第百十一話
やっと二学期も3日目となりました。
チャララ〜、一日の始まりを告げる携帯のアラームが鳴り俺は目を覚ました、横には里奈が・・・いないな、だけどもう5時だから起きてるはずだ、あいつは俺の寝顔を見ないと1日が始まらないとか言ってたからな、15才の女の子の思考回路は分からんね、ひとまず起き上がりベッドから降りると部屋のドアが開いた
『 あーーっ!! お兄ちゃんったら! また里奈より早起きしてる〜、どうして里奈に寝顔を見せてくれないの! お兄ちゃんの寝顔を見なきゃ里奈のテンション上がらないよー。』
『 どうして俺の寝顔見なきゃテンションが上がらないんだよ・・・、頼むからもう少しゆっくり寝かせてくれっての。』
朝の5時なんて早い時間から不毛な会話をする俺と里奈、元気がいいと言うか何と言うか・・・。
朝食も食べ終えて7時過ぎになるとパタパタと学校に行く準備をする、そんな時にウチに彩花と夕奈ちゃんが揃ってやって来た
『 おはよっ、貴志、里奈、ちょうどそこで夕奈に会ったのよ、ところでもう学校行く準備は出来てるの? まだなら手伝おっか。』
『 おはようございます・・・お兄さん・・・里奈・・・昨日はどうもありがとうございました・・・。』
夕奈ちゃんを見ると否応なしに昨日のキスを思い出してしまう、あのキスの後固まってる俺を置いて夕奈ちゃんは何も言わずに自分の家に入ってしまった、俺も自分の家に帰った後しばらくして夕奈ちゃんからメールが来た、その内容は
( お兄さんへ、私のファーストキスを愛しいお兄さんに捧げられて本当に嬉しかったです、今度はお兄さんからして欲しいな、一応里奈には内緒にしておきます、お兄さんも言わないでくださいね。)
言われるまでもない、この事を里奈が知った日には何を言われるか分かったもんじゃないからな、工藤達の件といいまた一つ悩み事が増えた様だ、工藤達の件といえば昨日病院から送った際に綾子さんには俺の携帯番号を教えて工藤から連絡がきても絶対に会ったら駄目だとは言っておいた、しかし幼なじみの工藤を慕ってるっぽい綾子さんが果たして俺の言う事を聞いてくれるかどうか・・・
『 お兄さん・・・まだ・・・工藤先輩や前田先輩達の事・・・気にしてるんですね・・・お兄さんを止めたりしませんけど・・・危ない事だけはしないでください・・・お兄さんにもしもの事があったら・・・私・・・。』
綾子さんの事を考えてた俺に夕奈ちゃんが不安そうに声をかける、心配してくれるのは有り難いがそんな言い方しないでくれ、昨日のキスも相まって相当に照れくさいじゃないか、しかし今日の夕奈ちゃんはよく喋るな、何やら自信に満ちてるというか・・・
『 そうだよ、本当はお兄ちゃんに関わってほしくないんだけど人助けだから仕方ないもんね、ムチャしちゃダメだよ、っていうか夕奈ちゃん、今日はやけにお兄ちゃんにベッタリよねー、何かあったの? 』
『 確かにいつもの夕奈じゃないよね、ねえ貴志、夕奈に何か言ったの? 』
『 へっ!? 何言っちゃってんだよ・・・、俺も夕奈ちゃんもいつも通りだよ、なあ夕奈ちゃん! 』
里奈も彩花も鋭いな、女の感は恐るべきだ、だが里奈の言う通り今日の夕奈ちゃんは俺にくっついて離れない、里奈には内緒だって言ったのにこれじゃああんまり意味がない様に思う
『 私もいつもと何も違いません・・・早く学校に行きましょう・・・。』
いい時間になってたのも手伝って俺達4人は家を出た、そしていつもの場所で奈津美さんと合流する
『 貴志くん、皆さん、おはようございます、あら、夕奈さん、何かいい事でもあったのですか? 』
俺達に会うなり奈津美さんはそんな事を言い出す、どうしてそう思うんだろう、そんなに夕奈ちゃんの雰囲気がいつもと違うのか
『 奈津美先輩・・・おはようございます・・・そんなに私・・・嬉しそうに見えますか?・・・。』
『 ええ、何か好きな人ととても幸せな気分になる様な事をしたふうに見えましたから・・・。』
この人は超能力者か! そこまで具体的に分かるなんてほとんどエスパーだぞ
『 何なのー、夕奈ちゃん、お兄ちゃんと何かしちゃったの! 里奈を差し置いてひどいよーっ!! 』
『 夕奈も意外とやるわね・・・、少し甘く見てたわ! でも私も引き下がらないんだからねっ!! 』
・・・なんだかよからぬ空気が漂ってるな、正直今日はこんな事してる場合じゃない、早いとこ工藤に会って馬鹿な事を辞めさせないといけないのに、そんな俺を置いといて夕奈ちゃんが里奈に話しかける
『 里奈・・・お願い・・・明日のお兄さんのお弁当・・・私に作らせて・・・いつも里奈だけとかズルいよ・・・。』
どうしたんだ夕奈ちゃん! なんでそんな事を言い出すんだ、俺も里奈も奈津美さんも彩花も数秒間何も言えなかった・・・。
明日から忙しいので更新は明後日以降になるかと、待ってる方がいたら申し訳ありません。