第百二十五話
後五話くらいで工藤と綾子の話を終わらせたいです。
俺と友成で8人もの不良を打ち倒した、不良達はかろうじて意識はあるがいまだに起き上がれずに床にうずくまってる、でも心配する事はない、後でちゃんと警察を呼んでやるから
『 恭介! どうすんだよ? このままじゃ俺達警察に捕まっちまうぞ!! 何とかしてくれよっ!! 』
こいつら不良のクセにボンボンの工藤に頼るのか? というか工藤ってこいつらよりも強いのか、とてもそうは見えないが
『 無理だと思うけどその3人を倒すしかないよ、このままじゃ俺も君達も確実に少年院送りだからね。』
工藤に言われると残り4人の不良達は一斉に蒼太めがけて襲いかかっていった、そういや昨日蒼太に怪我をさせた奴らがまだ残ってる、蒼太が背中に怪我をしてるのを知ってるから蒼太をターゲットにしたのか、ホント情けない奴らだな
『 綾子さん、俺から離れないでください! 』
蒼太は綾子さんの真ん前に敢然と立ってる、まるでお姫様を守るナイトみたいだ、しかもそれが正統派美男子の蒼太だから余計に絵になってる、俺や友成ではこうはいかないよな
『 へへっ、悪いな、お前なら勝てそうだからな、昨日の傷はまだ治ってないだろう、4人で一斉にかかればお前には負けないぜ。』
情けない事を堂々と言う奴らだな、4人でいかないと怪我人1人に勝てないのか
『 蒼太、手伝ってやるよ、確かに今のお前じゃ4人相手はキツいだろ? 』
蒼太を案じた俺は助太刀を申し出た、でも蒼太は小さく微笑み俺の申し出を断る
『 大丈夫ですよ青山先輩、気持ちだけありがたく受け取っときます、それとこの人達に聞いておきたい事があるんです。』
こいつらに何を聞くんだ? 俺の疑問をよそに不良連中の方を向き話しかける蒼太の声は聞いた事のないくらい低く恐怖感すら覚えた
『 あんた達・・・本当に何度も集団で女性に暴行をしたのか? なあ、正直に答えろよ・・・。』
声もそうだが表情も怖い、いつもの大人びて優しそうな蒼太はそこには居なかった、そんな蒼太に不良連中は悪びれずに答える
『 何言ってんだ? そんなのヤリたいからヤッたに決まってんじゃねーか、恭介が街で軽そうな女をナンパしてここに連れてくるんだよ、それを俺達でいただいちゃうのさ! 何人か処女もいたっけなあ、その時は最高だったぜ!! 』
『 酷すぎる・・・なんて事を・・・。』
『 クソ野郎共が・・・絶対許さねえ!! 』
理子と友成が話を聞いてそれぞれ悲しみと怒りの表情を浮かべてる、俺だって聞いてて胸くそ悪くなる話だ、蒼太も語気を荒げ不良連中に言い放つ
『 そうか・・・なら容赦しない!! あんた達の薄汚い欲望の犠牲になった女の子達の怒りと・・・そして無念さを、たっぷりと思い知らせてやる!! 』
『 うるせえキザ野郎が! 死にやがれえっ!! 』
不良連中が本当に一斉に蒼太に襲いかかる、だが蒼太は不良Aの先制パンチを軽々とかわし不良Aの腹に渾身の蹴りを入れる
『 うごっ!! 』
不良Aは腹を押さえて苦しそうにうずくまる、そんな不良Aの顔面に蒼太は容赦なく蹴りを入れた、蹴りを喰らった不良Aは鼻血を出しながら倒れ起き上がる事はなかった
『 このくらいで済むと思うなよ、あんた達が女の子達にした事はこんなんじゃないんだからな・・・。』
・・・それからの蒼太は鬼のようだった、背中の怪我の影響をものともせず他の3人も叩き伏せていった、不良達がもう起き上がれなくなっても徹底的に攻撃を続ける蒼太はどこか正気を無くしてる様にも見える
『 四森くん、もう・・・やめようよ・・・。』
『 蒼太! もうやめとけ! そいつら死んじまうぞ!! そんな奴らでも命は命だからな・・・。』
綾子さんと俺に言われてようやく蒼太は攻撃を止めた、そこにはいつもの蒼太が居る・・・はずだったが
パアァン
『 グッ!!? 』
ドラマとかでよく聞く拳銃の発砲音が鳴り響き蒼太が肩を押さえひざを突く、蒼太の肩からは大量の血が流れてる、音のした方を見てみると工藤が拳銃を持って立っていた
『 クックックッ・・・、凄いだろ青山君、本物の拳銃だよ、次に撃たれたいのは誰かな? 青山君か! それとも友成君か、お好きな方をどうぞ・・・。』
工藤の余裕の正体は拳銃だったのか、というか何で高校生がそんなの持ってんだよ! 俺も友成も拳銃を前に固まってしまい動く事が出来なかった・・・。