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大切な人達  作者: 曹叡
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第百四十三話

遅くなりまして申し訳ありません。

母さんと暮らすようになって4日が過ぎた、学校のある日は夕奈ちゃんや奈津美さん、彩花が朝からウチに来るのだがそうなると母さんと顔を合わせる事になる、そこで里奈の提案で母さんの素性は隠して近くに住んでる伯母さんが俺達の面倒を見る為に暫くウチに住み込む事になったという設定にしたのだ、初めて母さんに会った奈津美さんは


『 初めてお目にかかります、私、貴志くんのクラスメートで高野奈津美と申します、貴志くんだけでなく里奈さんともいつも仲良くさせて頂いてます。』


深く頭を下げ礼儀正しく挨拶する、彩花や夕奈ちゃんもあくまで母さんではなく伯母さんだと思って挨拶してる、正直里奈と母さんはあまり似てないから母親と疑われる事もなかった。

何故母さんだと明かさないかというとかなり以前に奈津美さん達に両親について聞かれたので包み隠さずありのまま話した事があったがその際に夕奈ちゃんが


『 お母さんには捨てられ・・・お父さんには暴力を受けて・・・そんなの・・・お兄さんや里奈が・・・可哀相過ぎます・・・。』


とても悲しそうな顔をしてた、奈津美さんも彩花も俺達を励ましてくれて彼女達の心遣いに深く感謝したのを覚えてる


『 父親はもう死んでるから何も言えないけどもしその母親に会ったら一言いってやりたいわ! この大バカヤローってね。』


そう言う彩花はもし母さんに会ったら本当に言いかねないし奈津美さんだって珍しく興奮した雰囲気で


『 妻に裏切られたお父さんの辛い気持ちも分からないでもありませんが・・・それでも自分の子供にあたるのは絶対に間違ってます! でも一番酷いのは夫がいるのに他の男性と付き合ってただけでなく幼い貴志くんと里奈さんを置き去りにして家を出る最低な母親ですわ!! 』


こんなに感情をむき出しにする奈津美さんは初めてだ、当事者の俺や里奈の方がまるで他人事みたいな心境なのに・・・


『 貴志くん、里奈さん、どうかそんな母親の事なんて忘れて下さい! そしてもし辛い事があったら・・・いつでも私に甘えて下さいね、貴志くんが元気になるのでしたら私はどんな事でも致しますわ。』


黒髪ストレートロングの清楚なモデル級美少女からこんな事を言われて嬉しくない高校生男子がこの世に存在するか? 否、存在する訳がない、俺は親には恵まれなかったがそんな自分を不幸だとか思った事は一度もないつもりだ、だって俺には愛らしい妹がいてくれたし奈津美さんや友成達にも出会えたからな。


    ――――


5人で家を出る俺達を母さんは笑顔で見送ってくれる、それを見てた夕奈ちゃんは俺に話しかけてきた


『 優しい叔母さんですね・・・いい人みたいでよかったです・・・でもどうして急に・・・お兄さん達の家に住み込むなんて決めたのですか?・・・。』


内心ギクリとした、まさか夕奈ちゃんは俺達のウソに気づいてるのか? そんな事はないと思うが時々夕奈ちゃんは妙に鋭いトコがあるからな・・・


『 なんか急に里奈達が心配になったんだって、今までもずっと2人でやってきたのにワケ分からないよ! お兄ちゃんと里奈の愛の巣に今更親戚なんて必要ないんだからっ! 』


里奈の子供じみた不満げな態度に奈津美さんや彩花は微笑んでるが夕奈ちゃんは何やら神妙な面もちをしてた、しかし夕奈ちゃんはその事について言及してくる事はなく5人で仲良く談笑しながら学校へと向かった、相変わらず男子生徒の妬みの視線を一身に浴びながら・・・。


学校に着いたら先に来てた友成と他愛のない会話に花を咲かせた、クラスメートで気軽に話せる男子とか俺には友成しかいないのだが一緒に居て飽きない奴だし子供に対する優しさは本物だ、友成ならきっと将来は立派な刑事になると俺は思ってる


『 なあトモ、真沙美ちゃんは元気にしてるか? 』


『 まあな・・・新婚旅行はイタリアがいいとか子供は3人欲しいとか笑顔で言ってくるし・・・俺と結婚するってクラスの皆に話してるらしいし・・・お陰でいずみや美鈴さんにはタップリお灸を据えられるし・・・どおしてこうなった? 俺が何をしたってんだ! 教えてくれ、アオ!! 』


知らんがな、俺じゃなくていつもアホみたいな議論を遅くまでしてる父親や母親に聞いてみろよ・・・ここでふと思った、考えてみたら俺は友成の母親について何も知らない、父親はよく話を聞いた事があったが友成の口から母親の話が出た事は今まで一度もない、友成の本当の母親は友成が10歳くらいの時に病死したとは聞いたけど・・・少し気になった。

次話は真司視点です。

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