第百五十九話
久しぶりに里奈と夕奈が出てきます。
公園にいた何故か母さんの写真を持っている少年を連れて俺は今、家に帰ってる、友成や彩花達は当然、俺が少年を連れて帰る事に驚いてたが俺が一緒に住んでる叔母さんの息子だからと適当な説明をすると
『 そうか・・・だったらちゃんと連れて帰ってやれよ、じゃあなアオ、今日は世話になったな。』
それだけ言うと友成はあっさりといずみちゃんや真沙美ちゃんと一緒に帰っていった、彩花も
『 ふうん・・・あの叔母さんのねえ・・・でもなんか・・・里奈に似てるわね・・・まあいいけど、じゃあね貴志、今度は2人っきりでデートしよーね。』
疑念のある表情を残して帰っていった、里奈に似てるか・・・まさかこの少年、母さんと例の浮気相手の子供なのか? つまり俺達の異父弟ってやつか・・・
『 ・・・ねえ、本当にお母さんはお兄さんの家に居るの? どうして? 』
一緒に歩いてる少年が不意に聞いてきた、よく顔を見ると顔つきは確かに里奈に似てる、里奈を少年にしたらホントこんな感じだ、俺とはあまり似てないが
『 うーん、まあ、いろいろワケがあってね・・・それより坊主はどうして1人で来たんだ? 何故この街にお母さんがいるってわかったんだ? 』
『 坊主じゃない、敦士だよ、市原敦士、お兄さんの名前は!? そんな頭してるけど日本人なんでしょ。』
生意気な坊主だな、しかしこれでも俺の種違いの弟だ、これしきで腹を立てては大人気ない、俺は自分の名前を敦士という名の少年に告げた、すると少年は
『 青山って・・・もしかして、お兄さんもお母さんの子供なの!? 』
母さんから俺や里奈の事を聞いてたのかな? 驚きの表情で俺を見る少年に俺は
『 そうだよ、俺と敦士のお母さんは同じなんだ、お父さんは違うけどね、ていうかさっきの俺の質問に答えてほしいな。』
正直に話した、敦士も動揺した表情をすぐに元の落ち着き払ったものに戻し俺の質問に答えてくれた
『 お母さんから手紙が来たんだ、その手紙にここの住所が書いてたから・・・どうしても僕、お母さんに会いたくなったんだ・・・お父さんは仕事が忙しいから・・・でもちゃんとお母さんに会いに行くって手紙は置いてきたけどね。』
敦士のお父さん・・・確か事業に失敗して借金を作り母さんだけ置いて敦士と夜逃げしたんだよな、父親としても夫としても最悪だな、なんで母さんも親父を捨ててそんな男を選んだのか・・・そのせいで里奈や俺がどんな目にあったか・・・改めて思い出すとやはり母さんをあの家に住まわせる事は甘いのかな。
家に帰ると里奈の他に夕奈ちゃんも来ていた、玄関で俺と一緒にいる敦士を見た里奈と夕奈ちゃんは
『 お兄ちゃん、誰なのその子? どうしてウチに連れて来たの? 』
『 この子・・・里奈にそっくり・・・まるで姉弟みたい・・・。』
それぞれの感想を述べる、敦士が自分に似てると言われた里奈は戸惑いつつも
『 そうかなあ・・・似てるかもしれないけど姉弟じゃないよ、里奈の兄妹はこの世に貴志お兄ちゃんただ1人なんだもん! 』
ハッキリと否定した、実はお前の種違いの弟なんだけどな・・・だけどあまり言いたくはない、母さんを嫌ってる里奈はもしかしたら母さんの息子である敦士にも辛く当たるかもしれないから、里奈は嫌いな人間にはとことん冷たい子だからな、人の好き嫌いの差が激しすぎるんだよな、まるで曹叡の父、曹ヒみたいだよ
『 それはいいけど静香さんは? この子、静香さんに会いに来たんだよ。』
なるべくこの2人に分からないように敦士と母さんを会わせたい、不要なトラブルは避けたいからな
『 あの人ならどこかに出かけたよ、それよりこの子、あの人に用があるんだ、ふーん・・・。』
里奈が訝しげに敦士を見てる、敦士も探るような目つきで里奈を見てる、お願いだから姉弟でいらぬトラブルは起こすなよ・・・。