第百十四話
これから徐々に工藤と綾子の話になってくる予定です。
『 けどなんだよ、なんか気になる事があんのか? 綾子さんにはちゃんと話したんだろ。 』
コンビニで買った菓子パンを食べながら友成は聞いてくる、確かに綾子さんには工藤がしようとしてる事は話した、普通なら自分の事を多数の男達に売るような男なんて軽蔑するだろう、しかし綾子さんにとって工藤は優しい幼なじみの兄ちゃんなのだ、昨日今日出会ったばかりの俺がいきなりそんな話をしてもにわかには信じられないのも分かる、だいたい証拠がないし
『 確かに話したよ、でも彼女は信じられないって言ってたんだ、工藤がそんな事する訳ないってな。』
『 そうか・・・、まあ仕方ないよな、工藤の尻拭いの為に働くような子だからな、でも彼女と工藤ってどんな関係なんだよ、アオは知ってるんか? 』
友成は彼女と工藤の関係を知らないのか? ただの知り合いとでも思ってたのだろう、俺は友成に2人の関係を教えてやった
『 へぇー、あの2人って幼なじみだったのか、だから綾子さんはあんな奴の為に働いてたのか・・・。』
綾子さんがお好み焼き屋で働いてるのは工藤が知り合いのバイクを壊したのでその弁償費用を用立てる為と綾子さん本人は思ってるが実は全て嘘でただ自分の小遣い稼ぎの為に彼女を働かせてるらしい、でも待てよ
『 なあトモ、それって何かおかしくないか? 』
『 何がだよ。』
『 彼女と工藤は小さい時からの幼なじみだ、当然工藤の家の事は彼女も知ってるはずだろ、工藤の家はかなりの金持ちだ、それを知ってるはずの綾子さんが工藤の親がバイクの弁償金を用意しないのは変だなって思わなかったのかな。』
『 親には言えない事情があるとでも言ったんじゃないのか、でも確かに金持ちボンボンの工藤が何故綾子さんを働かせてるんだろうな、小遣い稼ぎとか言ってたがあんな立派な家に住んでるなら金には不自由しなさそうなのに。』
とにかく何としても綾子さんを守らなきゃ、というか一回電話して無事かどうか確認してみるか、携帯を取り出し彼女に電話をかけるが呼び出し音が鳴るだけで彼女は出ない
『 おかしいな、なんで出ないんだ、携帯持ってないのか、それとも・・・。』
『 どうしたアオ、綾子さん電話に出ないのか。』
一分以上呼び出しをしてみたが彼女が電話に出る事はなかった、この時間なら彼女も昼休みだと思うがもしかしたら授業中かもしれない、綾子さんについては電話番号しか知らないので電話に出ないともう連絡の取りようがないのだ
『 なあアオ、綾子さんの働いてるお好み焼き屋って確か奈津美さんの姉さんの友達が経営してるんだよな!? 奈津美さんの姉さんからその友達に頼んでもらえば綾子さんの家とか教えてくれるかも知れないぞ。』
『 ・・・今から行くか、急いだ方がいい気がするんだ、手遅れになる前に。』
友成の提案を聞き急いで教室に戻り奈津美さんにその事を話す、奈津美さんは不安な表情になるも
『 分かりました、姉さんには私からお話します、くれぐれも無理はなさらないでくださいね、貴志くんにも真司くんにももしもの事があったら悲しむ人がたくさんいます、それを忘れないでください。』
申し出を受けた奈津美さんはすぐに姉の香澄さんに電話して詳細を話した、香澄さんもすぐにお好み焼き屋の店長さんに連絡をしてみるとの事、数分後に奈津美さんの携帯にメールが入りそのメールには綾子さんの住所が載ってあった
『 奈津美さん、香澄さんやお好み焼き屋の店長さんにありがとうって言っといてよ、行こうぜトモ! 』
『 ああ、絶対工藤の思い通りにはさせない! 思い上がったボンボンに何でも自分の思い通りにはならないって事を教えてやる。』
『 先生には私がうまく言っとくからね、頑張ってよ、貴志、真司。』
彩花と奈津美さんに見送られ俺と友成は教室を出た、目指すは綾子さんの家だ、取り返しのつかない事になる前に綾子さんに会わなきゃ・・・。
次回は明後日更新の予定です、3日後になるかもしれませんが・・・。