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大切な人達  作者: 曹叡
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第百四十二話

今回は短めです。

再会したばかりの昨日の夜から俺達は母・静香と暮らす事になった、もちろんずっとではないのだが頑なに拒否する里奈を説得するのには苦労した


『 ホントお兄ちゃんってばお人好しなんだから・・・時には突き放す気丈さも持った方がいいよ! 』


『 まあそう言うなよ、あんな話聞かされて帰れとか言えないだろ、あんな人でも俺達を産んだ母親なんだからな・・・。』


あんな話とは母さんがここに来た理由だ、母さんを家から連れ出した浮気相手の男性が最近新しく始めた事業に大失敗して多額の借金を作ったらしい、それだけでなく母さんを置き去りにして子供(俺と里奈の種違いの弟) だけ連れて夜逃げしたのだ、1人ぼっちになった母さんは借金取りに押しかけられる日々に完全に精神をやられてどうにもこうにもならなくなり祖父母(俺達の亡き父親の両親)に連絡を取り場所を聞いてここに来たという訳だ、ちなみに母さんの両親は既に他界している、昨日母さんと話した後、どういう事かと祖父に電話してみたら


『 貴志、お前や里奈には悪いと思うたが・・・ワシらにあの女と生活するなんてどうしても無理なんじゃ! すまんがお前らで何とかしてやってほしい、もちろん生活費はその分多めに送るからそれで堪忍してくれんじゃろうか・・・。』


祖父母は母さんを憎悪していた、そりゃあ息子である俺達の父や孫の俺達を捨てて浮気相手と家を出た母さんなんだから仕方ないと言えばそれまでなんだが


『 分かりました・・・ほとぼりが覚めるまで母さんはこの家に住まわせます、お爺さん達に迷惑はかけれませんし母さんの事は俺に任せて下さい。』


こんな訳で母さんにはほとぼりが覚めるまでここに居たらいいと伝えた、それを聞いた母さんは涙を流しながら俺に頭を下げる


『 ごめんなさいね・・・貴志にも・・・里奈にも・・・迷惑ばかりかけて・・・ううっ・・・私・・・自分が情けなくて・・・。』


『 母さん、もういいから、とりあえず今日はもう休みなよ、疲れてるみたいだしね、明日からの事は明日考えたらいいからさ。』


そうして母さんを客室に寝かせてから俺は母さんと一緒に暮らすのを認めるよう里奈を説得した、最初は相当嫌がってた里奈だが俺の懸命な説得にやがて根負けして母さんと暮らすのを渋々承諾してくれた。


朝の食卓には3人分の朝食が並んでる、里奈の作った朝食だ、母さんが作ろうかと言っても里奈は


『 結構です、お兄ちゃんの食事を作るのは私の役目ですから余計な事はしないで下さい。』


と言ってきっぱりと断る、母さんは何か言いたそうだったが唇を噛み締めて黙ってた、こりゃあ後々厄介な事にならなきゃいいが


『 お兄ちゃん、今日の掃除はいらない物の整理もするからね、ご飯食べて少ししたら始めよっか♪ 』


『 おうっ、午前中には終わらせたいしな、その後は買い物も行かなきゃいけないし、忙しいぞ今日は。』


俺達の話を母さんはただ黙って聞いてる、手伝うと申し出ても間違いなく里奈が拒否するだろうから何も言えないのだろうな


『 なあ里奈、母さんにも何かさせたらどうかな? トイレとか風呂の掃除とか出来るだろ、体を動かしてた方が不安も忘れられるだろうしな。』


『 しょうがないなあ・・・じゃあトイレ掃除でもやってもらおうかな。』


俺の出した提案を里奈は拍子抜けなくらいあっさり聞き入れた、てっきり昨日みたいに駄々こねると思ってたが・・・


『 2人でするより3人でやった方が早く終わるからね、掃除が終わったら里奈と2人で買い物行こうね、お兄ちゃん♪ 』


里奈は可愛く俺にウインクする、またデートのつもりかよ・・・母さんも冷ややかな目で俺を見てるし、これからの3人での生活はどうなる事やら・・・。

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