第百十二話
二学期三日目の登校時のひとときです、別に大した話じゃありません。
夕奈ちゃんの大胆発言にしばらく何も言えずにいた俺達、そんな中、最初に喋り出したのは里奈だった
『 いきなりどうしたの夕奈ちゃん! そんなのダメに決まってるじゃない! お兄ちゃんのお弁当を作ったげるのは里奈しかいないんだからっ!! 』
やっぱりな、俺の食事を作る事になると里奈は厳しい、独占欲が強いのかね?
『 そんなの卑怯・・・私だってお兄さんに・・・作ってあげたい・・・女の子なら・・・好きな人に・・・自分の作った料理を・・・食べてもらいたいのは・・・当然でしょ・・・。』
しかし今日の夕奈ちゃんは折れない、敢然と親友の里奈に立ち向かう、だけど俺としては俺の事で2人の友情を壊す様な事にはなってほしくない、どないしよ
『 よく言ったわ夕奈! 私だって里奈みたいに貴志にお昼弁当を作ってあげたいんだから、ねえ、奈津美もそうなんでしょ。』
『 そうですね、いつも里奈さんを羨ましく思ってましたわ、毎日貴志くんに三食欠かさず食事を作れるのですから、夕奈さんの言う通り女は好きな男の人に料理を作って美味しいと言われるのが何よりの喜びなんです、私もその喜びを味わいたい・・・。』
夕奈ちゃんを追うかのごとく奈津美さんと彩花が話に乗ってきた、そういや奈津美さんや彩花の料理は夏休みに行った友成の別荘以来食べてない、要するに里奈以外の3人は俺にお昼の弁当を作りたいんだな
『 うーっ! お兄ちゃんはどうなの! 里奈じゃない女の人の作ったお弁当を食べたいって思ってるの、正直に答えて!! 』
『 そうだな・・・、夕奈ちゃんも奈津美さんも彩花も料理上手いからな、食べてみたいよ、でも俺の好みを一番把握してて付き合いの長い里奈の手料理も俺は好きなんだぞ、それは信じてくれよな。』
明らかに機嫌の悪い里奈をなだめどうにか穏便に事を収めようとする平和主義者の俺、けどこっからどうしよう? 全く考えてないぞ
『 それじゃあ・・・私達4人で・・・順番を決めて・・・お兄さんに・・・お昼の弁当を・・・作るというのは・・・どうでしょうか?・・・。』
夕奈ちゃんの出した提案はかなり平和的だ、これなら俺も問題ない、後は皆が納得したらいいのだけど
『 私はそれでいいですわ、ふふっ、これで私も貴志くんにお昼ご飯を作れるのですね、楽しみになさっててくださいな♪ 』
『 私もいいわよ、私の愛がタップリ詰まった弁当で貴志の胃袋もハートも虜にしてやるんだからねっ。』
『 しょうがないなぁ・・・、里奈もそれでいいです、でも朝ご飯と晩御飯は譲りませんから! 』
里奈も奈津美さんも彩花も納得してくれたな、これでこの一件はカタがついた、これで学校に行ける・・・はずだったのだが
『 決まりましたね・・・それじゃあ・・・お兄さんが一番・・・美味しいと思った・・・弁当を作った人は・・・お兄さん・・・キスのプレゼントを・・・してもらえますか・・・。』
ナンデスカソレハ? 何故にそんな話になるんだべさ、おらぁわかんねぇだ
『 それは良いお考えですわ、俄然気合いが入りますわね、当然キスは口にしてくれるのですよね? 』
『 当たり前じゃない、口にしないキスなんて認められないわ! ぜぇーーったい貴志のキスは私がもらうんだからっ!! 』
『 そうはいきません、奈津美さんにも彩花さんにも夕奈ちゃんにも負けませんよ! お兄ちゃんの唇は里奈のモノなんです!! 』
絶対に里奈を選んだら駄目だな、兄妹でキスなんて神コロ様が許さないぞ、だいたい俺の唇がいつ里奈のモノになったんだよ
『 モテるねアオ〜、いっそ4人とも選んで4人とキスしたらいいんでないかい、この慢性発情男! 』
『 ちゃんと選んで下さいね青山さん、皆さん真剣なんですから真剣に応えてあげて下さい。』
『 そうよ青ちゃん、4人の想いにキチンと応えてあげなきゃ。』
いつの間にか友成といずみちゃん、それと理子が近くに居た、その中でなんだか理子が明るくなってるように見えるのだけど・・・。
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