第百三十話
長すぎた二学期の三日目が終わります。
ウチの近くに理子が来ていた、俺に話があるみたいで何やら真剣なまなざしをしてる、しかし里奈は不機嫌オーラ全開で理子をにらんでるし夕奈ちゃんは思考の読めないポーカーフェイス、この2人がいては話が出来ないと思った俺は里奈達に先に帰るように促した
『 2人は先に帰っててくれないか、俺は理子と話してから帰るから。』
『 え〜、一緒に帰ろうよお兄ちゃーん、今更この人と話す事なんて何もないじゃない! 』
やはり里奈はこう言うと思ったよ、なんとか説得しようと思った矢先に夕奈ちゃんが里奈の手を握り
『 分かりました・・・里奈・・・先に帰ろう・・・お兄さんを・・・困らせたらダメよ・・・。』
『 えっ!? ちょっと! 夕奈ちゃん!! 引っ張らないでってば・・・。』
そのまま里奈を引っ張り2人はウチに向かっていった、夕奈ちゃんに感謝だな
『 ・・・やっぱり私って里奈ちゃんに嫌われてるね、しょうがないんだけどさ、私が青ちゃんにした事を考えたら当然だもん。』
2人が見えなくなると理子は何かを吹っ切った様な表情で話し出す
『 もういいよその事は、それより話って何だよ。』
『 うん・・・私ね、これからは青ちゃんや友くん達とは距離を置こうって思ってるの、恭介がいなくなったからって今更青ちゃん達と仲良くなんて出来ないし・・・それに奈津美や四森さん達と仲良くする青ちゃんを・・・私、あまり近くで見たくないから。』
どうしたらいいのか俺には分からなかった、しかし理子がそう決めたのならそうすればいいと思う、それに悪いが理子の為に奈津美さんや彩花、夕奈ちゃんと友人関係を解消するとか俺には出来ないし
『 自分でも身勝手な事を言ってるのは分かってるつもり・・・裏切った私を助けてくれたのにこんな事言うんだもん、でも私は青ちゃん達と一緒に居たらどうしても恭介を思い出しちゃう! 辛い思い出を全て忘れて新しい幸せを探したいの! 私だって幸せになりたいんだよ・・・。』
そう話す理子はすごく切なく見えた、まあ言われたら一理あるよな、俺達と一緒に居ても理子は辛くなるだけなのだろう、なら俺の言う事は1つだけだ
『 なれよ・・・幸せに、人間誰でも幸せに生きる権利はあるんだ、幸せになったら駄目な人間なんてこの世にいないよ、理子もこれからは自分の幸せを見つけて欲しい、俺やトモ、奈津美さんは応援するぞ。』
カッコいい事を言ってるが実はこれは友成の好きな刑事ドラマに出てくる刑事さんが言ってた台詞なのだ ( 友成が力説してた ) でも俺もそう思う、ただ幸せになりたいと願う女の子が幸せになろうとして何が悪い
『 ありがと・・・青ちゃん・・・それと・・・ゴメンね、嫌な思い、たくさんさせちゃってゴメンね、うううっ・・・。』
『 泣くなってば、別に理子が全て悪い訳じゃないんだから、男と女が付き合ってたらこんな事もあるんだ、お前にとって俺が工藤より魅力がなかっただけさ、お前とは不幸な結末だったけどお前も俺もまた新しい恋を見つけて幸せになればいい、お前にもいつか絶対いい男が見つかるよ。』
そう言って泣いてる理子の肩に優しく手をおく、理子も他人を思いやる事の出来る女の子だ、かつては好きだった女の子なんだし願わくは幸せになってほしい
『 それじゃ里奈達が待ってるからそろそろ帰るよ、じゃあな、理子。』
『 うん・・・じゃあね、青ちゃんっ♪ 』
最後の別れに理子は俺と付き合ってた頃によく見せてた笑顔を久々に見せてくれた、あの笑顔が出来るなら理子が新しい幸せを見つけるのもそう遠い日じゃないだろう、俺はそう確信して帰路についた。
――――
『 ただいまー、オラ腹ペコになっちまったぞ。』
あまりに腹が減ったのでついついカカットみたいな口調になった俺、そんな俺を迎えに来た里奈と夕奈ちゃんは・・・
『 おかえりなさーい、お兄ちゃん♪ まずは晩ご飯にする? お風呂にする? それともいきなり・・・里奈でもいーんだよ♪ 』
『 里奈・・・私もいるんだから・・・お兄さん・・・好きなのを・・・選んでください・・・。』
どーして里奈達のエプロンの下がビキニ水着なんだよ!? こんなの目のやり場に困るだろうがっ!!
『 なんで2人共そんなカッコしてるんだよっ!! 今すぐ服を着なさい! まったく・・・俺以外の男だったら2人共襲われるぞ。』
『 お兄ちゃんだったら襲ってもいーのに・・・ホントは裸エプロンにしたかったんだけど夕奈ちゃんが裸は恥ずかしいって言うから水着にしたんだよ、似合ってるかな? 』
『 里奈は・・・羞恥心が無さ過ぎ・・・裸エプロンは・・・まだその段階じゃないから・・・。』
段階とはどういう事だろうか? とにかく2人に服を着せないと俺の息子がヤバい事になる、俺とて健全な高校生だ、美少女2人の水着エプロンなんて見せられた日には・・・
『 とにかく2人共まずは服を着てきなさい! そうじゃないと2人には俺への弁当を作らせないぞ! 』
少し強めに言うと2人は渋々服を着に部屋へと戻った、実はもう少しくらい水着エプロンを見たかった気持ちもないと言えば嘘になるかもしれないが・・・
『 もうっ! 貴志くんたらっ!! 私という将来を誓い合った恋人がいるのに浮気なんて許しませんからね! 水着エプロンなら私がいつでも好きな時に見せて差し上げますわ! 』
『 フーン、貴志って水着エプロンも好きなんだ、今度私がもっとセクシーな水着エプロンを見せたげるわ、覚悟しときなさい! 』
どこからともなく奈津美さんと彩花の声が聞こえてくるのは多分に気のせいだろう、俺の幸せって一体どこにあるのだろうか、これからの苦難(?)を想像すると腹の底からため息が出てきた。
とりあえずこの作品での理子の出番はもう無いでしょう、次話はまたもシスコン貴志とブラコン里奈の兄妹デートです。