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大切な人達  作者: 曹叡
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第百七十一話

今回は蒼太と紗恵と彩花のお話です。

『 ありがとうございましたーーっ! またお越しくださいませーーっ! 』


俺は今、とある牛丼屋でアルバイトをしている、単なる小遣い稼ぎなんだがこれも社会勉強の一つ、将来の為に学ぶ事は多い


『 おつかれー、今日も1日ご苦労様蒼太♪ 』


バイトを終え店の外に出ると紗恵が迎えてくれる、幼さの残るツインテール、小学生と見間違う低身長、アニメの中から出てきた様なアニメ声、そして寂しい胸・・・しかし芯はしっかりした女性である、俺が過去を乗りこえられたのは紗恵に支えられたからだ


『 ありがとう紗恵、じゃあ行こうか。』


俺は紗恵と歩き出す、時刻は七時過ぎ、週に五日、夕方の三時間だけのバイトだが紗恵との時間はなかなか取れない、まあ学校ではいつも一緒なんだけどそこは学校、二人きりになどそうそうなれない、しかし紗恵はいつもの元気な声で


『 今度の日曜はどこ行こっか!? 蒼太は行きたいトコとかないの? 』


今度の休みの予定を話す、俺との時間を我慢してるであろう紗恵と楽しい時間を過ごすのは学校もバイトも休みの日曜しかないからな、紗恵の質問に俺は


『 だったら冬服でも買いに行くか、あと温水プールとか行きたいな。』


何の気なしに言ったのだがそれを聞いた紗恵はやけにニヤニヤと俺に顔を寄せる


『 蒼太ってば、そんなにあたしの水着が見たいの? しょうがないなぁー、じゃあ日曜は温水プールにレッツラゴーだー♪ 』


別にそんなの考えてなかったんだけどな・・・いつもながらのハイテンションな紗恵を見てたらどうでもよくなってくる、この元気はどこから出るのか。



紗恵と夜道を歩いてると道端で苦しそうにうずくまってる初老の女性を見かけた


『 どうしたんですか!? しっかりしてください!』


『 お婆さん! 大丈夫ですかっ!! 』


俺と紗恵が慌てて駆け寄るとお婆さんは苦しそうに


『 ハア・・・ハア・・・持病でね・・・ありがとね・・・私の事は・・・いいから・・・もう・・・行ってください・・・。』


『 そんな訳にはいかないでしょう! 紗恵、早く救急車を呼んでくれ! 』


紗恵は急いで携帯で救急車を呼び来るまでの間、俺と紗恵はお婆さんを介抱し続けた、だけど他の通行人達は誰1人として俺達を見向きも手助けもしない、仕方ないのかな・・・。


救急車が到着して俺達は救急隊の人から事情を聞かれる、偶然見かけて放っとけなかった旨を話すと


『 そうか、困ったな、この人携帯ももってないみたいだし身元を示す物も何もないんだ、誰に連絡を取ればいいのか・・・。』


お婆さんはすでに意識も朦朧としておりとても話が出来る状態ではなかった、だが俺にどうこうできる話じゃない、後は病院の人達にまかせるとするか、お婆さんを乗せて病院に向かう救急車を見てた紗恵は心配そうに聞いてくる


『 蒼太・・・お婆さん、大丈夫かなあ? 』


『 俺達に出来るのは無事を祈る事だけさ、さあ帰ろう、すっかり遅くなってしまったからな。』


それから紗恵を家まで送り我が家に帰る、遅い時間に帰宅した俺を彩花姉さんが出迎えてくれた


『 おかえり蒼太、こんな時間まで紗恵と遊んでたの? あんまり紗恵の家族に心配かけさせちゃダメなんだからね。』


やれやれ、姉というより母親だな言う事が・・・ちゃんと紗恵のお母さんには説明したのに、だけど今日のあの一件が後で大きな問題になるのだった・・・。

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