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大切な人達  作者: 曹叡
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第百四十四話

真司視点です、途中から回想になります。

朝の登校直後の教室にて俺のクラスでの唯一の男友達である青山と雑談に興じている、青山はやけにニヤニヤと真沙美ちゃんの事を聞いてくるのでこちらも里奈ちゃんの事を聞き返す


『 そーゆーアオもそろそろ里奈ちゃんと一線を越えたりしたか? 俺は結構お前らの禁断の兄妹愛を期待してるんだがな。』


『 アホゆーな、どこの世界に実の妹と一線越える兄がいるんだ、年頃の兄妹が皆お前の考えてる様なエロ小説みたいな兄妹だと思うなよ、小説と現実は違うんだからな。』


『 甘いなアオ、事実は小説よりも奇なりって言葉もあるんだぞ、お前と里奈ちゃんならきっとそこらの官能小説顔負けな禁断の兄妹愛をだな・・・。』


俺の言葉は最後まで続かなかった、青山の北千手壊拳を喰らったからだ


『 あわびゅ! 』


俺の断末魔の叫びをよそに青山は奈津美さんや彩花と楽しそうに話していた、あのシスコンリア充野郎、いつの日か必ず俺のギャラクシアンエクプロージョンで宇宙のチリにしてやる!



それから昼休み、俺はいつも通りに青山と奈津美さんと彩花の4人で昼飯を食べる、考えてみたらこれが俺と青山がクラスの男子達から疎まれ孤立してる原因だろう、学校でトップクラスの美女2人と机を並べて昼飯を食べてるのだから、奈津美さんも彩花もクラスで俺と青山以外の人とは必要以上に話をしないし、まあ残り半年で卒業だからどうでもいーけど


『 ねえ貴志、その弁当はあの叔母さんが作ってるの? 』


『 いや、里奈が作ってるけど、それが何か? 』


叔母さん? 青山にそんな人いたっけ? 確か青山の父親はもう亡くなってるし母親は随分前に男と家を出たとか聞いたけど・・・


『 そうなんだ、でもそれなら叔母さんがいる意味があんまりないんじゃない? 何が心配でわざわざ来たんだろ・・・。』


彩花の話す内容が何かえらく気になったので青山に事情を聞いてみた


『 なあアオ、お前って叔母さんとかいたのか? 』


俺に聞かれ淡々と語る青山によるとつい最近、近所に住んでる叔母さんが2人だけで暮らしてる青山達が心配だからと青山の家で一緒に住んでるらしい、しかしずっとではなく1ヶ月くらいの期限付きとか


『 でも甥っ子の事を心配してくれてるのですからいい叔母さんだと思います、幼い子供2人を捨てて浮気相手を選ぶ様な母親とは雲泥の差ですわ! 』


奈津美さんにしては珍しく感情的だな、そんなに青山の母親の行為が許せないのか・・・そういや青山も母親に恵まれない家庭で育ったんだよな、そんな事を考えてると何故か昔の事を思い出していた、懐かしい母さんの事を・・・


    ――――


『 真司、ご飯の用意出来たわよ、早く来なさい。』


母の春江(はるえ)が俺を呼ぶ、当時小学四年生の俺は夕方の再放送ドラマを熱心に見ていた、俺が唯一好きだと言えるドラマで昔、テレビ朝で水曜午後9時から放送していた鉄道警察隊が活躍する刑事ドラマだ


『 真司は本当にそのドラマが好きなのね、いっぱい列車が出るからなの? 』


『 ううん、列車も好きだけどこの香取刑事って人が格好いいからだよ。』


親父からこのドラマを録画していたビデオを見せてもらって以来、このドラマの虜になった、俺はコメディドラマや恋愛ドラマよりもこーゆー人情系ドラマが好きな変わった少年だったのだ、だけど変わってようが誰になんと言われようが好きなものは好きなんだからしょうがない


『 そう・・・真司も将来は警察官になるの? 』


『 う〜ん、出来たら刑事になりたいけどお父さんの会社もあるからなあ・・・多分俺が跡を継がなきゃいけないだろうし・・・。』


俺が若干あきらめの入った口調でそう言うと母さんは少し厳しい表情になり俺に話をする


『 真司、あなたの未来はあなたが決めるの! お父さんの会社を継がなきゃいけないとか誰も決めてないわよ! あなたがこれから中学、高校と進んでいろんな経験をしてその中で考えなさい、それでもし迷うような事や分からなくなったりしたら私やお父さんに相談なさい、私は母親としてあなたに悔いなき人生を生きてもらいたいの。』


そう言って微笑む母さんを見た時、なんだかスッキリした、俺の未来は俺が決める、母さんの言葉は俺のモヤモヤを綺麗さっぱり吹き飛ばしてくれた、こんな優しい母さんがいるのならきっと俺の将来に不安はないだろう、この時の俺はのんきにそう思ってた・・・。

青山兄妹の母親の話はまた次々回からという事で・・・。

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