第二十三話
今回は彩花の弟、蒼太視点です。
東明高校に入学して3日が過ぎた、俺自身はそれなりに友人もでき少しは学校に馴染んだつもりだ。 でも一つ気掛かりな事があった、里奈さんと夕奈さんが何かおかしい、たまに彼女たちのいる二組の教室の前を通るが彼女たちは絶対に二人だけなのだ、いくらまだ入学して3日とはいえもう少し他の友人ができてもよさそうなんだが 『 ちょっと〜、四森君、何そんなとこに突っ立ってんのよ、どいて。』 ああ、廊下で考え事してたからな、邪魔だったか 『 あっ、ごめんよ。』 『 どうしたのよ、なんか悩みがありそうね。』 少し茶色がかった髪をツインテールにして身長も150あるかないかというこの娘は鈴木 紗恵 ( すずき さえ )、俺のクラスメートで席が隣なのだ 『 大丈夫、鈴木さんが心配する事じゃないよ。』 『 ふーん、そっか。』 去っていく彼女を見ながら放課後、里奈さん達のいる二組に行ってみようかと思った。 授業がおわり放課後、二組の前に来て里奈さん達を見つけ声を掛ける 『 里奈さん、夕奈さん、もしよかったら一緒に帰らない。』 二人とも笑顔で応じる 『 あっ、蒼太くん、いいよー、一緒に帰ろっ。』 二人は教室を出る、けど二人は誰にも挨拶しない、それどころか挨拶されもしない、やっぱりおかしい 『 もし違ってたら謝る、ひょっとして二人はイジメられてない。』 三人だけになったとこで聞いてみた 『 えっ、なっ、何言ってるの、そんな事ないからっ。』 嘘をつくのが苦手だな、でも何故だ、いじめられる要素のない二人だと思うが 『 ・・・なにこれ・・・。』 夕奈さんが呟いたのでそっちを見てみたら彼女の下駄箱に心無い落書きが書かれていた [ 同性愛者 ] [ 青山さんの具合はどうだった? ] [ どっちがお姉様? ] その場に立ち尽くす二人をそのままにして、俺は歩き出した、バケツに水を入れ、雑巾を準備してまたさっきの下駄箱に戻ろうとする、しかしその途中、鈴木さんに出会う 『 四森くん、どうしたの? バケツなんか持って、どっか汚したの。』 『 いえ、ちょっと。』 それだけ答えてさっきの下駄箱に戻る、二人はまだそこに居た、彼女達には何も言わずに俺は雑巾をバケツにつけ、その落書きを消し始めた、すると後ろから 『 ちょっと、何よコレー、誰が書いたの、信じらんない!! 』 どうした訳か鈴木さんが憤怒の表情でそこに居た 『 ねえっ、四森くん、誰が書いたの、あっ、アナタ達は・・・。』 後ろで里奈さん、夕奈さん、鈴木さんが何か話してるが俺は無視して黙々と落書きを消していく、幸いにも書いてから時間が立ってなかったのかすぐに消えた 『 そうなの、そんな奴らなんかに負けちゃ駄目よ、って、四森くん、どこ行くのよー。』 どうやら鈴木さんは二人を慰めてあげてたんだな、鈴木さんの問いには答えず、俺は里奈さん達のクラス、一年二組を目指した。
主人公の出番なしです。