第百六十四話
お久しぶりです、ようやく退院致しました。
まだ本調子ではありませんがなんとか頑張ります。
学校が終わって家に帰ってみたら母さんと敦士、それと見知らぬ中年の男の人が居た、多分この人が母さんの浮気相手なんだろうな
『 お帰り貴志、あなたに話があるの・・・ちょっといいかしら? 』
母さんが改まった態度で俺に問いかける、俺もなんだか気になったので了解の返事を出した、すると母さんは単刀直入に、そしてあまりにふざけた事を言い出す
『 貴志、悪いけど里奈と一緒にこの家から出て行ってほしいの、そしてこの家を私達家族3人に譲ってほしいの。』
何を言ってやがるこの女!! 行くトコがないから仕方なく居させてやったというのに恩知らずもいいとこだ! 思わず俺も言い返した
『 何だそれ、そんなの出来る訳ないだろっ! 恥知らずもいい加減にしろ!! それよりその人、敦士の父親なんだよな? 』
そのまま俺は自分の家でもないのにさも我が家のごとくくつろいでる浮気相手に毅然と言い放った
『 せっかくここまで来たんだから2人を連れて帰ってもらえませんか? 何やら借金がある様だけどそんなの俺や里奈には一切関係ない、あなたも人の親なら子供や妻の為に頑張って働いて返そうとは考えないんですか? 』
俺が言うと浮気相手の男は落ち着き払った態度で返事を返してきた
『 そうだね、全くもって君の言う通りだと思うよ、僕だって本当はこんな事、気が進まなかったんだ、あまりにも君達に悪いからね・・・。』
『 だったら・・・。』
この人は思ったより常識人なのか? そう思ってたら母さんが口を挟んできた
『 さっきから何を偉そうに言ってるの! アンタは黙って里奈とこの家を出て行けばいいのよっ! アンタも18になったんだから住み込みのバイトでもなんでも出来るでしょ、里奈も私達といるよりもアンタと一緒にいた方が嬉しいでしょうからね。』
あまりの言いぐさにあ然となった、それが仮にも我が子に向けて言う台詞か!?
『 ちょっと静香、それはあんまりだろ・・・貴志くん、急いで結論を出す必要はないよ、ゆっくり考えてくれたらいいから。』
おいおい・・・少しは分別のある大人かと思ったがやっぱりこの男もまともじゃないな、どうしたらこんな事を言えるのか・・・こんな両親を持つ敦士が不憫でならない、その敦士は黙ったままだ、何を思ってるのか俺には分からない
『 結論ならもう出てますよ、俺も里奈もこの家から出て行く気は微塵もない、むしろ出て行くのはあなた達だろ、どうしても嫌だと言うならこっちも法的手段に出るしかないけど。』
俺は本気だった、確かにこの家も元々は俺達の家じゃないけどだからといってこの連中の言いなりになる理由などない、実母だか何か知らないが俺達を捨てた女にこっちも情はないしな、そんな母が未練がましく反論してくる
『 出来るものならやってご覧なさいよ!! 貴志、この家はアンタのじゃないのよ! お義父さんの家なのに何でアンタが偉そうにしてるのよ、お義父さんに頼んで一緒に住めばいいじゃない、何もこの家にこだわる必要はないでしょ。』
『 それはこっちの台詞だ! 母さん達こそこの家にこだわる理由なんてないだろ、俺達はお爺さんから直にこの家に住みなさいって言われたんだ!! 何と言われても絶対に出て行かないからな。』
俺もひさびさに熱くなってた、だから気がつかなかった、いつの間にか里奈が帰ってきてた事に・・・。
次回は里奈視点でいきます、しかし静香が鬼母すぎる・・・。