を話したのは彼女が初めてだ、彼女の目を見てたら何故か聞いてもらいたくなった、人に言いたくない過去のはずなのに、俺と共に里奈さんや夕奈さんの為にいじめに立ち向かったこのツインテール少女には不思議な眼力があったのだ               『 四森くん、昨日の数学テストどうだった? 私ったら途中の引き算間違えちゃってさ〜。』                 朝から陽気な女性だな、こんな話をしながら俺達二人は学校へと向かう。               学校に着き自分達の教室に近づくと里奈さんと夕奈さんに会う、里奈さんが元気に挨拶してくる                 『 おはよ〜、蒼太くん、鈴木さん。』                  夕奈さんは対照的に控えめな挨拶をしてきた、あのいじめを乗り越えた二人は毎日が楽しそうだった、クラスの人達とも仲良くやってるし、あの一件が悪い夢だったかの様だ                  『 あっ、蒼太くん、彩花先輩って料理上手なんだね、この前ウチに作りに来てくれたんだよ。』                そういえば姉さんが青山先輩に送られて帰ってきた事があった、青山先輩の家に行ってたのか、姉さんも結構積極的になったな、確かに姉さんの料理は上手い、ウチは今は両親が共働きで夕食は姉さんが作っている、元々料理好きなのだ。              そして放課後、鈴木さんが近づいてきて                  『 四森くん、帰ろ。』              周りの目を全く気にせず彼女は言う、もはやクラスでは公認の仲となっている俺達、友人の冷やかしの声を背に俺達は教室を出た。 学校を出て二人で歩く、いつも彼女が他愛のない事を話し俺は適当な相槌を打つ、俺達の下校時間は大体そんな感じだが今日は里奈さん達の事を話してきた              『 青山さんも秋野さんも楽しそうだったね、クラスメートとも仲良くやってるみたいだし、もう二度とあんな事は起きないよ。』              『 ああ、二人共いい娘だよ、きっと楽しい高校生活を送れるさ。』                 今のあの二人を見てたらそう思えるよな、俺は穏やかな表情で言うと                 『 ふふっ、なんか二人のお兄さんみたいだよ。』            何言ってんだ、里奈さんには青山先輩という立派な兄がいる、夕奈さんも青山先輩には随分となついてる様だし、俺は青山先輩には恩がある、姉さんの辛い過去をあの人は優しく受けとめてくれたんだからな               『 友達がいじめとかあってたら心配するのは当たり前じゃないか、鈴木さんだって里奈さん達の為に一生懸命だったろ、それと同じだよ。』                    俺が真面目な顔で言うと鈴木さんは小悪魔みたいな笑みを浮かべ                   『 ふっふ〜ん、だいぶ答えが見えてきたんじゃないの、後もう少しね。』              そう言う鈴木さんを見てふと思ったが彼女は俺が答えを見つけたらどうすんだろ、俺から離れるのかな、それもちょっと寂しいな。              帰り道の途中、人のいない公園で犬が鳴いていた、見たらロープで木に縛り付けられてた、俺は急いでそこに向かいロープをほどこうとしたらウチの男子生徒三人が出てきた                  『 おい、なに人のおもちゃに手ぇだそうとしてんだよ、痛い目に会いたくなかったらどっか行け。』              その三人の内の一人がなんと爆竹らしき物を犬に投げつけた                     『 なんて事するのよ! あんた達!! 』                   俺と鈴木さんがそいつらに掴みかかろうとするがいきなり鈴木さんが男子生徒の一人に取り押さえられた              『 なんだよ、女の前でいいカッコしたかったのか、分かるよな、抵抗したらどうなるかくらい。』               『 四森くん、私はいいからこの子を助けてあげてよぉ! 』                     そんな訳にはいかないだろ、なんとか鈴木さんだけでも無傷で逃がさないと、俺は鈴木さんを押さえてた男に素早くタックルをかます、そいつが怯んで一瞬の隙ができて鈴木さんが自由になる、三人に立ち向かいながら鈴木さんに叫ぶ               『 鈴木さん! 逃げて誰か呼んでくるんだっ、早く行って! 』                    鈴木さんは走り出した、彼女が逃げ切るまでこの三人を足止めしないと、くそ、1対1なら負けないのに、俺は三人と何とか戦う              『 恭介、こいつ結果結構強いぞ。』                   『 フン、ムカつくなそいつ、俺の大嫌いな金髪ヤローになんか似てるんだよ、無駄に偽善ぶるトコなんかが特にな。』            恭介と呼ばれた背の高いその男子生徒はポケットから白い粉袋を取り出し俺の顔に投げつけた                  『 なっ、目がっ。』               目に粉が入り何も見えなくなる、それから間もなく三人から殴られる、数分くらい殴られ続け意識が朦朧としてきたトコで助けに来たっぽい人の声がした、多分鈴木さんが呼んだ人だろう、俺は安心して意識を無くした・・・。

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