第百九十話
しばらくです、仕事が忙しくようやく更新出来ました、次話は明日更新の予定です。
帰ったと見せかけてUターンして戻ったきた友成と蒼太、そして俺は和哉君を取り囲む、もう和哉君にはどうする事もできない筈、いい加減彩花を諦めて自分の地元に帰ればいいのに
『 どうやらこれまでだな・・・僕の負けだよ。』
和哉君はふうっとため息をつきただ立ち尽くしてる、そんな彼に対し彩花を守るように立つ蒼太は
『 和哉さん、お願いだからこのまま帰ってください、あなたと真奈さんに裏切られた姉さんはこの青山先輩や友成先輩、そして里奈さんや高野先輩達に救われたんです、やっと姉さんは辛い過去を乗り越えたんですよ、あなたも男ならこれ以上みっともない真似はしないで下さい。』
懸命に説得を試みる、その通りなんだけどその正論をあの和哉君が聞き入れるかどうか・・・俺がそんな心配をしてるといつの間にか彩花が目を覚ましていた
『 そうよ和哉・・・これ以上自分をミジメにしないで、今ならまだ間に合うよ、だから・・・。』
『 大丈夫か彩花! ケガとかしてないか!? 』
気づいた友成がすぐに彩花に駆け寄る、見たところ彩花の衣服には目立った乱れはない様だが
『 うん、多分・・・いきなり後ろから口に布を当てられて眠らされたからからよく分からないけど体には何の異変もないわ。』
彩花は不安げに話す、もし和哉君が眠ってる彩花に何かしてたらマジで許さないトコだったが和哉君は
『 心配しなくていい・・・彩花は眠らせただけだ・・・俺だって眠ってる女性に手を出すほど下衆じゃないぞ・・・。』
彩花には手を出してないと言う、しかし友成は
『 女性を背後から薬で眠らせて下衆じゃないとかよく言えるな・・・それより結局どうするんだ? 帰るなら今すぐ帰ってくれないか? 女の子とすき焼きが俺を待ってるんだよ。』
最後の選択を和哉君に迫る、もう答えは一つしかないと思うけどな、少しして出た和哉君の答えは
『 分かった・・・彩花の事はあきらめる、二度と彩花やあんた達の前に現れない事を約束するよ。』
ずいぶんあっさりだが彩花の事はあきらめてくれる様だ、そんな和哉君に彩花は
『 和哉・・・これからはもう少し他人の気持ちも考えた方がいいよ、自分しか大事にしない男を女は好きになったりしないわ、せっかく和哉もイケメンなんだから後は中身が成長したらこれからたくさんいい出会いがあるよ、ねっ。』
暖かいエールを送る、自分にあんな事をした男とはいえかつては恋人同士だった2人、彩花も和哉君には楽しく幸せな人生を送ってほしいと思ってるのだろう、そういう女だよな、彩花は
『 彩花・・・今更だけど僕は本当に彩花が好きだった・・・真奈にフラれて無気力だった僕の心の中は彩花だけだったんだ。』
彩花に励まされた和哉君は先程までの態度がウソの様に穏やかになっていた、本来はこういう奴なのかな
『 ははっ、ホントバカだよな僕は・・・気づくのが遅いってのに・・・許してくれ彩花、そして幸せになってくれ・・・青山君、君にも酷い事をしてしまった、すまなかった、それと・・・彩花を頼むよ。』
そう言い残し和哉君は去っていった、去り際に見せた彼の顔は何かを吹っ切ったかの様にサッパリしていた、おそらくもう会う事もないだろうが頑張って幸せな未来をつかんで欲しいな
『 帰ろ貴志・・・真司も蒼太も来てくれてありがと、さっ、早く行こっ、今日はすき焼きでしょ。』
和哉君を見送った彩花は俺の手を握り眩しい笑顔を見せる、とにかく彩花が無事でよかったよ
『 ああ、きっとみんなお腹すかして待ってるよ、なあトモ、蒼太。』
『 そうだな、くぅ〜、早く帰ろうぜ、肉と美少女が俺を呼んでるんだ! 』
別に美少女は呼んでない気もするがまあいいか、こうして俺達は里奈達の待つ我が家に帰ったのだ。
『 彩花さーん、無事だったんですね、本当によかったです、さあ、早く食べましょう、もう準備は全て終わってますから。』
『 貴志君、真司君、蒼太君、本当にありがとうございます、皆さんのお陰で9人揃ってすき焼きが食べれますわ、ふふふっ♪ 』
家に帰ると里奈と奈津美さんが迎えてくれた、リビングでは夕奈ちゃんやいずみちゃん、紗恵ちゃんがもう鍋に肉を入れている
『 うわぁ〜、美味しそうだねえ〜、あっそうだ紗恵、卵ある? 』
『 はい、彩花さん、肉も野菜もご飯もたくさんありますからじゃんじゃん食べてくださいね。』
俺達がすき焼きをたべている間、楽しい会話が尽きる事はなかった、気心の知れた仲間と食べる鍋物は格別だな、今日も色々あったがそんな事も忘れさせてくれる心地よさだ、さて、明日は何があるのやら・・・。
次話からは夕奈中心のお話です、その次はいずみの母、美鈴さんの恋バナにしようかと。




