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大切な人達  作者: 曹叡
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第十八話

今回ちょっと長いです。

 夕奈ちゃんの家のインターホンを鳴らす、しばらくすると中からしっとりとした女性の声が聞こえる               『 はい、どちら様でしょうか。』                    『 はい、夜分遅くにすいません、夕奈さんの友人で青山貴志という者です、夕奈さんの事でご両親のお二方と話をしたいのですが、よろしいですか。』               『 夕奈の事ですか、どうして貴男が。』                 『 実は夕奈さん、今、自分の家に居るんです。』              『 えっ・・・、すいません、少々お待ちになって下さい。』                    返事をしてしばらく待つ、2、3分くらいしたら目の前のドアが開いた                 『 おっ・・・、お待たせしました、主人が話をしたいそうです、どうぞおあがり下さい。』                  へえ、やっぱり夕奈ちゃんの母親だな、夕奈ちゃんが年をとったらこんな感じの女性になるだろうな、だけど、まあこの金髪だし、よからぬ印象を与えたな、でもちゃんと話はしないとここに来た意味がない               『 はい、それじゃあ失礼します。』                   居間に通されるとそこにはいかにも厳しそうな夕奈ちゃんの父親と思わしき人がいた、その人は俺を見るや否やいきなりつかみかかってきて                     『 なっ、この金髪不良が、夕奈を家に連れ込んで何したんだっ、夕奈に何かあったら貴様絶対に許さんぞ、この不良がぁ。』               バキィ                     やはり殴られた、そりゃそうだ、こんな金髪男が娘は今自分の家に居るって来たんだからな、しかしいいパンチしてるな、ウチの今は亡き親父より強いんじゃないか                      『 あなたっ、やめてください、この人はそんな人間じゃありません。』               えっ、夕奈ちゃんの母親が何故そんな台詞を                『 貴男が青山さんなんですね、夕奈から常々聞いてました、友達のお兄さんは凄く優しい人とか。』              へえ、そりゃ光栄だね、思ってたより母娘の仲はいいのかな                     『 夕奈から今日は友達の家に泊まると電話がありました、その時から貴男が来るような気がしてましたわ、私たちを説得しにこられたのでしょう。』                ははっ、お母さんには分かってたんだな、じゃあ話は早いな                     『 はい、お母さん、夕奈ちゃんを連れて行くのは考えてもらえませんか。』                        『 おい、美智代、連れていくってなんだ、まさかお前、夕奈を連れて出て行くんじゃないだろうな。』              いくらか落ち着いた父親が美智代さんに詰め寄る              『 もう限界なんです、あなたは私や夕奈の事を一つも省みないじゃないですか、いつも仕事仕事で休みの日も全く家には居ない、最後に夕奈と話したのはいつなんですか。』                 『 忙しいからしょうがないだろう、誰の為に働いてると思ってるんだ。』              典型的なパターンだな、そんな都合で夕奈ちゃんの人生を弄ばれてたまるか              『 お二人の事は本来自分が口を出す話じゃありません、ただ自分は夕奈ちゃんにこの街に居て欲しいだけなんですよ。』                 『 なにぃ、なんでウチの夕奈の事に貴様が口を出すんだ、そんな事よりとっとと夕奈を連れてこい。』              『 青山さん、貴男や夕奈の言いたい事は分かります、でも、もう・・・。』             『 自分は夕奈ちゃんに後悔をしてほしくないんです、こんな事、本来は自分よりあなたがたが考えるべきじゃないんですか。』              『 何を生意気言っとるんだこのガキは、貴様じゃ話にならん、親だ、親と話をさせろ。』                   『 すいません、ウチには両親が居ないんですよ、父親は二年前に事故で、母親は十年程前に男を作って出て行ったんです。』               あまりこの事は言いたくないんだけどな、でもこの親父さん、なんだかんだで夕奈ちゃんを心配してるじゃないか                     『『 ・・・・・。』』              『 今は妹と二人暮らしです、でも、遠くの親戚から仕送りが来てますから生活はできてます、妹も立派に成長してます、夕奈ちゃんと遊んでると本当に楽しそうな顔するんです、二人共、この春から一緒の高校に通えるって嬉しそうに話をしてたんですよ。』               親父さんは顔から怒りの色が無くなっていく                『 だから東明高校にどうしても行きたいとか言ってたのか・・・。』                『 お父さん、最初に激昂して自分に殴りかかってきましたよね、当然ですよ、こんな金髪男がやって来て娘は自分の家に居るとか、父親なら怒って当たり前です。』                     美智代さんは黙って聞いてくれてる、娘との会話はあるみたいだし向き合って話せば分かってくれる筈だ              『 お父さんが働くのは家族の幸せの為でしょう、それが当然です、お願いです、奥さんと夕奈ちゃんと三人で向き合って話をしてください、夕奈ちゃんは明日には必ず帰します、夕奈ちゃんも二人には別居とかしてほしくないんです。』              そう言って今度は美智代さんに話しかける                 『 お母さん、お父さんは本気で夕奈ちゃんの事を心配してます、家族の幸せの為に必死で頑張ってますよ、実家に帰るのは話をしてみてからでも遅くない筈です。』                     美智代さんは涙ぐんでる、すると親父さんが俺に話しかけてきた                   『 ・・・あんたは何故、夕奈の為にここまでするんだ、別にあんたには一文の得にはならんだろ。』              『 お父さんほどじゃないですけど、自分も夕奈ちゃんの笑顔が好きだからですよ、それだけです。』              うっわー、何言ってんだ俺、げっ、美智代さんが泣き笑いでクスクスしてるよ、親父さんも呆れてるかな              『 フン、とにかく明日は夕方には帰る、別にあんたが言ったからじゃないが話はしてみよう、帰って夕奈に言っといてくれ。』              『 青山さん、私も明日三人で話してみます、今日は夕奈の事、よろしく頼みますね。』                    『 はい、ありがとうございます、じゃあ失礼します。』                      帰り際、玄関の外まで美智代さんが送ってくれた              『 青山さん、今日はありがとう、夕奈にはいい友達がいてくれたのね。』              『 ええ、たくさんいますよ、だって夕奈ちゃんですからね。』                   そんな会話を残して自分の家に帰り着く、玄関のドアを開けたら里奈と夕奈ちゃんが走ってきた、俺の顔を見ると                     『 ・・・お兄さん・・・、その顔・・・、殴られたんですか・・・。』               『 大丈夫なの、お兄ちゃん。』                     『 平気だよこのくらい、夕奈ちゃん、明日の夕方にお父さんもいるからお母さんと三人で話をしてみな、ちょっと頑固っぽいお父さんだけど話せば必ず分かってくれる、お父さんに甘えておいで。』                  『 ・・・はい・・・、うっ・・・、うううっ・・・。』                      『 ぐすっ、よかったね、夕奈ちゃん、お兄ちゃん、ありがとぉー。』                二人共泣きながら抱きついてきた、泣き虫な妹たちだよ、二人の体の感触が気持ちいいがなんか眠くなってきたな                        『 ほらっ、二人共もう遅いし、俺ももう眠たいから、また明日遊ぼうな。』              『 うん♪ おやすみなさい、お兄ちゃん。』                『 ・・・おやすみなさい・・・。』                   そうして大変な1日は終わった、翌日の夕方、夕奈ちゃんは自分の家に戻り三人で話をしたようだ、その日の夜にきた夕奈ちゃんからの電話によると話し合いは割とすんなりとうまくいったみたいだ、今度の父親の休みの日に家族でドライブに行くと嬉しそうに語ってた、夕奈ちゃんは俺にしきりにお礼を言ってきたがやっぱり夕奈ちゃんの純粋な想いが一番両親に響いたはずだ、里奈にもこの事を告げると                     『 うふふっ、お疲れ様、お兄ちゃん、里奈からのご褒美だよ。』                  そう言うと里奈は俺の背後にまわり今度は俺の背中に抱きついてきた、ちょっと待て、控え目な胸が当たってるんだよ、だけどやっぱり気持ちいいな、って、いやいや、こんなんじゃ駄目な兄街道まっしぐらだ、どうしようか俺。

次話から新学期です。

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