第百五十五話
やっと更新出来ました、残業続きで時間が無かったので、今話で静香の過去話は終わります。
15の春、私達は4人揃って新野高校への合格を果たした、残念な事にクラスは皆バラバラになったが休みの日とかはよく4人一緒で遊んだりもした。
私はといえば市原くんと2人だけで会う事が多くなった、まだ告白とかはしてないけれど彼への想いは日に日に増していってた
『 あっ、見て市原くん、あの猫かわいいよねー。』
『 外で見る猫ってなんだか可愛く見えるよね、それにしても野良猫かな? 』
何の変哲もない会話、だけどこれだけでよかった、市原くんといれればこんな時間も楽しく感じられた。
高校生活は平凡ながらも充実してた、クラスでもそれなりに仲の良い友達ができ市原くんとの仲も日が経つにつれ進展していってた。
それと同時に青山くんがよく私に話しかけるようになった、高校生になってもある程度は男子から告白される事もあったがもちろん全て断った、しかし青山くんはそんなのお構いなしに私の前に来ては
『 なあ橘、明後日の日曜ヒマか? あれだったら映画のチケットが二枚余ってるんだけどさ・・・。』
こんな事を言ってデートに誘おうとしてくる、青山くんも私の友達だからハッキリ断るのも悪いしなんとか上手く切り抜けられないかと考えてたら鈴が来て
『 ホントにーー! この映画見たかったんだよねー! ねえ青山くん、一緒に行っていいでしょー♪ 』
呆気にとられる青山くんを傍目に鈴が一緒に行く事になった、このまま鈴と青山くんがくっつくのが一番都合のいい展開なんだけどな、そうなったら私も遠慮なく市原くんと付き合えるのに・・・。
市原くんや青山くんとの微妙な関係が続く中、高校二年の夏休みに私は市原くんに告白した、初めは驚いてた彼だったけど
『 橘さん・・・哲也がなんて言うか分からないけど、僕なんかでいいのかい? 本当は僕だってずっと前から君の事が・・・。』
『 青山くんがどうとか関係ないじゃない! 市原くんも私の事が好きなら何も問題なんてないでしょ!! 青山くんだってきっと分かってくれるわよ。』
嬉しかった、彼も私の事が好きだったなんて・・・だったら何も考える事なんてなかった、その日の内に私と市原くんは初体験も済ませてその翌日、青山くんと鈴に付き合う事を報告した
『 そうなんだ〜、よかったじゃない、おめでとっ、静香、市原くん。』
『 そ・・・そうか、橘と直樹が・・・まあ、よかったな・・・。』
鈴は純粋に喜んでくれたが青山くんはやはり分かりやすく落ち込んでいた、そんな青山くんに市原くんは
『 哲也・・・お前にはすまない事をしたかもしれない・・・でも俺だって橘さんの事、真剣なんだ! 祝ってくれなんて言えないけど俺の気持ちだけは分かってくれないか。』
真剣な態度で青山くんに話す、しばらく黙ってた青山くんはやがて市原くんの肩を叩き晴れやかな笑顔で
『 直樹、お前がそこまで橘の事を想ってるならもう俺の出る幕なんてねーよ、橘の事、幸せにしてやってくれよな、それと・・・俺はこれからも・・・お前のダチだからな! 』
そう言った青山くんは吹っ切れたような笑顔だった、こうして鈴や青山くんの祝福を受けて私と市原くんは晴れて恋人同士になった。
高校生活もあっという間に過ぎていき私は大学受験を受ける身になった、鈴は就職の為に卒業後、他県に行く事になり青山くんは地元の整備工場に就職との事、そして市原くんは卒業後にアメリカに語学留学したいと私に告げた
『 どうしても将来の為に色んな語学の勉強がしたいんだ、3年したら必ず帰ってくる、そしたら・・・結婚しよう! 』
私は市原くんのその言葉を信じて待つ事にした、彼の夢、得意な語学を生かせる仕事をしたいと常々言っていた、3年なんてそんな長い時間じゃない、私と彼の絆は深いのだから・・・。
――――
志望大学に合格してキャンパスライフを送っていたある日、たまたま青山くんに出会った、久しぶりの再開に楽しく会話してたのだけど彼の口から信じられない事実を耳にする
『 そういや直樹さあ・・・アメリカで誰かと結婚したらしいぞ、この前久しぶりに電話してみたらそう言ってたんだ・・・。』
『 はあ? 何言ってるのよ! 直樹がそんな事する訳ないじゃない! 証拠もないのにいい加減な事言わないでっ!! 』
それだけ言い残し青山くんと別れてすぐに直樹に連絡を取ろうとするも一向に連絡がつかない、それから毎日連絡をするも全く繋がらない、そんなこんなで時は流れていきいつしか私は青山くんと付き合う様になっていた、3年過ぎても直樹は帰ってこないし落ち込んでいた私を青山くんは温かく慰めてくれた、大学も卒業した私は自分でもよく分からない内に青山くんと結婚する事になった、彼の子を身籠っていたから・・・それが青山くんの卑劣な罠とも知らずに・・・。
随分中途半端な終わり方ですがこの真相は作中に現在の直樹とその息子の敦士が出た時に明らかにします、次話から現在に戻り真司視点になります。