第百三十五話
少し話が脱線してます、どうかご容赦を。
今日の弁当担当は夕奈ちゃん、ピンク色の可愛らしい弁当箱には若干の気恥ずかしさはあるが中身は美味しそうだった。
ししゃもの南蛮漬けにドレッシングのかかったレタスにプチトマト、手作りっぽい肉団子に3日連続の厚焼き卵、後はフルーツにリンゴが添えられてた
『 夕奈も思った以上にやるわね、それに明日は大本命の奈津美が控えてるし・・・でも勝負は最後まで分からないんだからっ! 』
『 彩花さんの言う通りですわ、まだ結果が決まった訳ではありません、明日は私の貴志くんへの愛情の全てを注ぎ込んだ弁当を食べさせてあげますから、楽しみにしててくださいね。』
彩花と奈津美さんは夕奈ちゃんの弁当を見てそれぞれ思いの丈を話す、しかし教室の中でクラスメート達が居る中、かつては学校のアイドルと言われてた奈津美さんからあの様に言われて正直かなり照れまくりだ
『 アオ・・・すごい奴だよ、お前は・・・奈津美さんからあんな事を言われるのはお前だけだ・・・頑張れ、アオ・・・お前がナンバーワンだ! 』
友成はいつもの如く意味不明な事を喋ってる、相手にするのも面倒なので放っといて弁当を食べだす事にした、うん、このししゃもの南蛮漬け美味しい、夕奈ちゃん、また腕を上げたな。
――――
昼からの授業は体育でバスケットをする事になった、授業が始まる五分前、体育館に来た友成は体操着の上に妙なタスキを掛けてた、そのタスキにはマジックで
"現代の好色一代男に天誅"
と書かれてた、好色一代男って誰だ、まさか俺かよ! つーかさっき俺をナンバーワンとか言ってたのはなんだったのだろうか・・・
『 コラ友成! なんだそれは!! さっさとそのおかしなタスキを外せ!! 』
ゴツイ体育教師に怒られ友成は渋々タスキを外す、ほんまもんのアホやコイツ
『 勝負だアオ!! 手加減はなしでな。』
『 お前の運動神経は知ってるからな、胸を借りる気でいかせてもらうよ。』
外が雨だから体育館で見学になった女子達が見守る中、試合が始まる、俺と友成は敵同士のチームとなった、当然友成のチームは友成にボールを集める作戦だ、そして試合は友成のワンマン劇場の展開を見せた
『 静かにしろい、この音が・・・。』
パシュッ!
『 俺を甦らせる、何度でもよ! 』
『 さあ、いこーか。』
『 やっぱアオとの1on1は面白れー、高校生レベルを遥かに上回る身体能力と女を引き寄せるハーレム属性を持ってる、そして・・・最後は俺が勝つからだ! 勝つから楽しいんだ!! 』
プレイの随所で耳にする友成の独り言と共に試合は後半残り3分まで進みスコアは52対30、10分ハーフの試合とはいえ友成がここまで1人で38点を挙げるデタラメな活躍を見せてた、3点シュートを6本も決めたりダンクを7本決めたりでもう俺でも覚醒友成を止めるのは不可能だった
『 キャー!! 友成くんすっごーーーいっ!!! 』
『 やっぱスポーツしてる時の友成くんって抜群にカッコいいよねー、これであのいずみって二年の娘がいなかったらなー。』
見学の女子達は友成のプレイに目をキラキラさせて声援を送る、そんな女子達の中、奈津美さんと彩花だけは俺に声援を送ってくれた
『 貴志くーん、頑張ってくださーい、まだ試合は終わってませんわー。』
『 ホラ貴志ったら! シャキッとしなさい! このまんま真司にボロ負けじゃいいとこなしよっ!! 』
またしても友成がドリブルで攻めてくる、俺の味方達は為すすべもなく抜かれていき最後はゴール下を守る俺だけになった
『 いくぞアオ! 絶対に俺が勝つんだ!! 』
『 来いっ! トモ!! 』
せめて一回くらいは友成を抑えたい、それだけを願いブロックしようとジャンプするが友成のプレイは軽く俺を上回っていた、俺のブロックをダブルクラッチでかわしそのままワンハンドダンクをかましやがった
『 なっ!!! 』
『 なんなんだよ今のはーーーっ!! 』
『 いやっ、あんなのありえねーし! ムチャクチャ過ぎるだろっ!! 』
友成のあまりにも高校生離れしたスーパープレイに皆騒然となる、審判をしてたゴツイ体育教師も
『 あんなプレイ、NBAでも出来るプレーヤーはそうはいないぞ・・・それを日本の高校生が・・・友成ってなんなんだよ・・・。』
信じられないといった感じで呟く、結局試合は64対38で俺のいるチームは友成のいるチームに完敗した、試合後に友成が俺に近づき声をかけてくる
『 とりあえずバスケでは俺の勝ちだな、アオ、今度はテニスで勝負してみねーか? もし俺に勝ったらもれなく厳選したエロ本をプレゼントしてやっぞ。』
『 いらねーよ! それよりお前にスポーツで勝つのがまず無理だし。』
そう言い合って笑う俺と友成の所に奈津美さんと彩花が来た、太ももを露出した体操着の2人はいつもの二割り増しに可愛く見える
『 貴志くん、残念でしたね、真司くんのプレイも凄かったですわ。』
『 やっぱ真司の運動能力は凄いわー、プロ顔負けだもん、貴志も追いつくように頑張らなきゃねー。』
そんな簡単に追いつけるのなら苦労はないよ、俺達4人は仲良く肩を並べ体育館から出るのだった・・・。
実際に友成みたいなチート高校生なんていませんよね、この作品はフィクションです。