第十七話
第十七話です。
『 夕奈ちゃん、今日はお泊まりなんだ、ねえお兄ちゃん、もちろんいいよね? 』
『 うん・・・ウチはいいんだけど・・・夕奈ちゃん、親御さんにはちゃんと言ってきたの? 』
親の了解を得ているのかと聞くと夕奈ちゃんがオドオドとしてる、はは〜ん、こりゃ黙って来たんだな
『 は、はい・・・今日だけならって・・・言ってました・・・だから・・・お願いします・・・。』
うーん、理由は分からないが夕奈ちゃんはウチに泊まりたい様だ、親に黙って来てるのは感心しないが後で連絡しておけばいいだろう、里奈も喜んでるしな、俺は夕奈ちゃんに告げる
『 いいよ、自分んチだと思って過ごせば、遠慮とかいらないから。』
『 ありがとうございます・・・お兄さん・・・本当に・・・。』
『 よかったね夕奈ちゃん、ありがとお兄ちゃん♪ 後でご褒美のキスしたげるからね。』
何を言ってるのかな里奈? とりあえずそんな恋する乙女の目で実の兄を見るんじゃない、夕奈ちゃんの前なのに・・・
『 じゃあ2人は遊んでなさい、俺は夕奈ちゃんの泊まる部屋と布団の用意しとくから。』
『 じゃあその用意が終わったら3人で買い物に行こうよ、今日の晩御飯は夕奈ちゃんもいるから里奈頑張っちゃうもん。』
『 いや、買い物は俺一人でいいからさ、里奈は夕奈ちゃんと居てやりなよ。』
『 お兄さん・・・ありがとう・・・うっ・・・うううっ・・・嫌・・・別れたくない・・・お兄さんや・・・里奈と・・・皆と別れたくないです・・・。』
そう言うなり夕奈ちゃんは声を押し殺して泣き出した、別れたくないってどういうことだろうか?
『 えっ、夕奈ちゃん、それってどういう事なの? もしかして引っ越しちゃうの、そんなの嫌だよっ! 一緒に東明高校に行くって約束したじゃない!! 』
『 なあ夕奈ちゃん、よかったら話してくれないかな、俺達にも何か出来る事があるかもしれない、夕奈ちゃんも里奈達と別れたくないんだろう。』
夕奈ちゃんの話によると彼女の両親が現在、かなりの不仲だそうだ、そして母親が夕奈ちゃんを連れて実家のある遠くの方に帰ると言い出した、でも夕奈ちゃんは嫌だと言って家を飛び出したのだ、ちなみに夕奈ちゃんの父親はまだこの事を知らない、じゃあ夕奈ちゃんがこの家に居るのも知らないのだろう、どうしたものかな・・・
『 夕奈ちゃん、君はどうしたいんだい? 単純に本当の気持ちを話してごらん。』
『 私・・・この街にいたいです・・・里奈と・・・高校に行きたい・・・一緒に・・・卒業したいです・・・友達だから・・・。』
夕奈ちゃんも里奈も目に涙を浮かべてる、この2人の悲しい涙を俺は見たくない・・・よし、俺にできる事をやってやろうか
『 夕奈ちゃん、君のお父さんは何時には家に居るのかな? こうゆう話はちゃんと両親2人がいる時にした方がいいからね。』
『 父さんは・・・9時には家にいます・・・。』
『 そうか、じゃあ夕奈ちゃん、お母さんに今日は泊まるって連絡だけはしといて、9時になったら俺が1人で君の家に行くから。』
『 えっ・・・お兄さん・・・。』
『 でも明日はちゃんと夕奈ちゃんが両親と話すんだ、なあに、夕奈ちゃんは自分の素直な気持ちを言えばいいだけだから。』
『 はい・・・わかりました・・・お兄さん・・・すいません・・・。』
とにかく夕奈ちゃんの両親と話をしてみないと状況が分からない、かといって俺に何が出来るかは知らないがこのままにはしておけない、夕奈ちゃんだって俺の大切な人なんだから
『 お兄ちゃんありがとう、夕奈ちゃんの為に頑張ってくれるんだね、里奈嬉しいよ、お兄ちゃん大好き♪ 』
正確には夕奈ちゃんだけでなく里奈も含まれてるけど別に里奈に言う必要はない、それからは3人でゲームで遊んで俺が全敗したり、里奈と夕奈ちゃんが俺に手料理を振る舞ってくれたりとか、その中で夕奈ちゃんも少し笑顔を取り戻したみたいだ、 そして只今午後8時55分、現在の場所は夕奈ちゃんの家の前、青山貴志、頑張ります!!
見てくれて感謝です。