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大切な人達  作者: 曹叡
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第百七十七話

『 なっ・・・なんで・・・誰がそんな・・・。』


蒼太の思いもよらぬ過去を彩花に聞いてきたのはクラスメートの有森という軽薄な印象の強いチャラ男だ、有森からの質問に彩花はうまく話せないでいる


『 なんだ、やっぱりあの噂はホントだったんだな、こりゃおもしれーや。』


有森は別人のように弱々しい彩花の姿にその噂とやらが真実だと確信したみたいだ、俺も言葉を失うがそんな俺と違って友成は力強く


『 だったらどうだって言うんだよ。』


と意外な返しをする、頼もしい兄貴分だな、しかしとても信じられない話だ、あの優しくて真面目すぎるくらい真面目な蒼太が・・・


『 いやな、一年の間じゃ結構な噂になっててな、なんでもネットから広まった噂らしいんだけど俺もなんか興味わいてきてさ、しかしあの学校イチのイケメンで女子から大人気の四森の弟がそんな事をなあ・・・人を見かけによらないとはホントこの事だな。』


有森も悪意はないのだろうが彩花の事を考えたらもっと言い方があるだろ・・・蒼太や紗恵ちゃんの様子が変だったというのはこの事が原因だったのか?


『 だからそれがどうしたってんだよ! 蒼太がもし本当に昔にそんな事したとしてもお前には関係ねーだろっ! 人の過去を面白おかしく詮索するなよ!! 』


『 そうですわ! 過去がどうであれ今の蒼太君は私達の大切な友達なんです、もしもこれ以上つまらない噂とかで蒼太君を貶めるような事をするなら私が許しませんから! 』


友成も奈津美さんも蒼太の過去を知っても蒼太を友達と呼ぶ、もちろん俺もだ、人は誰でも話したくない過去を持つものだ、それは別に恥じる事じゃない、大事なのはそれとどう向き合えるかという事だと思う


『 なんなのお前ら? いじめっ子を友達だって言ってんの、自殺にまで追い込むなんてそんなの人殺しとおんなじじゃん。』


馬鹿にした口調で友成達を非難する有森、友成が燃えるような目つきで有森に迫ろうとするがその時


『 ・・・違う、蒼太は・・・人殺しなんかじゃない・・・何も・・・何も知らないくせに・・・勝手な事言わないでっ!! 』


彩花はそれだけ叫ぶと教室を飛び出した、友成や奈津美さんも慌てて後を追う、俺も続こうとするがその前に有森に一言いわずにはいられなかった


『 有森、そんなに蒼太の過去が知りたかったのか? 別に人の過去に興味を持つのは悪い事じゃないけど過去にもいろいろあるだろ、彩花を傷つけてまで過去を知る権利なんて他人のお前にはないはずだ。』


そう言って俺も教室を出た、すぐに廊下で友成と奈津美さんに追いつく、肝心の彩花は見えないが・・・どこに行ったんだよ!


『 トモ、奈津美さん、彩花はどこ行ったんだ!? 』


『 ああ、貴志くん、すみません、彩花さん、あまりにも早くて・・・見失ってしまいました。』


『 さっきから携帯に電話してるけど出ないんだ、でも学校からは出てないはずだ、まだ校門には教師がいるからな、ちくしょう! どこにいるんだよ!! 』


学校のどこかにはいるんだな? もうすぐ授業が始まるからきっと人目につかない場所にいるかもしれない


『 とにかく探そうぜ、多分目立たない場所にいると思うからそういう場所を中心に探していこう。』


俺の提案に友成も奈津美さんも賛同する、女子トイレや図書室、体育館の倉庫などを探したが彩花は見つからなかった、携帯にも出ない、もう授業も始まっている、もしかしたらもう学校から出てるかも・・・今度は校舎裏のさびれた場所に来てみるとそこには


『 まあっ、いましたわ! 彩花さんっ!! 』


彩花が1人寂しく立ち尽くしていた、彩花も俺達に気づくが逃げようとはしない、とにかく彩花と話をしてみよう、蒼太も彩花も俺の仲間なんだから・・・。

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