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大切な人達  作者: 曹叡
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第百九十八話

初めての美鈴視点です。

1月4日、今日から仕事始めの私は朝の8時前に起床、朝ご飯の支度の為にキッチンに出て見ると


『 おはようママ、もう少しで朝ご飯出来るからちょっと待っててね。』


大切な愛娘のいずみが私よりも先に朝食の準備をしていた、もーーっ!! なんて出来た娘なのかしら! さすが私と、そして洋一さんの娘ね、洋一さんは今は亡き私の夫にしていずみの父、10年ほど前に食道ガンに侵され私といずみを残して1人で逝ってしまった。


それからの生活は想像以上に大変だったけどいつまでも洋一さんの死を嘆いてる訳にもいかなかった、私が立ち直らなきゃ誰がいずみを育てるというのか。


当時は私や洋一さんの両親から一緒に住まないかという誘いもあったのだけれどちょうどその時いずみは近所に住む友成真司君という一つ年上の男の子と仲良くなっていた。


真司君のお父さんはいくつかの製造会社を経営なされててかなり裕福な家庭の子だったが人懐っこい子だったし何より真司君と遊んでる時のいずみは本当に楽しそうに笑ってた、私自身も明るく優しく気さくにいずみと接する真司君を見て元気をもらってた。


結局私はいずみと真司君を離ればなれにさせたくなかったのでいずみと2人で暮らす選択をした、もちろん苦労も多かったが喜びだってたくさんあった、一歩ずつ成長していくいずみや家に遊びに来て私の作ったご飯を食べては


『 ご馳走様でした! おばさんの料理ってお母さんが作ったのとおんなじくらいおいしかったです。』


と屈託のない笑顔で言ってくれる真司君を見てるとなんだか張り切ってくる、元気な子供達を見てると明日も頑張らなきゃという気持ちになってくる。


でもいずみが父親を亡くしたと同様に真司君も母親を病気で亡くしてしまった、更に新しく母親になった女性は真司君に母親らしい事は何一つせず真司君のお父さんの資産だけが目的の救いのない人だった。


そんな真司君は自分の境遇を悲観したりなかった、それどころか将来は1人でも多くの人を助け、そして一つでも悲しい事件を減らせる様な刑事になりたいという真司君を私は息子同然に接する様になった、そんなある日、真司君は私に


『 美鈴さん、いつも良くしてもらってどれだけ感謝しても全然足りません、いつかこの恩返しは必ずします、そして美鈴さん・・・俺やいずみだけでなく自分自身の幸せも望んで下さい、人は誰でも・・・幸せを望んでいいんですから。』


・・・思わず真司君の前で泣きそうになった、どうしてあんな境遇でこんな子が育つんだろう? 私は確信した、この子ならきっといずみを幸せにしてくれる、この子達の幸せは・・・私の幸せでもあるのだから。




いずみの作ってくれた朝食を食べてパートに出る私、近所のスーパーで10時から4時まで働いてるのだけどそろそろ正社員として雇いたいと去年の暮れに店長から言われてる、正社員になれば収入にも余裕ができる、それはそれで悪くない話よね。


職場についた私は待合室で同じパートとして勤めてる佐野香奈子 ( さのかなこ ) さんと雑談に興じてた


『 ねえねえ矢島さん、今日から新しい人が入ってくるって話聞いた? 』


『 そうなの? 一体どんな人なのかしらね。』


『 なんでも男の人みたいよ、写真見た限りじゃ結構いい男だったわ、これってもしかして恋の予感かしら、あーあ、私もそろそろ結婚したいな・・・って、ごめんなさい矢島さん、私ったら自分ばかり・・・。』


『 いいのよ香奈子さん、それよりそろそろ時間よ、行きましょ。』


私と香奈子さんは待合室を出た、そのまま社員室に向かい今日のミーティングを行う、そして社員室に入ると初めてみる結構イケメンな容姿の男性がいた


『 ああ、来たのかい、矢島さん、佐野さん、紹介しよう、今日からこの店で一緒に働く事になった伊藤健太 ( いとうけんた ) くんだ、これからいろいろ教えてやってくれ。』


班長さんが今日から入るという新人君を紹介してくれる、私達を見た伊藤君は


『 おはようございます! 今日から一緒に働かさせてもらう事になった伊藤健太ですっ!! よろしくご指導お願いします! 』


何かずいぶん熱い人みたいね・・・空回りしなきゃいいけど、これが私と伊藤君の出会いだった。

次話は健太視点で進めます。

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