第二十八話
初の真司視点です。
5月の心地良い風を受け俺は幼なじみ兼彼女のいずみと下校中だ、しかし今日も眠かった、昨日も親父と [ 熟年カップルの再婚旅行での悲劇がワイドショーでB級のネタならC級のネタとはなんなのか ] という事を明け方まで討論してたからな、しかし結論は出なかった、今度はどんな討論をしようかな 『 真兄〜、今日は唐揚げだから、唐揚げ好きだもんねっ、早く行こう♪ 』 いずみが隣で俺の手を握る、ボーイッシュで勝ち気そうな顔をしてるが中身はデレな女の子なんだよな 『 ああ、美鈴さんの唐揚げ美味しいしな、しかしいっつも悪いなー、夕飯ご馳走になって。』 『 そんな事ないよ♪ 真兄が来てくれてママも喜んでるんだからさっ。』 俺はよくいずみの家に夕飯をご馳走になる、俺の継母は家事をほとんどしないからだ。 八年前に実母を病気で亡くした親父は当時親父の会社に勤めていた継母と二年後に再婚したのだが今では親父に隠れてホスト遊びにハマって家事を放棄してる救いようのない女だ。 ちなみに親父はこの事を知ってるが親父自身だって継母に内緒で女遊びしてるから何も言わない、お似合いの夫婦である。 俺のこんな家庭事情は幼なじみのいずみしか知らない、青山達に言わないのは俺の個人的な事に青山達を巻き込みたくないからだ、日頃から俺がろくな物を食べてない事を知ったいずみは悲しそうな表情で言った 『 真兄、夜はウチに食べに来なよ、ちゃんと手料理食べないと体壊しちゃうよ、ねっ、そうしよ。』 死んだ俺の実母と親しかったいずみの誘いを受けて俺がいずみの好意に甘える様になったのは今から二年前の事だった・・・。 そして現在、もうすぐいずみの家に着く、いずみの母である美鈴さんの料理は本当に旨い、娘のいずみの料理の腕前は残念なのだが 『 あれっ、真兄、あの人って・・・。』 急に声を出したいずみの指差す先には産婦人科の病院から女性が一人で出てきた所だった、その女性は青山の元カノ、前田理子だ、彼女は俺たちに気付くとまるで逃げ出す様に走り出していった 『 ・・・ねえ、真兄、もしかしてあの人ってさ、妊娠・・・。』 『 俺たちには関係ないさ、青たちにも言う必要も無い、それより早く行こうぜ、日が暮れるぞ。』 俺の言葉にいずみは頷く、前田が青山と付き合ってた頃は俺やいずみも前田とは友人関係だったがあの女は青山の気持ちを土足で踏みにじった、今では前田が工藤の子供を産もうが堕ろそうが知った事じゃない。 今の青山は前田なんかより魅力的な女性達に囲まれてるしな、黒髪ロングの正統派美少女、高野奈津美さん、Fカップ眼鏡っ娘の四森彩花さん、クーデレなポニーテール少女の秋野夕奈ちゃん、そして希少価値の高いお兄ちゃん大好きっ娘、青山里奈ちゃんとエロゲ真っ青のハーレムを持つ男だぞ、ビッチ女に捨てられたところで痛くも痒くもないだろ。 俺にはいずみ一人でいい、いずみを幸せにする事が俺の生きがいだ、恥ずかしくて本人には言えないがな 『 ただいま〜。』 『 お邪魔します。』 『 いらっしゃい、真司君、もうすぐできるから待っててね。』 いずみの母、美鈴さんが笑顔で迎えてくれる、いずみ同様かなりの美人だ。 いずみの家に着いて一時間後、唐揚げや野菜炒め等の美味しい手作り料理を頂いた後、リビングでまったりしていたが 『 美鈴さん、やっぱり俺も手伝いますよ。』 いつも夕飯をご馳走になってるから後片付けくらいは手伝おうとするが美鈴さんの返事は決まって 『 いいのよ、男の子が細かい事気にしなくて、私が真司君に手料理を食べさせてあげたいだけなの。』 とまあ、まさに尽くす女って感じだ、そしていずみも俺に寄り添いこう言う 『 私もママに料理を習うから、近いうちに私の手料理を真兄に食べてもらうからね。』 『 そうね、その時は真司君に審査してもらうわよ、私といずみのどっちの料理が旨いのかをね。』 実は美鈴さんは未亡人なのだ、もう四十路手前の美熟女が十六歳の娘と張り合う事じゃないと思うがこういう母娘なのだ 『 今日も本当に美味しかったです、お邪魔しました。』 いずみの家を出る時も母娘で先を争う様に見送ってくれる 『 うん、真兄、また明日も一緒に学校行こうね 朝待ってるから。』 『 真司君、また来てね、真司君の為にもっと美味しい料理作るから 』 この美人母娘は反則だろ、二人して俺の手を握ってくるし、彼女のいずみは当然だが母親の美鈴さんまでとはな、いずみもそんな美鈴さんの行為に何も言わない、どうなるんだ俺の恋路は。
次回も真司視点でいこうと思ってます。