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大切な人達  作者: 曹叡
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第二百二話

前話の健太視点です。

歓迎会か・・・その様な集まりは正直苦手なんだけど俺を歓迎してくれようとする心遣いはやはり嬉しい、あの女によって負わされた心の傷はまだまだ癒えないがこのスーパーの従業員達はそれと何の関係もない、今井主任や矢島さんはまだ仕事に慣れない俺をよく指導してくれるし休み時間とかは気軽に色々な会話をする、今井主任は典型的なマイホームパパで家族の話をのろけ気味に話すし矢島さんは娘さんとの生活を茶目っ気に話してくれる、他にも佐野さんとかフレンドリーに接してくれるしこのスーパーで働く時間が楽しみになりつつあった


『 歓迎会って何なのよ〜、私の食事はどうなっちゃうワケっ! 健太ってばお姉ちゃんが料理苦手なのを知っててそんな仕打ちするんだ、しくしく・・・。』


・・・誰かこの姉を嫁にもらってくれる物好き・・・否、救世主はいないだろうか? この愚姉、金ならもってる、誰でもいいからお願いだ、俺をこの姉から解放させてくれ・・・今日は俺の歓迎会があるから夕飯は作れないと電話したらこの有り様だ、もう34歳なんだから最低限の生活力を身につけてもらいたい


『 何か買うなり出前でも取ればいいだろーが、それかアシスタントの・・・美和さんだったっけ? その人に作ってもらってもいいだろ、もう行くからな、それじゃあ切るぞ。』


これ以上言っても面倒くさいので問答無用に電話を切り携帯の電源を切る、この愚姉、まどかはこんなでも漫画家だからアシスタントの人もよくウチに来る、美和さんといって俺よりも年下だが姉の描く漫画(男の同性愛漫画)のアシスタントなだけあって変な妄想癖がある、お願いから俺を男が妙な接待をする怪しい店に連れてかないでくれ。




俺の歓迎会が行われるのは職場のスーパーから近い全国チェーンの居酒屋だ、8時からとか今井主任は言ってたが少し早く着いて早速ビールを注目してる、結局8時前からもう飲み始めた


『 今井さん、あまり飲み過ぎたら駄目ですよ、明日も仕事なんだし程々にしときましょう。』


『 分かってるよ伊藤、しかし真面目だなお前は、さすがT大を出てるインテリだし前に勤めてたのは一流商社だったんだろ? 今度ウチの娘に勉強教えてくれよ、ハハハ・・・。』


俺も明日を考えて程々に飲んでると店に矢島さんが来た、しかしいつ見ても若々しい女性だな、高校生の娘がいるには見えないくらいに、再婚とか考えないのだろうか? 矢島さんならその気になれば相手とかすぐに見つかると思うが・・・


『 お疲れ様です矢島さん、お先に頂いてます。』


俺の横を通りすがった矢島さんに挨拶をする


『 お疲れ様伊藤君、今日は伊藤君が主役なんだから気にしなくてもいいわよ、でも明日も仕事なんだから飲みすぎない様にね。』


矢島さんから俺を案じてくれる言葉を聞いて何かホッとする、明日も矢島さんと職場で会えるのが楽しみにしてる自分がいる、どうしたんだ俺は・・・。


歓迎会も一時間くらい過ぎ皆も会話に夢中だ、そんな中末永さんが矢島さんに言い寄ってる、なんだか矢島さんも困ってる風に見えるが末永さんは言い寄るのを止めない、どうしようか? 皆が楽しんでるのに興ざめになる様な事はしたくない、待てよ、確か・・・


『 そうだ末永さん、今日聞いたんですけど末永さんってあの漫画の限定版プラモ持ってるんですよね? 自分あの漫画めっちゃ好きなんですよ、ぜひ今度見せてくれませんか? 』


こう言えば俺と話してくれるかな、自分の夢中な事を話すのは大抵の人は気分いいからな、狙い通り末永さんは俺の方を向き


『 そうかそうか、んじゃ今度見せてやるよ、ってか伊藤もあの漫画のファンだったのか、伊藤はどのキャラのファンなんだ? 俺は花穂ちゃんがな・・・。』


上機嫌で話す、矢島さんは末永さんが離れた事にホッとした様子で隣の佐野さんと会話してる、俺も末永さんと漫画の話をしたり今井主任と互いの子供時代の話をしたりで常に誰かと話していた、でも歓迎会は終始和やかなムードで進み11時過ぎにお開きとなった、皆タクシーで帰り矢島さんも佐野さんとタクシーに乗り込もうとする、その時俺に気づいた矢島さんが


『 あっ、伊藤君、今日は早く寝て明日遅刻しない様にね、それと・・・さっきはありがとね、じゃおやすみなさい♪ 』


俺にさっきの礼をしてくれた、その時の矢島さんの笑顔はなんだか少女っぽい可愛らしさがあった、やがて走り出すタクシー、そのタクシーが見えなくなるまで俺は見送っていた。

第十一話と第十二話を改訂しました、彩花の初登場あたりです。

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