第百九十九話
お久しぶりです、なんとか今日から更新を再開出来ました、必ず完結まで書きますのでよろしくお願いします。
どうして俺がこんな凡百とあるスーパーなんぞで働かなきゃならないんだ・・・どうにもやる気の起きないまま今日から勤める事になったスーパーに向かう、まあこの仕事は次へのつなぎでしかない、何しろ某有名大学を出て順風満帆になるはずだった俺の人生はある女によっておかしくなってしまった、まあ今更そんな事はどうでもいい、店に入った俺は皆に挨拶する事になった、とりあえずやる気はあるフリだけを見せようと威勢のいい挨拶をする
『 おはようございます! 今日から一緒に働かさせてもらう伊藤健太ですっ!! 何卒よろしくご指導お願いします! 』
うーん、我ながら熱血過ぎるかな? 今時こんな事言う奴いないだろう・・・
『 よろしくね伊藤さん、もし分からない事とかあったらどんどん聞いてきていいからね。』
挨拶を終えた俺に優しく声をかけてくれる女性がいる、制服の胸元にある名札には佐野と書かれてある、そして彼女の隣にはかなり俺好みな美人がいた、名札には矢島と書かれてある
『 私は佐野香奈子、そしてこちらの方は矢島美鈴さん、私たちこの店では古株だからほとんどの事には答えられるわ、これから一緒に頑張りましょうね。』
『 よろしくね伊藤さん、この店で働いてる人達は皆優しく教えてくれるから伊藤さんもすぐに仕事に慣れると思うよ。』
矢島さんからそう言われ周りを見渡すと男女問わず笑顔で俺を歓迎してくれてるようだ、あの女の一件があってからなるべく他人を信用しないようにしてきた俺だがこの職場の人達は信用できるかも・・・俺は少しだけそう思っていた。
夕方6時、初日の仕事が終わった、初めての事ばかりで上手には出来なかったが皆は一つも嫌な顔をせずに俺をフォローしてくれた、この職場、思ってたよりも悪くない、凡百とあるただのスーパーなのに・・・以前の職場は海外とも交流のある一流商社で俺は将来有望な若手だった、輝かしい未来が約束されていたはずだった、それなのにあの女のせいで・・・いや、今日から俺はこのスーパーの社員なんだ、このスーパーで働くのは次までのつなぎくらいにしか考えてなかったのにその考えも今日1日だけで少々ぐらついていた。
駅近くにあるそこそこ高級なマンション、少しばかり余分にお金をもってる俺はそこに住んでいる、しかし一人暮らしじゃない、家のドアを開けると
『 あ〜、健太やっと帰ってきたー、早く晩ご飯作ってよお、私お腹空いちゃってもう動けないんだから、早く早くっ♪ 』
全くこの女は・・・どうしてこんなぐうたらが俺の姉なんだ? 3才にして弟と一緒に暮らす姉などそうはいないぞ、しかしそんな姉を追い出せない俺も甘い弟だ、しかしこのぐうたら姉、まどかはその道では有名な漫画家なのだ、ただ書いてる漫画はやたら少女マンガチックな美男子同士があんな事やこんな事をするという俺には到底に理解不能なものだった、しかしその漫画がそれなりに売れてるらしく姉も人並み以上の収入がある、なのにアネキは俺と一緒に暮らしたいらしい、理由を聞けば家事はほとんど俺がしてくれるから楽でいいとか、思わず張り倒したくなったが姉の笑顔を見てるとそんな気がみるみるうちに消えていくのだから不思議だ、だが断じて俺はシスコンじゃない、恋愛経験も人並みにはあるつもりだし女遊びもそれなりに・・・
『 ねえ健太、お腹が空いたってばさ〜、私を飢え死にさせる気なの? お姉さんは悲しいわ。』
『 わぁーたからそうがっつくなよ! 今から作ってやるから大人しく待っとけ、そういやアネキ、風呂には入ったんか? メシが出来るまで入ってこいよ。』
『 はーい、やっぱり健太は優しいね、カッコ良くて家事も出来る優しい弟をもってお姉さんは幸せ者だよ〜、そうだっ、健太って今日から新しい所で働きだしたんだよね? どっかスーパーだったっけ? どうだったの。』
アネキが言いながら俺に近づく、ぐうたらとはいえ少しは俺の心配をしてくれてたのか? まあこれでも姉だもんな・・・
『 ああ、初日だしまだ慣れてないけど皆優しく教えてくれるし、思ってたよりもいいトコだぞ。』
『 そっか、健太もいろいろあったからここらでのんびり働くのもいいよね、じゃお風呂、先に入るね。』
そう言って風呂に向かうアネキを見送り俺は晩飯の準備に取りかかる、今日から職場が変わり何かが変わろうとしてる俺の日常、そしてそれの何かは明日、よりはっきりしたものになるのだった・・・。
次話はまた美鈴視点のお話です、また土日には第九話から改訂していきます。