第百六十五話
今回は里奈視点です、ちなみにリハビリは順調です、職場の後輩達も協力してくれてありがたい限りです、そして第二話も修正しました。
この女は何様のつもりなのかな? 人の良いお兄ちゃんにすがりつきウチに住みつくだけでもウンザリなのにその上お兄ちゃんと私にこの家を出ろとかどんな神経してるんだろ、恥を知らないんだねきっと
『 里奈・・・お前、いつから・・・。』
お兄ちゃんもさすがに怒ったのか私が帰ってきてたのも気づかないくらいだった
『 今さっきだよ、それよりお兄ちゃん、まさかこんな奴の言う通りに出て行ったりしないよね? こいつ等こそ追い出すべきだよ、だいたいこの家族がどうなろうと里奈達には全然関係ないじゃない。』
『 里奈!! 目上の人に向かってこいつとは何よ!? 少しは口の効き方に気をつけなさい! 』
すごいねこの女、ここまで自分を省みない人っているんだ、ホントにお兄ちゃんはこの女のお腹から産まれたのかな? とても信じられないよ、あっ!! でももしお兄ちゃんと里奈が異母兄妹だとしたら結婚できるかもっ! それならそれで悪くないかもだね♪
『 まあ里奈も聞いてたのなら話は早いわ、そういう訳だから早いトコ自分達の荷物をまとめときなさい、明日には出ていけるようにね、分かった。』
『 ちょっと待てよ母さん! 俺達は出て行かないってさっきから言ってるだろう!! そっちこそ出て行く準備をしろよ、明日には出ていけるようにな! 』
おっ、さすがのお兄ちゃんも今回はお人好しにはならないね、でも当然だよね、この家はお爺ちゃんが私達に譲ってくれたんだから、この女が私達を捨てたからお爺ちゃんの子である私達の父親はあんなになった、残った私達に家庭内暴力を振るうようになりそれまでの頼れるお父さんはもう二度と頼れるお父さんに戻る事なくこの世を去った
『 まだそんな事言ってるの貴志、いい加減に諦めなさいよ! 私達にはもうこの家に頼るしかないの!! ここなら借金取りも来る事はないし直樹も新しい気持ちでやり直せる、親に頼る事が出来ない私達にはもうこうするしかないの! 』
『 バッカじゃない、どうしてそうなるのよ? 意味分かんないんだけど。』
本当に意味が分からなかった、この女は、いや、あの直樹とかいう男もそうだけど自分自身で努力しようとは思わなかったのかな? 普通そうだと思うけど、あっ! そっか、この連中は普通じゃないんだ、だったらしょうがないかな
『 里奈、別にあんたに分かってもらおうとは思ってないわ、とにかく私達はこの家に住むから、今日からここが直樹や敦士、そして私の家なの! 誰が何と言おうとね。』
『 ・・・ねえ、お母さん、もうやめようよ、この家は僕達の家じゃない、このお姉さんとあのお兄さんの家だよ、僕達が出て行かなきゃいけないんだ。』
お互い平行線な言い争いを続ける私達にあの女の息子で私達の異父兄弟である敦士が割って入ってきた、両親はあんなだけどこの子はまともみたい、だけど
『 敦士、どうしたの、なんでそんな事言うのよ!? 敦士は何も気にしなくていいんだから、ここが今日から敦士の家なの。』
まだこんな事をこの女は言ってる、幼い我が子の前で恥ずかしくないのかな? なんだかこの子が可哀相になってきた、きっとこんな両親だから無愛想な子になったんだろうね
『 敦士・・・可哀相だよな、もっとまともな両親だったらお前もこんな思いしなくて済んだだろうにな、出来たらお前だけでも助けてやりたいけど・・・ごめんな、ダメな兄貴で。』
お兄ちゃんは申し訳なさそうにあの子に言ってる、優しいお兄ちゃんは本当はあの子だけでもこの家に住まわせてやりたいんだろうけど現実にはそんな訳にもいかない、さすがにあの両親もそんなの許さないだろうし、そんな中、あの直樹とかいう人がお兄ちゃんに話をしだした
『 貴志くん、すまない・・・君たちには本当に酷い事を言ってるのは僕も分かってる、だけど静香がこうなったのは君たちの父親のせいなんだよ・・・。』
私達の父親のせい? なんなんだろ、そして直樹さんは話を続けるのだった。