第二十二話
今回も里奈視点です。
携帯のアラームが鳴る、午前6時30分、私は今日からこの時間に起きなきゃいけない、お兄ちゃんのお弁当を作る為に。 顔を洗い目を覚まさせキッチンに向かい二人分の弁当と朝食の準備、なんかお兄ちゃんの奥さんになったみたいで嬉しい気分。 お弁当のおかずは体調に気を使い脂っこいのは控えめに、あとはお兄ちゃんの好物の私の手作り卵焼き、私の料理をお兄ちゃんはいつも美味しいって食べてくれる、お兄ちゃんがいいっていうなら一生食べさせてあげたいな、そんな楽しい事を想像してたら 『 ふぁ〜、おはよー、里奈。』 私から遅れる事40分、お兄ちゃんが起きてきた 『 おはよ〜、お兄ちゃん、朝ご飯できてるから、顔洗ってきてね。』 『 おう、いつも悪いな、きつかったらいつでも言えよ、俺も簡単な朝食なら作れるから。』 優しいお兄ちゃんはいつも私を気遣ってくれる、嬉しいけど私の作る料理を美味しそうに食べるお兄ちゃんを見るのが好きなの 『 だめよ、料理は里奈の仕事なんだからっ、それにきつくなんてないよ。』 『 ははっ、里奈にはかなわないな。』 朝の準備も朝食も終わり学校に行く直前、初めてお兄ちゃんに弁当を渡す 『 はい、お兄ちゃん、残しちゃダメだからね。』 『 残さねえよ、里奈が早起きして作ってくれた弁当だもんな。』 そう言って私の頭をポンポンと軽く叩く、子供じゃないのに、その時、家のインターホンが鳴ってドアを開けたら夕奈ちゃんがいた 『 ・・・おはよう・・・、お兄さん、里奈・・・、迎えに・・・、来ました・・・。』 三人で家を出て通学路を歩く、待ち望んだ楽しい時間だった、そしてもう学校に着くという所で昨日の帰りにカラオケに誘ってきた男子がまた声を掛けてくる 『 あっ、おはよう、青山さん、秋野さん、あれっ、その人は・・・。』 その男子はお兄ちゃんを見てなんか軽蔑してそうな目をしてた、お兄ちゃんが金髪だから不良とでも思ったのかな、全然違うのに、私は外見だけで人を見る人間とは絶対仲良くなれない、私はあの前田 理子とかいう女とは違うんだから 『 俺、俺は里奈の兄で青山 貴志、よろしく。』 『 はい・・・、それじゃ。』 そそくさと逃げるみたいに去って行った、まあ別にどうでもいいんだけどね。 それからお兄ちゃんと別れ自分たちのクラス、1年2組に入った、席に着いたらさっきの男子がまた話しかけてくる 『 青山さん、今の人って本当にお兄さんかよ、あんな人が。』 あんな人・・・、なんでお兄ちゃんがこんな奴にあんな人呼ばわりされなきゃいけないの、私は我慢できなくなりそいつに言った 『 そうよ、私の自慢のお兄ちゃんよ、小さい時から私を守ってくれた優しい兄なの、あんな人呼ばわりしないでください。』 『 なんだよ、ブラコンかよ、せっかくカワイイのに気持ち悪いよな。』 ブラコン、何とでも言えばいいわよ、お兄ちゃんがいれば私は幸せなんだから、冷めた目でその男子を見てたら夕奈ちゃんが 『 ・・・里奈の事・・・、何も知らない癖に・・・、分かったふうに・・・、言わないで!! 』 あんな怒った夕奈ちゃんって初めて見たかも、そしたらそいつは私たちに 『 なに、秋野さん、ひょっとしてアンタ達ってまさかのイケない関係、アハハッ、ウケるねぇ〜。』 その後はひたすらその男子の事は無視し続けていた、今日1日、私と夕奈ちゃんはクラス中の好奇と軽蔑が入り混じった視線を受け続けた 『 ごめんね、夕奈ちゃん、なんだか巻き込んじゃったね。』 『 ・・・いいよ・・・、気にしてない・・・。』 放課後、お兄ちゃんから買い物に行ってるから先に帰ってていいというメールが来て今は夕奈ちゃんと二人で帰ってる、クラスメートは誰も私達に話し掛けてこなくなった。 ゴメンね、お兄ちゃん、なんだか楽しい高校生活、送れそうにないや。
実際には里奈みたいな妹はいませんけど、まあ、フィクションのお話ですので。