第百五十七話
今話も真司視点です、ちなみに第一話を修正しました。
『 そうなんですか、お父さんはもう・・・。』
美鈴さんが未亡人だと知った青山がしんみりと呟く、リビングで俺達はレモンティーとお菓子をお供にまったりな時間を過ごしていた
『 ええ、でも案外なんとかなるものよ、主人が残してくれた保険金が結構あったし私もパートに行き始めたし、そのせいであんまりいずみとの時間は取れなかったけど真司くんがいてくれたからねー、真司くんには随分と助けられたわ、いずみも私もね。』
『 そんな・・・2人に助けられたのは俺の方ですよ、母さんの時だってどれだけ2人に世話になったか・・・どれだけ感謝しても足りませんよ。』
美鈴さんは珍しく(?)真面目に語る、さらりと話してるけどきっと苦労が多々あったはず、それなのに母さんを亡くした当時10才の俺をいずみと共に励ましてくれた、この母娘がいたから俺は強く生きてこれたんだ、だからこそ美鈴さんには幸せになってほしい、いずみは俺が必ず幸せにする、美鈴さんもそろそろ美鈴さん自身の新たな幸せを見つけてもいいだろう、天国の旦那さんもきっとそう望んでると思うし
『 でも美鈴さんは凄いですよね、女手一つでいずみをここまで育てたんですから、誰にでも簡単に出来る事じゃありません、私、美鈴さんの事、同じ女性として尊敬します。』
彩花も話に入ってくる、同じ女性として共感できるトコがあったのか? しかし相変わらずけしからんおっぱい娘だな、何食べたらそんな胸に育つんだ? できればいずみにも胸が大きくなる秘訣を教えてもらいたいな、まあいずみも言うほど小さくはないが・・・
『 ありがとね彩花さん、あなたや青山くん達の事はいずみからよく聞いておりました、いずみと仲良くしてくれて本当に嬉しいです、こんなじゃじゃ馬娘ですけどこれからも仲良くしてあげて下さいね。』
『 ちょっとママ! 誰がじゃじゃ馬よ!! これでも私って友達の後輩達から頼りにされてる先輩なのよ! 失礼しちゃうわねー。』
そうなのか? 俺は初耳だが本人が言うのでまあそういう事にしておこう、いずみは特に蒼太には必要以上にお姉さんぶるからな、本当の姉の彩花がいるのに
『 ねえねえ、お姉ちゃんはおっぱい大きいねー、ボクも将来それくらいに大きくなるかなー? 』
それまで静かだった真沙美ちゃんが彩花を見てマセた事を言い出す、8才児が今からそんな事を気にしなくてもいいのにな
『 ちょっと真沙美ちゃん・・・私はたまたま人より大きいだけなの、そんなのは人それぞれなんだから、真沙美ちゃんはまだそんな事考えなくていいのよ。』
彩花も俺と同じように考えてたらしく真沙美ちゃんを諭す、真沙美ちゃんも今は俺の嫁になりたいとか言ってるけど学校には同級生の男子もいるしいずれはその中の誰かと仲良くなるだろう、それが普通だけどな。
――――
所変わって近所の公園、俺といずみと青山と彩花と真沙美ちゃんの5人はある目的の為にここに来た、真沙美ちゃんがなでこジャパンの影響でサッカーにハマってるらしく俺にコーチをお願いしてきたのだ
『 真司兄ちゃん、今日はよろしくお願いしまーす、ボク、頑張るから。』
真沙美ちゃんは小さな頭をペコリと下げる、まあ小学生の、しかも女子相手だ、基本的な事を教えるだけにしとくか、俺もコーチとかあまり得意じゃないしな
『 真兄、ちゃんと教えなさいよー、くれぐれもサッカーと関係のないアホな事を教えないようにね。』
いずみが失敬な事を言う、東明高校のスーパーストライカーと呼ばれてる俺のコーチを受けたらワールドカップ間違いなしだっての
『 ふうん・・・なんか面白そうだな、トモ、俺にも手伝わせてくれよ、いいだろ真沙美ちゃん、俺もいろんな事教えてやるから。』
青山がそんな事を言い出した、別にそんな本格的なコーチとかしないけどな
『 アオ兄ちゃんもありがとう、やっぱりアオ兄ちゃんも優しいんだね、ボクの思ってた通りだよー。』
『 あら真沙美ちゃん、どうしてそう思ったの? 』
青山を褒める真沙美ちゃんに彩花が聞く、なんで思ってた通りなんだろうか?
『 だって真司兄ちゃんの友達なんでしょ、優しい人の友達なんだから優しい人に決まってるよ。』
・・・子供は純粋だな、それだけの理由で見た目金髪ヤンキーの青山を優しい人だと信じて疑わないとか、その純粋な感性を忘れないでもらいたいな、それはそうとぼちぼちコーチを始めようとして辺りを見回すと1人でベンチに座ってる少年が見えたのだ・・・。