第百三十一話
今回はR15どころの話じゃないかもしれません、苦手な方はご注意ください。
秋のポカポカした陽気の中、横になってた俺は耳に心地良い感触を感じていた、どうやら誰かから耳掃除をされてるみたいだ、一体誰なんだろうか?
『 あら、貴志くんったら、起こしてしまいましたか? まだ左耳が残ってますので早く左耳を上にして横たわってくださいな。』
耳に聞こえてきたのはしっとりとした風鈴のような涼しく綺麗な奈津美さんの美声、どうやら奈津美さんが耳掃除をしてくれてたみたいだ、しかも膝枕というオマケ付きで、というかなんでこんな事になってるんだ? まあ気にしても仕方ないか、言われるままに左耳を上に向ける様に体勢を変える、その時奈津美さんを見て思わず目が点になった、奈津美さんは真っ赤なビキニ姿だったのだ
『 奈津美さん・・・そのカッコは一体?・・・。』
状況がのみ込めずにそれだけ言うと足がやたらと気持ちいい事に気づいた、目を向けると何故か黒のビキニを着た彩花が俺の足を絶妙な手加減で揉んでいたのだ
『 どう貴志、私結構マッサージ上手でしょ♪ いろいろ勉強したんだから、ご褒美に次は貴志が私をマッサージしてよね。』
何のご褒美かよく分からないが確かに彩花のマッサージは気持ちよかった、その上赤ビキニの奈津美さんに膝枕してもらって耳掃除までやってもらってるのだからどこのギャルゲだよって話だ、こんなの友成が聞いたら涙を流して発狂するぞ
『 あーーーっ!! 何してるのお兄ちゃん! 耳掃除は里奈がしてあげるって約束したじゃなーい!! 』
『 お兄さん・・・マッサージは・・・私と約束・・・しましたよね・・・。』
いきなり登場してきたのはオレンジビキニを着た里奈とピンクのビキニを着た夕奈ちゃんだった、だからどうして水着姿なんだよ! それに約束って何の話だ? あまりの奇想天外な展開に俺の思考回路は考えるという事を拒絶したようだ
『 まあ、里奈さんともそんな約束をしてたのですか! そんな見境なしの貴志くんには少しお仕置きが必要ですわね! 』
『 そうね、夕奈にもマッサージしてもらおうとしてたなんてそんなの許せないわよね・・・、貴志、覚悟しなさいよね! 』
いや、そんな約束をした覚えは全くもってないのだが、そう言おうとしたら両腕を里奈と夕奈ちゃんにガシッと掴まれた、だからいちいち胸を押し当てる様にするのはやめなさいっ!!
『 そうだそうだ! お兄ちゃんにはお仕置きだ! いーーーっぱいお仕置きしちゃうんだからね! 』
『 お兄さんにお仕置き・・・楽しみです・・・。』
そう言う2人は実に楽しそうだ、お兄ちゃんを何だと思ってやがる! そんな子に育てた覚えはないっての
『 貴志くん・・・私の初めて・・・貴志くんに捧げます・・・どうぞ受けとってください・・・。』
『 私も・・・貴志だったら・・・ううん、貴志じゃないと絶対にイヤだ! 』
はれっ? お仕置きはどうなったんだ、仰天発言をした奈津美さんと彩花はうっとりとした目で俺に近づいてくる、逃げようにも里奈と夕奈ちゃんに両腕と両足をガッチリ掴まれ動けない、いや、無理やりほどけばいいのだが年下の女の子にそんな乱暴な行為はできない
『 私も・・・初めてはお兄さん以外・・・あり得ませんから・・・いや・・・初めてでなくても・・・お兄さん以外なんて・・・絶対に嫌です・・・。』
『 お・に・い・ちゃん♪ 里奈も初めては怖いけど・・・お兄ちゃんとなら・・・頑張るから! 』
いや、それは頑張ったら駄目だろ!? そんな事をしてしまったらお兄ちゃんの人生はジ・エンドになってしまう、そんな俺の心配などお構いなしに4人は俺に覆い被さってきた
『 貴志くぅん・・・。』
『 貴志ぃ・・・。』
『 お兄さん・・・。』
『 お兄ちゃあん・・・里奈を奪ってぇ・・・。』
『 ちょっとっ! 皆落ち着けって!! あっ!? コラ里奈っ!! そんなトコ触るなぁーーっ!!! 頼むから助けてえええっ!!! 』
俺の絶叫は虚しくこだまし4人の美少女達は俺の体を情け容赦なく貪っていくのだった・・・
――――
『 だあああああっ!!! 』
けたたましい絶叫と共に俺は起き上がった、部屋も窓の外もまだ暗かった、まだ真夜中だったんだな
『 夢かよ・・・ったく、なんつー夢だよ、あんなのあり得ねーし。』
『 うにゃ・・・どーしたのお兄ちゃん? いきなり叫ぶんだから里奈、目が覚めちゃったよ。』
俺の隣で寝てた里奈が目をゴシゴシさせて起き上がる
『 起こしちまったか、悪かったな、ちょっととんでもない夢を見ちゃったもんだからさ。』
『 そうなの? もしかして怖い夢だったの、大丈夫お兄ちゃん、もし怖かったら言ってね、里奈がぎゅって抱きしめてあげる♪ 』
里奈は本当に心配そうに俺を見てる、これじゃあどっちが年上か分からないな
『 ありがとな、気持ちだけありがたく受け取っとくよ、ほらっ、明日は俺と好きな所に遊びに行くんだろ、早く寝なよ。』
『 うん♪ おやすみお兄ちゃん、愛してるよ♪ 』
照れくさい事を言って里奈はもう一度眠りについた、里奈は寝顔もムチャクチャ可愛いな、見てるとついつい顔がニヤついてしまうよ・・・うん? マヌケな俺はようやく異変に気づいた、なんで里奈が俺のベッドで寝てやがるんだ
『 里奈ああっ! 起きやがれえええっ!! 』
『 むーーー、何なのお兄ちゃああん・・・寝るのか起きるのかよく分かんないよ・・・。』
『 どうしてお前はいつも俺のベッドに来るんだ!? 今度こんな事しやがったらもう二度と俺の弁当を作らせないからな!! 』
このくらい言わなきゃ里奈はまた同じ事を繰り返すからな、ここは兄として心を鬼にしなければ!
『 だって1人で寝るのって凄く寂しいんだもん・・・お兄ちゃんの隣じゃないと里奈、安心して寝られないよ、毎日じゃなくてもいいから一週間に1日くらいは一緒に寝ようよぉ。』
うるうる上目遣いの里奈の前に俺の決意はもろくも崩れ去った、そんな目でお願いされて断れるほど俺は厳しい兄にはなれないのだ
『 ・・・しょうがないなあ、一週間に一回だけだからな、もう今日でいいからここで寝ろよ。』
『 お兄ちゃんありがとお!! じゃあちょっと寝て朝ご飯を食べたらデートに行こうねっ♪ 里奈、行きたい所があるんだあっ! 』
『 分かった分かった、里奈の話は朝ご飯の時に聞いてやるから今は寝ような、まだ真夜中だし。』
こうして里奈に甘い俺は結局里奈と同じベッドで寝るのだった、神様! お願いしますからいつの日か里奈が俺以外の男を好きになるようにしてください!! このままではいつか俺と里奈は禁断の扉を開いてしまいそうなのだ・・・。
兄妹デートは次話になりました、夢話が長すぎたもんですから・・・。