第二百六話
『 も〜、香奈子さん! 今井主任にお見合いの事話したでしょ〜、今井主任からお幸せにって言われたからどういう事って聞いたら香奈子さんから聞いたって言ってたわよ。』
『 ごめんなさい矢島さんっ! つい誰かに話したくて・・・今度○○堂のケーキ好きなだけ奢ってあげるから許してっ! 』
『 そんなにいっぱいケーキとか食べれないわよ! まあいいわ、別に隠すつもりもなかったしね。』
昼休み恒例となった香奈子さんとのおしゃべり、香奈子さんが今井主任にお見合いの事を話したのだけど今井主任に知られたからって特に問題なんてない。
最初から見合いを成功させる気もないしただ話を持ってきた社長の顔をつぶさない為にも会うだけ会って丁重に断るのだから
『 あー、矢島さんが羨ましいな〜、美人で器量もいいし年齢よりもはるかに若く見えるし、誰も矢島さんが四十だなんて絶対信じませんよー。』
『 そんな事ないわよ、お腹とか少したるんできてるし、私だっていつかはお婆ちゃんになるんだから。』
お婆ちゃんか・・・私ってどんなお婆ちゃんになるのかしら? いずみが子供を産んだら私はその子のお婆ちゃんになる訳だけどその日がくるのを楽しみにしてる、その理由は私の母、つまりいずみの祖母が私がいずみを産んだ時にある事を教えてくれたから
『 おやおや、美鈴そっくりじゃない、あんたも生まれた時はこんな丸っこい感じだったのよ、やっぱり親子ね・・・ねえ美鈴、これであんたも母親に、1人の人間の親になったのよ。』
『 分かってるわ母さん、洋一さんと私で必ずこの子を立派に育ててみせるから、母さんが父さんと私を育ててくれた様にね。』
『 その意気よ、でも美鈴、親が子を育てるのと同様に子が親を育てる事もあるのよ、あんたもきっといつか分かる日が来るわ。』
子が親を育てる・・・母さんから聞いた時は正直そんな事ないと思ってたけどいずみが成長していくにつれそのいずみから教わる事もあった、その時にやっと母さんの言ってた事が分かったのよね、私もまだまだ親として未熟だったわ、だからいずみが親になった時、私は母さんと同じ様にいずみに教えようと思う、いずみならきっと分かるよね、だって母さんの娘である私の娘なんだから。
今日も午後は伊藤君と一緒に商品整理、今や伊藤君は仕事の手順を完璧に覚え私の教える事はほとんど無くなってきた、喜ばしい事なんだけどね
『 矢島さん、あの野菜は第二倉庫でいいんですよね? あとお菓子とかはいつでも店に出せる様に準備しておきますから。』
もう私があれこれ指示しなくても伊藤君は自分で仕事が出来る、元々頭のいい人だし仕事熱心で真面目な性格、本当にいつか今井主任の後を継いで主任のポストに就くかもしれないわね
『 お願いね、そうだ伊藤君、確か今日は早上がりだったわよね。』
『 はい、何か仕事があるんですか? 自分ならいつでもお手伝いしますよ。』
『 違うわよ、ねえ伊藤君、よかったら今日ウチに晩ご飯食べにこない? 娘や娘の彼氏君もいるんだけど3人で食べるよりも4人で食べた方が食事の時間も楽しくなるわよ。』
私は伊藤君を自分の家に誘った、別に変な意味なんてない、職場の同僚と一緒に食事するなんておかしくもないもの、伊藤君は少し考えた後で私に
『 分かりました、でもとりあえず一度家に帰って準備してから伺いますから、多分7時前になりますけどいいですか? 』
来る旨の返事をした、私はいいわよと言って再び仕事に取りかかる、前から少し感じていたのだけど伊藤君は他人と深く付き合うのを避けてるフシがある、それにここの職場に来る前は一流商社にいたと社長から聞いた事がある、そんな人がどうしてこんな平凡なスーパーに勤めてるんだろ・・・そんな伊藤君を私は少し気にしていた。
第十五話を今朝改訂しました、アホみたいな話です。