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大切な人達  作者: 曹叡
202/210

第二百話

今回も美鈴視点です。

『 伊藤くーん、あの品物を事務室の隣の部屋に置いといてくれない? 』


『 はい矢島さん、分かりました。』


伊藤君が入社してから三日目、そろそろ新年気分も落ち着こうとしてる今日この頃、私はその伊藤君とよく一緒に仕事をしていた、このスーパーの従業員では古参の私は割と新人の面倒を任される事が多い


『 矢島さん、品物を置いてきました、次は何をしましょうか? 』


伊藤君は本当に真面目によく働いてくれる、それにT大を出たとかでとても賢い、事務仕事などちょっと教えたら多分私よりもテキパキ出来そうだし


『 とりあえず今のトコはいいわ、それより一段落ついたから休憩にしましょうよ、お茶でも入れたげるからそこに座って。』


私はそう言ってお茶を入れようとしたら伊藤君が


『 あっ、矢島さん、そういう事は自分がしますから、矢島さんこそ座って休んでて下さいよ。』


そう言って立ち上がったので私はそんな彼に


『 いいからいいから、伊藤君は品物を運んできたばかりで疲れてるでしょ、大人しく先輩の言う事を聞いときなさい♪ 』


と無理やりに座らせる、その際に改めて伊藤君の顔とか見たらやっぱり穏やかそうで整った顔立ちをしてる、それにT大を出ただけあって知性も感じられる、彼の年齢は三十一歳、私とは九つもの差がある、だからといってどうなるとかじゃないんだけど・・・


『 へぇー、矢島さんって娘さんがいるんですか、やっぱ矢島さんに似て美人なんですか? 』


『 もちろん、だって私の娘なんだもの、今十七なんだけど正直なトコその頃の私よりも美人よ。』


『 へえー・・・って! えええっ!! 娘さんって十七歳なんですか!? それって事は矢島さんって相当若い時に・・・。』


伊藤君がいずみの年齢を知って驚いてる、いずみは私が二十三の時に産んだ娘、本当はもう一人か二人子供が欲しがったんだけど望んだ矢先に洋一さんは・・・


『 ふふっ、そんな事ないよー、別に高校生とか十代で出産した訳じゃないしね、でも確かに早い方だったかもしれないわね。』


『 じゃあ矢島さんは娘さんと旦那さんと暮らしてるんですね、いいなー、矢島さんみたいな美人な奥さんにこれまた美人な娘さん、旦那さんが羨ましいですよ、あーあ、自分もそんな結婚生活送りたいよなー。』


『 それ、ちょっと違うのよね、娘とは一緒に暮らしてるけど旦那はもういなくなっちゃったのよ、十年程前にガンで・・・。』


『 あっ・・・すいません、自分・・・。』


伊藤君はバツが悪そうに目を伏せる、それを見た私は努めて明るく


『 やだなあ伊藤君、そんな顔しないでよっ、ほらっ、私元気じゃない、今は毎日が楽しいからよ、娘や娘の彼氏君とかいるからね、それでねえ、その娘の彼氏君っていうのが・・・。』


強引に真司君の話に持っていく、洋一さんの話は伊藤君もしづらいだろうし、でもいずみや真司君がいるから今の私の生活が楽しいというのは決してウソじゃない、いずれいずみと真司君が結婚して子供でも見せてくれたら感激しちゃうだろう、私もお祖母ちゃんになっちゃうけど可愛い孫からお祖母ちゃんって呼ばれるのも悪くないかもね。



午後4時過ぎ、今日も仕事が終わった、帰ってまたいずみと一緒に作った手料理を真司君に食べさせようかなと思ってた私に香奈子さんが声をかけてきた


『 待って矢島さん、主任が今日伊藤君の歓迎会しようって言ってるんだけどどうする? とりあえず私は行くつもりだけど。』


『 えっ、私は・・・。』


私は少し考える、こういう付き合いは嫌な訳じゃないけどいずみや真司君が待ってるだろうし、返事を出し渋ってる私に香奈子さんは


『 来ないんですか? そりゃ無理にとは言いませんけどたまにはみんなでパーッと遊びましょうよ〜、仕事が終わって家に帰るだけの毎日じゃ寂しいじゃないですかあ。』


そうかもしれないわね、伊藤君の歓迎会なんだしたまには羽目を外してパーッとなるのもいいかもしれない、以前に真司君から言われた事があるけどいずみや真司君の幸せだけじゃなく私自身の幸せも考えてくれって・・・私の幸せかあ・・・もう四十になった私にこれからどんな幸せがあるんだろう・・・ふとそんな事を考えてた。

ダラダラやってたら二百話まで来ました、三百までは行かないでしょうけど。

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