第百七話
二学期二日目がなかなか終わりません。
一緒に体育館の裏手まで来たのにいつの間にか理子が居なくなってた、多分さっきの里奈の言葉にショックを受けたのだろう
『 駄目だ! 電話にも出ない!! 何処に行ったんだよあいつは!! 』
理子の携帯に電話しても呼び出し音だけで理子は電話に出なかった、その時に奈津美さんが何かを思い出したかの様に俺に話す
『 もしかしたら前田さんは工藤くんの家に行ったのかもしれませんわ、確か今ちょうど真司くんが工藤くんの家に行ってるのですよね? 真司くんに連絡してみたらいかがですか。』
さすが奈津美さん、さっそく友成に電話して理子が工藤の家に行ったかもしれない事を話すと
『 そうなんか、それなら工藤んチの前で待っといてみるよ、実はまだ工藤んチに着いてないんだ、とにかく前田を見つければいいんだろ? 見つけたらお前に電話すっからさ。』
友成はそう言って電話を切った、俺達もとりあえず近くを探してみようとするとまだ半泣き状態の里奈が俺の腕を掴み小声で話す
『 お兄ちゃん・・・、絶対危ない事はしちゃダメだからね・・・、お兄ちゃんに何かあったら里奈・・・絶対あの女と工藤を許さないんだから・・・。』
俺達の説得が功を奏したのかどうやら俺が理子や綾子さんを工藤達から守ろうとするのを反対しなくなったみたいだ、そんな里奈の頭を優しく手を乗せ
『 ああ、約束するよ、なあ里奈、今度の休みにまたどっか遊びに行こうか? お前が飽きるくらい一緒に遊んでやるからさ。』
そう言った俺は恐らく重度のシスコンだろう、でも恥ずかしくはない、妹に可愛い笑顔が戻ったのだから
『 うんっ、いーっぱい遊ぼうね、お兄ちゃん♪ 』
うん、やはり里奈の笑顔は癒されるな、しかし他の3人も黙っていない
『 羨ましいな・・・私も里奈みたいに・・・お兄さんからいっぱい可愛がってもらいたいです・・・、お兄さんだったら私・・・何をされてもいいですから・・・。』
『 貴志のシスコンはもう不治の病ね、でもカッコいいお兄ちゃんじゃない、私も貴志みたいなお兄ちゃん欲しかったなあ・・・。』
『 やはり貴志くんは誰よりも里奈さんの事を大切に想ってるのですね・・・、でもそんな貴志くんだからこそ私も里奈さん達も好きになったんですよね。』
・・・どうもこの4人は必要以上に俺を持ち上げる傾向にある、悪い気はしないが俺はそんな立派な人間じゃない、頭は金髪だし成績は下から数えた方が早いしルックスは並みだし最近の流行にはとんと疎いし恋人には裏切られるし優れてるのは運動神経だけの体育会系だ、恥ずかしくなった俺は無理やりに
『 それより早いトコ理子を見つけなきゃ! さっきまで俺達と一緒に居たんだからまだその辺に居るだろ!! 早く行こう。』
話を替えて理子の捜索を始める、里奈と夕奈ちゃんは先に帰らせて俺と奈津美さんと彩花の3人で学校の周りを捜すが理子は見つからない、電話も無駄、もう一度友成に電話をしても
『 こっちにはまだ来てないぞ、工藤も帰ってこないし後30分待って誰も来なかったら俺は帰るからな。』
なんか少し苛ついてたみたいだ、無理ないけどな
『 ひょっとして自分の家に帰っただけなんじゃないの? 貴志や奈津美は前田の家を知ってるんでしょ、行ってみようよ。』
彩花がそう言い出すまでその可能性をすっかり忘れてた、半年ぶりに理子の家に行こうとすると彩花の携帯が鳴る、誰だろ
『 紗恵からだわ、どしたんだろ? 蒼太と何かあったのかしら。』
彩花が携帯を取って紗恵ちゃんと話す、したらいきなり彩花の態度が変わった
『 蒼太が!! そいつらはどこに行ったのよ! ねえ紗恵ってば!! 』
何だろ、蒼太に何があったんだ? 話を終え携帯を閉じた彩花に聞いてみたら
『 蒼太がガラの悪い奴らと喧嘩してケガしたって・・・、なんか女の子を助けようとしたとか・・・。』
彩花は激しく動揺してる、蒼太が助けようとした女の子ってまさか・・・。
今日は更新出来ましたが明日は難しいかもしれません。