第百四十八話
今回も静香視点です、かなりな鬼母になってます・・・。
高野さんは憎しみを込めた目で私を睨む、私がつい口を滑らせたせいで私が貴志達の実母だと彼女にバレてしまった、だけど別にバレたところで何の問題はない、彼女にどう思われようが私は自分の目的さえ遂げられたらいいのだから
『 それでどうするの? 貴志に今の事を話すの・・・話したいのなら好きにしていいわよ。』
もう誤魔化せないと悟った私は高野さんに言い放つ、最初はお義父さんに泣きつくつもりだった。
私と直樹と直樹の親友で私の旦那、つまり貴志達の実父である哲也は中学時代からの友人関係だった、哲也の両親であるお義父さんもお義母さんも直樹共々その頃から知ってる、私が哲也にした事を考えたら哲也の両親であるお義父さんやお義母さんが私や直樹を受け入れるとは思えなかったけど・・・。
しかしお義父さん達と貴志達が別々に暮らしてると聞いた時、私はある計画を思いついた、貴志達が住んでる家から貴志達を追い出しそこに直樹と敦士を迎え入れる、そうしたら私達はやり直せるのではないかと、事業に失敗して多額の借金を背負った直樹もまた1から頑張ろうと思うはず、少しは貴志達に罪悪感も感じるけど直樹と敦士の幸せには代えられない。
私は妻として、母として直樹や敦士を支えなければならない、こんな小娘に邪魔される訳にはいかないのだ
『 そんな事、とても貴志くん達には言えません! 知ったら貴志くんや里奈さんがどれだけ傷つくか・・・貴女が何を考えてるか分かりませんが、絶対に貴女の思い通りにはさせません!! 貴志くんも里奈さんも私が守ります! 』
『 なんなのあなたは・・・あなたが貴志を好きなのは分かるけど私は貴志達の母よ、親が子をどう扱おうと親の自由でしょ! 』
この娘は貴志に惚れている、それは彼女の言動を聞いてたら分かる、まあ私だって貴志が不幸な人生を生きるよりこの高野さんみたいな美人からここまで惚れられる様な幸せな人生を歩んでくれた方が多少は嬉しい、私が青山の家を出てから貴志も里奈もだいぶ苦労してたみたいだし
『 それが・・・それが母親の言う台詞ですか! 貴女にとって貴志くんや里奈さんってどんな存在なんですか!? もう貴女なんかと話す事は何もありませんっ!! もし貴女に少しでも母親としての情があるなら貴志くん達の前から黙って姿を消して下さい! 』
最後に強く言い残し高野さんは去っていった、私だってあの家さえ手に入れればもう貴志や里奈に会う気はない、後はお義父さん達に何か上手い理由を言って納得させれば完璧だ、もう一度、直樹と敦士と3人で幸せだったあの頃を取り戻す為に・・・。
家に戻ると貴志だけじゃなく里奈も帰ってた、可愛らしいエプロンを身につけ夕食を作ってる、ロールキャベツやレバニラ炒め、卵スープなど高校一年生の女の子が作るにしては豪勢だ、もしかして里奈って私より料理が上手いんじゃ・・・
『 お兄ちゃ〜ん、晩ご飯もうすぐ出来るよ〜、そろそろ降りてきて〜。』
里奈が呼ぶと二階から貴志が降りてきた、並べてある料理を見るなり貴志は
『 おっ、今日はロールキャベツか、里奈ってこんなのも作れるんだな、こりゃ美味しそうだ。』
そう言って嬉しそうにテーブルに座る、十年ぶりにこの2人に会って感じたけどこの兄妹は仲が良すぎる、貴志はそうでもないけど里奈は事あるごとに貴志に引っ付く、そして里奈が貴志を見る目・・・アレは妹が兄に向ける目じゃない、どうやら里奈は貴志を兄としてだけではなく異性としても好きみたいだ
『 ねえ里奈・・・一つ聞きたいけどあなたは貴志の事、どう思ってるの? 』
食事の用意を終えた里奈に聞いてみた、すぐ近くに貴志も居るのだけど気になって仕方なかった
『 母さん?・・・。』
『 何ですかいきなり、そんなのあなたに言う必要ありませんけどこれだけはハッキリ言えます。』
里奈はそう言って私を睨みつける、こんな所は貴志よりも高野さんに似てるわね
『 あなたから捨てられ父から暴力をふるわれても私が非行に走らなかったのはお兄ちゃんがいたからなんです、私の幸せを願ってる人は当時はお兄ちゃん1人しかいなかった、だから私はお兄ちゃんとずっと一緒に居たい、正直あなたなんてどうでもいいんです、分かったら早くこの家から出て行って下さいね。』
全く・・・この子とはどう頑張っても理解しあう日は来ないわね、まあどうせこの家から出て行ってもらうのだから今のうちに好きなだけ言わせとこう、待っててね、敦士、直樹・・・。
次話は三日後に更新できたらなあと考えてます、私生活はなんとか収まりましたが仕事がとんでもなく忙しいです、家に帰ったら風呂と寝るだけの毎日・・・。