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大切な人達  作者: 曹叡
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第二百五話

健太視点の話です、多少短いですけど。

『 なあ伊藤、お前聞いたか? 矢島さんがお見合いするって話。』


今井主任と商品の在庫整理をしてたらいきなりそんな話をしてきた、まあ矢島さんならお見合い話がきたっておかしくないけど


『 そうなんですか、どんな人となんですか? 』


『 佐野さんから聞いた話だとまだ若いけどあの銀行の重役だってさ、もしかしたら矢島さん、玉の輿に乗っちゃうかもな。』


いい話じゃないか、今まで苦労してきたであろう矢島さんがやっと幸せをつかめるのはいい事だと思う、だけど心のどこかではモヤモヤした感覚がある事も少しながら自覚していた。




午後からは矢島さんと搬入されてきた商品の整理、しかし先ほどの今井主任の話を聞いたせいか矢島さんとあまり会話がない、商品の整理しながらもチラチラ彼女を見つめてるとその視線に気づいた彼女が


『 どうしたの伊藤君? さっきからチラチラ私を見たりして・・・私の顔に何かついてるかしら? 』


キョトンとした表情で俺を見つめる、まるで無垢な少女みたいに、たまに彼女は年甲斐もなく(良い意味で)乙女な一面を見せる


『 うぇっ! すっ、すいません! いや・・・なんか・・・あまり喋らないから、悩み事でもあるのかなあって思って・・・。』


本当の事が言えずとっさに適当な言い訳をつけた、矢島さんから直接聞いた訳でもないのにお見合いするんですかって聞くのも配慮がないと思えたのだ


『 悩み事? そうねえ・・・あえて言うなら伊藤君がなんか元気ないのが心配かな♪ 何か悩み事でもあるの? 私で良かったら聞いてあげるわよ。』


『 いやっ! ないですから、今は早く仕事を覚えて矢島さんや今井主任の役に立てれる存在になる様に努力するだけです! 』


逆に心配されてしまった、矢島さんは俺の言葉に感激したのかえらく上機嫌に


『 伊藤君たら〜、嬉しい事言ってくれるじゃないの〜♪ 大丈夫! 伊藤君なら次期主任も夢じゃないわ、うんうん、蒼太君といい伊藤君といい日本の若者もまだまだ捨てたものじゃないわね、おばさんも頑張らなきゃね。』


蒼太君? 恐らくその人が見合いの相手なのだろう、そりゃ銀行の重役を任されるんだから有望な若者に違いない、俺だってあの女がいなかったら今頃は・・・駄目だな、未だにあの女を引きずり出してしまう、あの女の事は俺の人生から消去すべき黒歴史なのに・・・それにしても心底嬉しそうに笑う矢島さんを見てたら例えようのない敗北感を感じていた。




家に帰ったら待ってるのは動かざる事山の如き我が姉まどか、漫画家だからなんて言い訳にもならないぞ


『 おかえり健太〜、もうお腹ペコペコよー、今日の晩ご飯は何? 』

自分の部屋で漫画を書いてる姉、その時の姿だけは凛々しい、女流漫画家といえばどこかカッコいい響きだしな、書いてる漫画はBL漫画だが売れてるという事は需要があるのだろう


『 今日は麻婆春雨とレバニラ炒めだ、今から作るから30分後くらいかな、出来たら呼んでやるから。』


『 それは締め切りが近く寝不足なお姉さんにスタミナをつけさせようという気配りなんだね、嬉しいなあ、やっぱ持つべきは家事の出来る弟よねー。』


何やら都合のいい解釈をしてるが好きにさせとこう、まだニートじゃないだけマシだと思わなきゃ、多分俺はこのまま姉と生きていくんだろう、もうそれでいいか・・・俺は自分だけでそう結論づけていた。

十五話は今日の夜にでも改訂します、改訂にあたり少々後付け設定がありますがどうか目をつぶって下さい、まだまだ未熟者ですので。

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