第百七十三話
俺に話しかけてきたクラスメートは神田 剛志 特に親しくもないがどうして神田が昨日の事を知ってるのだろうか
『 昨日? ああ、確かに紗恵とお婆さんを助けたけどな、でもなんでお前がそんな事知ってるんだ? 』
『 やっぱりお前達か、お前らが助けた婆さん、俺の婆ちゃんなんだよ、まさか目を離したすきにあんな事になるとはな・・・。』
神田のお婆さんだったのか、神田が昨日の事を知ってるって事は病院から連絡がいったという事だ、ついでに神田にあの後どうなったか聞いてみた
『 とりあえず命は取り留めたよ、まだ入院してるけどな、婆ちゃん、たまに発作が起きるんだ、心臓に病気を抱えててな。』
無事だったのか、よかった、しかしそんな人を夜に一人で外に出したら危ないだろ、昨日だって俺と紗恵以外は誰も助けようとはしなかったし・・・
『 とにかく無事で何よりだよ、神田、これからはお婆さんが一人で外に出ない様によく見とかないとな、またあんな事になったら危ないし。』
『 ああ、退院したらよく言って聞かせとくよ、四森、婆ちゃんを助けてくれてありがとな、感謝してるよ、あっ! 鈴木もな。』
『 むーーっ! なんかついでみたいな言い方だねっ!! でも助かってよかったよ、お医者さん万歳♪ 』
そんなこんなで先生も教室に来て授業が始まる、いつもと変わらない平凡な1日、だけどそんな変わる事のない平凡な日常が一番大切なのかもしれない。
学校もバイトも終わり自宅に帰宅、彩花姉さんは大学受験の為に猛勉強中だ
『 姉さん、コーヒー入れたよ、少し休憩しない?』
姉さんの部屋に温かいコーヒーを持って入る、時刻は午後の10時を過ぎたばかり
『 サンキュ蒼太、はああ〜、やっぱツラいわー、ねーねー、どっかに五百円払ったら入れる一流大学とかないかなー? 』
『 あるわけないでしょ、姉さんが選んだ進路なんだから文句言わない! 』
休憩の間はいつもの明るい姉さんに戻る、姉さんは将来バリバリのキャリアウーマンを目指したいとか、その為にはそれなりの学歴も必要なんだろう、メガネ美人でFカップを誇るグラマラスボディーの姉さん、職場で男に負けまいと仕事に精進する姉さんの姿が今から目に浮かぶ、ちなみに姉さんのもう一つの目標は青山先輩の妻になるとの事、ライバルは多いが・・・
『 じゃあ姉さん、勉強頑張ってね、あんまり根詰めないように、睡眠もちゃんととらなきゃ駄目だよ。』
『 安心なさい、11時にはちゃんと寝るから、夜更かしは肌に悪いのよ。』
なら安心だな、俺は部屋に戻りベッドに横になった。
少し雲の多い秋の朝、置かれていた新聞に目を通すと小さいながらも気恥ずかしい記事が書かれていた
( 心優しきカップル、病に倒れた老女を救助。)
記事を見ると俺と紗恵が神田のお婆さんを抱きかかえ介抱している写真もある、いつの間に撮られてたのか・・・ふと横から新聞を覗き込んだ姉さんが
『 あっ! これ蒼太と紗恵じゃない、へぇー、カッコいい事してくれんじゃない、さすが私の弟ね、お姉さんは嬉しいよ♪ 』
甘ったるい声を出し首に抱きついてくる、それだけでも恥ずかしいのに腕に姉さんの柔らかいFカップの感触が・・・
『 ちょ、姉さんってば・・・わかったから離れてよ、そんな軽々しく男に抱きつかないの! 』
『 あら、姉さんはそんな軽い女じゃなくてよ、私が抱きつく男はこの世で貴志とアンタだけよ、あと真司は大事な友達ね。』
弟にそんな事言うなよ・・・だけどこの新聞の記事からとんでもない事態になってしまうのだった・・・。