第百二十九話
少し遅れました、遅くまで仕事してましたので・・・。
綾子さんを見送り待合室に戻る、戻るなり里奈から
『 あっ、お兄ちゃん! どこ行ってたの? いきなりいなくなったから里奈、心配しちゃったよ。』
『 綾子さんが帰るって言うから見送りに行ってたんだよ、それよりもう外も暗くなりだしたしそろそろ帰るか、何か異様に長い1日だったから腹減ったぞ。』
『 うん、帰ったらすぐ晩ご飯食べれる様にしてるから早く帰ろっ、今日は野菜炒めと焼き魚と冷ややっこだよ♪ 』
時間はもう午後7時をまわってた、皆も賛同し病院を出る、ほとんどはそのまま帰っていき俺も里奈と夕奈ちゃんと一緒に帰ろうとするが唯一まだ残ってた奈津美さんから声をかけられた
『 貴志くん、待ってください、少しだけお話をしてもいいでしょうか? 』
『 えっ? いいけど。』
何だろ? しかしよく話をされるよな・・・
『 前田さんから目を離してしまった私の言う事じゃありませんけど・・・彩花さんから蒼太くんが撃たれたと聞いて私は凄く心配しました、もしかして貴志くんや真司くんもって・・・、心が張り裂けそうな苦しい感じでした。』
奈津美さんは淡々とした口調ながらもしっかりと話す
『 私はもう・・・いや、彩花さんや夕奈さん、そして里奈さんももし貴志くんの身に万が一の事があったらもう生きていけないと思います、私達にとって貴志くんはそんな存在なんです、だからこれからは今回みたいな危ない事に関わるのは極力控えてほしいんです、確かに他人の為に頑張るのは素晴らしい事だと思います、でも他人だけでなく少しはご自分を大事になさってください、私達はそう願ってやみませんわ。』
『 そうですよ・・・お兄さん・・・私も・・・凄く心配でした・・・もしお兄さんが撃たれたりなんてしたら・・・私・・・。』
『 もちろん里奈もだよっ! お兄ちゃんを心配し過ぎて気分が悪くなっちゃったくらいなんだから! でももう大丈夫だよね、もうあんな事は二度とないよね、お兄ちゃん♪ 』
・・・俺は不甲斐ない男だな、こんなけなげな女の子達をこれほどに心配させるとか、まあ里奈の言う通りあんな事はもう二度とない、これからは平和主義で生きてくつもりだから
『 3人とも心配させてゴメンな、約束するよ、もう二度と皆を心配させる様な事はしない、これから人助けとかは自分の出来る範囲内でするつもりだからさ、そろそろ卒業後の進路も考えなきゃいけないしね。』
俺がそう言うと3人の美少女は月も霞むかもしれない笑顔を見せてくれた
『 はいっ、それを聞いて安心しましたわ、それと私・・・卒業後もずっと貴志くんのそばにいたいです・・・それじゃあ私も帰りますね、また学校で。』
そう言い残し奈津美さんは帰っていった、卒業後も俺のそばにいたいってのはつまりそういう事なのか?
『 私も・・・ずっとお兄さんの・・・そばにいますからね・・・絶対に離れません・・・。』
『 お兄ちゃんは里奈とずっと一緒にいてくれるんだよね、だって2人だけの家族なんだもん! お兄ちゃんがいなくなったりしたら里奈、寂しくて死んじゃうよ・・・。』
2人はびっちり両隣にくっついて俺から離れない、この構図も久しぶりだな、しかし里奈、寂しくて死ぬってのは大げさだろう、ウサギじゃあるまいし・・・
『 少なくとも2人が高校を卒業するまでは俺はあの家にいるから安心しなよ、その先の話なんてまだ分からないから何とも言えないけど出来たら俺も2人と一緒にいたいな。』
こう言っとけば問題なしかな、いつかは2人の気持ちも変わり俺から離れるかもしれないし、というか里奈はぜひともそうなってくれ! 里奈に寝込みを襲われない為に朝の5時に起きるのは少々辛いのだ
『 お兄さん・・・やっぱり大好きです・・・。』
『 おにーちゃーん、大好きなんだからあっ! 』
お願いだから道のド真ん中でそんな事を大声で言わないでね、お兄ちゃんがあらぬ誤解をされるから
『 青ちゃん・・・ちょっといいかな?・・・。』
もうすぐ俺の家に着く頃になると理子が後ろから話しかけてきた、何やら決意をした様な表情をしてる、しかし本当に今日の1日は長いよな・・・。