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大切な人達  作者: 曹叡
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第二百七話

『 ふ〜ん、食事かぁ・・・健太も新しい恋を見つけたんだね、お姉さんは嬉しいぞ♪ よかったら今度その人紹介してよね。』


『 そんなんじゃねえよ、大体二人きりじゃないし、じゃあ行ってくるから、晩飯はもう作ってあるから好きな時に食えよ。』


姉の戯言を無視して俺は矢島さんの家に向かう、矢島さんから食事に誘われた時は少々戸惑ったが矢島さんの手料理を食べてみたいという欲求と娘さんを見てみたいという好奇心が相まって行く事にした。

一度家に帰ったのはこの姉様に食事を準備してやる為という底抜けにお人好しな俺、まあこの高級マンションに住めるのも姉のお陰という部分もあるので俺も姉に強気にはなれないのだ。


矢島さんとの待ち合わせ場所に着くともう矢島さんは来ていた、俺でさえ約束した時間の十分前に来たのに


『 あら伊藤君、まだ早いのにもう来たんだ、感心感心、それじゃ行きましょ、今日のメニューはカツカレーに特製野菜スープ、栄養満点のサラダよ。』


矢島さんと並んで俺は歩き出す、娘さんやその恋人も俺が来るのを歓迎してくれてるとの事、高校生の娘だから見ず知らずの男など邪険にするかと思ったがやはり矢島さんの娘なんだな。


『 ただいま〜。』


『 お邪魔しまーす。』


俺達が矢島さんの家のドアを開けると奥からボーイッシュなショートヘアの美少女と身長が高くそこそこにイケメンな男性が出てきた


『 伊藤さんですね、初めまして、矢島いずみです、母がいつもお世話になってます、今日はたくさん食べてって下さい。』


『 初めまして、友成真司です、美鈴さんの同僚と聞いてます、今日はよろしくお願いします。』


2人の男女は礼儀正しく俺に挨拶をした、いずみちゃんという少女が矢島さんの娘、そして友成君というのがいずみちゃんの恋人なのだろう、確かにいずみちゃんも将来が楽しみな美女だ、友成君が少し羨ましい


『 どうも、伊藤健太です、2人の事は矢島さんからよくうかがってました、自慢の娘と同じく自慢の娘婿だと、今日はご馳走になります。』


俺も挨拶すると矢島さんが待ちきれないかの様に


『 ほらほらっ、伊藤君も真司君もテーブルで待ってなさい、いずみ、後はサラダだけだよね? 』


俺は友成君とテーブルに座らせられた、矢島さんはいずみちゃんとサラダの用意、こうして見るとあの2人は母娘というより少し年の離れた姉妹といった方がしっくりくる、そんな2人に見とれてたら友成君が


『 伊藤さん、一つ聞きたい事があるんですけど。』


『 なんだい? 』


『 伊藤さんは美鈴さんの事をどう思ってますか?』


いきなり何を言い出すんだ! だけどそう言った友成君の様子はからかう様な感じではなく真剣だった


『 別にどうとも・・・ただの職場の先輩と後輩、それだけだよ。』


『 そうですか・・・もしかしたら美鈴さんがやっと幸せになれるかもって思ったんですけど、変な事聞いてすみませんでした。』


少し寂しそうに言った友成君は二度とその話をする事はなかった、そしてサラダの準備も終わり夕食が出来上がる、カツカレーに野菜スープとサラダ、矢島さんといずみちゃんの用意した夕食はレストランのメニューにも匹敵するでき具合だ


『 いただきまーす。』


夕食は見た目も味も非の打ち所がなかった、矢島さんってプロの料理人なのかと思ってしまうほどだ


『 伊藤君も真司君も遠慮しないでどんどん食べてね、まだまだカレーもスープも残ってるから。』


『 はい、頂きます。』


特にスープが絶妙な味付けだった、ほどなくカレーもサラダも完食した俺や友成君、片付けの後はしばらく雑談等で時を過ごし9時辺りで俺は帰る事にした


『 矢島さん、いずみちゃん、今日は本当にご馳走になりました、とても美味しかったです、それじゃあ失礼します。』


『 またいつでもいらっしゃい、それじゃまた明日ね、寝坊したらダメよ。』


『 伊藤さん、ママの事よろしくお願いします、伊藤さんの様なしっかりした方がついてないとどうにも不安ですから。』


仲の良い母娘だな、でもこの2人は日々を楽しく生きてるというのは分かった、友成君もそんな2人のよき支えになってる様だし、もうすぐ見合いをして幸福な結婚をするであろう矢島さん・・・俺はこれからも矢島さんの職場での良き支えになろうと思っていた。

第十六話を改訂しました、少しエッチな内容かもしれません。

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