第十三話
第十三話です
春休みに入って二日目、今日は里奈や夕奈ちゃんと一緒に高校で着る制服の採寸に行く日だ。
顔を洗ってテーブルに行くと里奈の作った和風な朝食が用意されてた
『 おはよーお兄ちゃん、夕奈ちゃん、10時ぐらいに家に来るって。』
『 そっか、じゃあちょっと余裕あるんだな。』
他愛のない会話をしながら里奈と朝食を食べる、いつもながら里奈の作る食事は美味しい、三食全て妹の手作り料理を食べれるなんて俺は果報者だ、里奈に感謝しなきゃな。
食べ終わって食器を流しに運ぼうとしたら丁度里奈も食べ終わったトコだった
『 里奈、食器持って行ってやるから、ほらっ。』
『 ありがとお兄ちゃん、じゃお願いね♪ 』
全く・・・ついでに食器を運ぶくらいでそんな可愛い顔しないでくれ、そのまま食器を洗おうとしたら
『 あっ、いいよお兄ちゃん、置いといたら後で里奈が洗っとくから。』
『 このくらいさせてくれよ、この家は里奈と俺の2人で住んでるんだから、里奈だけに家事を全部させてたら俺はこの家に住む資格はないっての。』
『 そんなことないよ、里奈が好きでやってる事なんだしお兄ちゃんは気にしなくていいの、里奈はお兄ちゃんにどんな事でもいいからしてあげたい、それが里奈の生きがいなんだよ。』
・・・何か他に生きがいを見つけてくれ、里奈の気持ちは嬉しいけどこのままじゃ俺が将来里奈の足かせになってしまうんじゃないかと不安になってしまう。
そんなこんなで時間も過ぎて9時50分、家のインターホンが鳴る、夕奈ちゃんが来たみたいだな
『 おはようございます・・・お兄さん、里奈・・・行きましょう・・・。』
相変わらずポニーテールが可愛いな、夕奈ちゃんなら高校で男子が放っとかないだろう、出来たら里奈にもいい出会いがあるといいけどな・・・俺たち兄妹も夕奈ちゃんに挨拶を済ましさっそく出発した。
採寸してくれる洋服屋に向けて歩いていると途中のコンビニの前であの四森彩花さんと出くわした
『 あっ、青山君じゃない、こんな所で会うなんておかしな偶然よね。』
声を掛けられたので無視する訳にもいかず俺も軽く挨拶して通り過ぎようとしたら彼女はまだ話を続ける
『 へえ、今日は違う女の子2人も連れてんだ、意外と遊び人なのね、高野さんは知ってるのかなあ。』
何か勘違いしてる様だが知らない人から見たらそう見えても仕方ないのかもな
『 そんなんじゃない、この2人は俺の妹とその友達、残念ながら君の考えてる様な関係じゃないよ。』
『 ねえお兄ちゃん、この人誰なの? 』
里奈から四森さんの事を聞かれクラスメートだと説明する、里奈も夕奈ちゃんも四森さんに挨拶して今度こそ立ち去ろうとしたらコンビニから最上級に美形な男が出てきた、すると四森さんがその男を見るなり
『 蒼太、トイレは済んだの? だったら早く行きましょ。』
『 悪い姉さん、待たせてちゃって・・・うん? 誰だいその人達、姉さんの知り合いなの。』
『 ただのクラスメートよ、そんなのより早く行かないとまだ準備がたくさん残ってるんだからね。』
そのまま四森姉弟は行ってしまった、それにしても姉さんって・・・あの2人姉弟なのか!? 言われてみれば目元とか似てるかな
『 お兄ちゃん、早く行こうよ、採寸だけじゃなく買い物もあるんだから! 』
しびれを切らした里奈が切りだす、確かにそうだ、俺たち3人は再度歩き出す、しかし先に行ってたはずの四森姉弟は何故か俺達と同じ方面を歩いていた
『 ちょっと! なんで後をついてくるのよ、このヘタレ金髪! 』
四森さんの言葉に俺よりも里奈と夕奈ちゃんの方が不快な表情をしていた、それでも四森さんに文句を言いだすには至らなかったが
『 俺達は制服の採寸に行くだけだよ、2人の邪魔なんてしないから。』
『 えっ、制服の採寸って僕達もそうなんですよ、ところであなた達は姉さんとどんな関係なんですか?』
俺と姉との関係を聞く弟、蒼太に俺は四森さんとはクラスメートだと説明した、すると蒼太もこの春に高校入学だということで以前に姉の四森さんが世話になった洋服屋に姉と一緒に採寸に行ってると話してくれた、話してみるとこの蒼太、非常に礼儀正しい子で正直俺よりも大人びて見える
『 妹さん達に付いていってあげてるんですか、優しいお兄さんなんですね。』
『 そうなんです♪ 優しくてカッコいい自慢のお兄ちゃんなんですから。』
夕奈ちゃんも嬉しそうに頷いてる、そんな里奈と蒼太の会話に照れ笑いしてたら
『 騙されちゃダメよ蒼太、彼は恋人に捨てられる様なダメ男なんだから。』
四森さんの言葉を聞いた里奈と夕奈ちゃんが彼女を睨みつけるがすると蒼太が
『 姉さんっ!! そんな言い方ってないだろう! 皆が皆姉さんみたいな人じゃないんだから。』
弟に怒鳴られると四森さんが何か怯えた表情になってる、一体何なんだ、四森さんって過去に何かあったのだろうか?
次話は彩花の話です